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05/10/2008

「アナログ放送の方が録画は便利」ではないという印象が強まりかねない社説

 読売新聞の5月10日付の社説「ダビング10 メーカーの頑固さ、なぜ?」は,不思議な社説です。

 読売新聞の論説委員は,

アナログ放送の方が録画は便利、という印象が強まりかねない。

と述べています。「〜という印象が強まりかねない」という言葉は通常,「〜」の部分が真実に反する場合に用いられます。従って,上記表現からは,読売新聞の論説委員においては,「アナログ放送の方が録画は便利」ではないと認識していることが伺われます(「アナログ放送の方が録画は便利」であることを認識しつつ,「アナログ放送の方が録画は便利、という印象が強まりかねない」という表現を用いたとすると,読売新聞の論説委員は,国民が真実を知ることに危機意識を抱いているということになりますが,それはメディアとして自殺行為というべきでしょう。)。

 しかし,質的に劣化はするものの順次複製が行えるアナログ放送と,順次複製を行うこと自体ができないデジタル放送とを比較した場合に,前者の方が「録画は便利」ということは客観的な事実といわざるを得ません。「ダビング10」にしても,最初にデジタル放送を録画した媒体から「ムーブ」を含めて10回コピーを行うことができると言うだけで,そこからの孫コピーはできないわけですから,アナログ放送と比べて「録画が不便」であることは否めません。

 といいますか,本来デジタルデータには,これを順々に複製しても情報の劣化が小さいという特性があるのですが,地上波デジタル放送については,「コピーワンス」技術により,この特性を活かさないことにしたわけですから,「録画」という側面からいえば,地上波デジタルというのは何らのメリットも利用者にもたらさないものであるということができます。

 そもそも,読売新聞社の論説委員は,

デジタル放送のテレビ番組を録画する際の消費者の不満を、軽視してはいないか。

との問いかけをメーカーに対して行っているのですが,それは矛先を間違えているのではないかという気がします。読売新聞社は,

約束を守れなくても責任はない、とメーカー側は言い切れるだろうか。
と述べているのですが,メーカー側が,ダビング10を実施してもらうことと引き替えにどのような約束をしたというのかが明らかではありません。権利者側が「権利者側は地上デジタル放送の録画ルールの緩和には補償金制度が必須だ」との前提を表明した上でダビング10の実施に同意したということは,メーカー側が補償金の存続に今後も異を唱えない約束をしたということを意味していません。したがって,守らないことで責任を問われるような「約束」自体がそもそもなかったと見るべきかと思います。

 つまり,この問題は,自分たちが勝手に期待したとおりの行動をメーカー側がとらなかったというだけで,既に決まった合意を保護にしたテレビ局側に問題があるのであり,むしろ,いわば駄々をこねる形になっているテレビ局側を責めるべきです。

 なお,

2011年の地上テレビ完全デジタル化の足かせにもなる。
といわれても,2011年までに地上波デジタル受信機への切り替えが進まなくなった場合に最も打撃を被るのは,テレビ局の側だと思うのですが,読売新聞社の論説委員には難しすぎるかもしれませんね。

Posted by H_Ogura at 08:00 PM dans sur la propriètè intellectualle | | Commentaires (3) | TrackBack (1)

Mariko: Unstoppable

  Finlandのシングルチャート2位の,Marikoの「Unstoppable」がなんとも言えず面白いです(いまのところ,ここで聴けます。)。

 新味があるかといえばそういうものはあまり感じないのですが,アレンジを含めていかにもヨーロッパ,というか北欧の香り漂うなあということを,良い意味で感ずる作品です。

 Marikoといっても,日本人でも日系人でもハーフでもないようですが。

Posted by H_Ogura at 05:39 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

05/07/2008

Yokohamaが聴ける!

 以前のエントリーでご紹介した,Boの「Yokohama」がiTSJにアップロードされています(→Bo - Koma Stadium - Yokohama)。

 是非ともお聞き下さい。

Posted by H_Ogura at 01:53 PM dans sur la propriètè intellectualle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

05/06/2008

コピー制御信号を脅しに使うことについて

 朝日新聞の記事によれば,

iPodなどの携帯音楽プレーヤーと、テレビ番組を録画するハードディスク内蔵型レコーダーに「著作権料」の一種を課金する制度改正の骨子案を文化庁がまとめた。8日の文化審議会に提案する。抵抗するメーカーに対し、課金を求める著作権団体が「秘策」で揺さぶりもかける。

とのことです。その秘策とは何かといえば,

 一方、著作権団体の「秘策」は、6月2日から導入する方針の「ダビング10」の拒否だ。デジタル放送のテレビ番組を自宅のハードディスク内蔵型レコーダーなどに録画した後、DVDなどに9回複製できる新しい方式だ

とのことのようです。

 しかし,2011年までに地上波アナログを停止させるというのはテレビ局側の事情なのであって,「アナログ波受信からデジタル波受信に切り替えると却って不便になる」状態を継続することにより追い込まれるのはテレビ局側なのではないかという気がしなくもありません。更にいえば,テレビ番組(とりわけ地上波デジタル放送の番組)を録画する機能を有する機器を製造・販売しているわけではない携帯音楽プレイヤー製造会社にとっては,何でそんなもののために払わなくとも良い上納金を払うことに同意しないといけないのかというところではないかという気がします。

 それ以前に,著作権法の平成11年改正の際には,コピー制御信号に対応する機器を製造・販売する義務を負わせないことを前提としておきながら,コピー制御信号に対応させることを事実上メーカーに義務づけるために無料放送である地上波デジタルにスクランブルをかけていることだけでも本来許し難いのに,そのようにして半ば強制的に録画機器に対応させたコピー制御信号を,私的団体による徴収され分配される一種の税金の範囲を拡張することに反対させないための脅しとして用いるというのは許されることではありません。無料放送である地上波デジタルにかけられたスクランブルがこのような邪な目的に活用されるのであれば,議会は直ちに放送法を改正して,地上波デジタルについてスクランブルをかけることを禁止すべきです。スクランブルをかけた上でなければ放送をしたくない事業者は地上波の放送免許を返上していただき,衛星放送等で思う存分スクランブル付の放送をしていただいたらよいのであって,地上波デジタルの放送免許は,そのような上納金を必要としない事業者に交付したらよいことです。

 強いて妥協案を提示するとするならば,ハードディスク内蔵型ビデオレコーダーに限定して私的録音録画補償金の対象とする代わりに,地上波デジタルについてはスクランブルをかけることを禁止するといったところでしょうか。従前B-CAS社に流れていたお金の一部が著作者団体等に流れるということであれば,機器メーカーもエンドユーザーも特段の不利益を被らないので(正確に言うと,有料放送を視聴したいユーザーは多少不利益を被るのですが),それならば検討に値する話ということができます。

Posted by H_Ogura at 04:04 PM dans sur la propriètè intellectualle | | Commentaires (0) | TrackBack (3)