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03/05/2008

mixi内の投稿と公表権

 mixi騒動に関して気になったことの一つに、「公表権」についての一般の誤解というのがあります。

 公表権とは、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利をいいます(著作権法第18条第1項)。つまり、著作者の同意を得て公表された著作物については、著作者は公表権を行使することはできません。

 従って、mixi内に投稿したコンテンツについて投稿者が公表権を行使しうるかは、この投稿行為が著作権法上の「公表」にあたるのかが問題となります。では、著作権法上の「公表」に関する規定を見てみましょう。

 著作権法第4条第2項は、

 著作物は、第二十三条第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者によつて送信可能化された場合には、公表されたものとみなす。
と定めています。そして、「送信可能化」については、著作権法第2条第1項第9号の5で
送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
と定義され、ここでいう「自動公衆送信」は、同法第2条第1項第9号の4で
自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
と定義され、さらにここでいう「公衆送信」は、
公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
と定義されています。さらに、ここでいう「公衆」は、同法第2条第3項により、特定かつ多数の者を含むものとするとされています。特定かつ多数の者を含むものとした結果著作権法上の「公衆」とは何を意味することになったのかについては、アプリオリな「公衆」とはなんぞやということとの関係で、「不特定人または多数人」とする見解と、「多数人」とする見解とに分かれます(前者の方が多数説です。)。

 従って、mixiが「閉じた空間」であろうとも、そのコンテンツにアクセスしうる人が「多数人」といえる程のものであった場合には、mixiへの投稿により送信可能化がなされ、著作権法上の「公表」がなされたということになります。なお、何人以上から「多数人」といいうるかは難しい問題ですが、選撮見録事件高裁判決では「24戸」からサーバにアクセスしうる場合にこれを「送信可能化」を認めています。

 では、マイミクが少ない人は大丈夫かというと、そこがまた難しい話です。すなわち、不特定人については少数(極端な場合1人)であっても「公衆」にあたるという見解が広く支持されており、そのような見解を支持する人々の多くは、何をもって「特定」人とするかについて家族に準ずるほどの高度の個人的結合関係を必要とするという見解である場合が少なくありません(私はそういう考え方には反対なのですが。)。このような見解に立った場合、そのコンテンツにアクセスできる人の数が少ないとしても、コンテンツ投稿者と、これにアクセスすることができる人との間に、家族に準ずるほどの個人的結合関係がない限り、投稿=送信可能化=公表ということになり、その時点で公表権を喪失するということになります。

 従って、mixi内の投稿について必ずしも著作者が公表権を行使しうるとはそもそも言えないということになります。

 その後の商売のことを考えると、その投稿者に連絡がつく限りにおいて、投稿者の許諾を改めて得ることなく、その投稿を書籍化するようなことはしないとは思いますが、法的にいうと上記のようなことになろうというお話です。

Posted by 小倉秀夫 at 07:19 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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» ネットと著作権に関する情報と書籍 de 画像加工の便利帳
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Notifié le 6 mars 08 16:17:06

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