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03/27/2008

堀社長の憂鬱

 ホリプロの堀義貴社長のシンポジウム「動画共有サイトに代表される新たな流通と著作権」での一連の発言は、ネットで笑いものにされているようです。

 IT革命の特徴は、潜在的な顧客層の地域的な拡大と、中間業者の排除によるコストの削減ですから、コンテンツ産業がIT革命の利点を活かさないのであれば、これによる収益の増大に繋がらないのは当然のことです。

 例えば、番組制作会社が制作したコンテンツを広告付きのメディアとして広く流通させるには、現時点において、どのような技術を用いるのがベストなのかということを考え、実践してみる。そんな当たり前のことをしてこなかったのが、これまでの日本のコンテンツ産業です。その結果、無駄なお金が地方テレビ局の経営者や従業員の給料へと消えていきます。それは、効率的なコンテンツ流通が行われていれば、クリエイティブ部門に本来回るべきお金だったのにです。

 在京キー局には、地方の系列局を中抜きするチャンスが何度もあったはずです。全国のケーブルテレビ局から在京キー局の放送の同時再送信の許諾の申請があったとき、BSデジタル放送について在京キー局の子会社に放送免許が与えられたとき、そしてブロードバンド回線が普及しIPTVが現実味を帯びてきたときです。しかし、在京キー局は、系列のローカル局に依然として「我が世の春」を味わせるために、これらのチャンスをずっと見送り続けてきました。それどころか、インターネットを利用した番組の配信が著作権法により阻害されないように著作権等を制限する規定を設けようという声が高まったときに、キー局のロビイストたちは、その放送対象地域を越える範囲への自動公衆送信については著作権等の制限を受けることを自ら拒否して見せたわけです。

 その結果、どうなったのかといえば、実際に番組を製作するキー局に集まる広告費が中途半端にしか集まらず、それ故中途半端なレベルのテレビ番組しか制作できなくなりました。では、地方テレビ局に広告費が落ちている結果地方では地域色豊かなコンテンツが制作されているのかというと、関西地区を除けば、悲惨なものです。在京キー局の同時再送信担当者としてはローカル局の数はしばしば不足していますが、その地域に関するコンテンツを競って制作する事業者としては多くの地域で明らかに多すぎます。

 堀社長には、一流のビジネスマンとして、現在のコンテンツビジネスにおいて、どこに無駄があるのかを再検討した上で、なおもテレビ局、とりわけ系列ローカル局とネット事業者をどう取り扱っていくのかを再考していただきたいものです。

Posted by H_Ogura at 02:42 AM dans sur la propriètè intellectualle |

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