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08/31/2008

「iTunes Storeで売らない」道?

iTunes Storeでは多数のシングルが売れているが、アルバム曲をばら売りしたくないアーティストや、採算性の高いアルバムの売り上げを増やしたいレーベルは、「iTunes Storeで売らない」道を考えている。

とのITmediaの記事(元はウォール・ストリート・ジャーナルですが)が話題になっています。

 Estelleの"American Boy"(→Estelle - Shine - American Boy (feat. Kanye West))は,私が6月に訪仏した際にも至る所でヘビーローテーションでかけられていましたし,基本的には格好いい曲だと思います。が,この曲だけのためにアルバム"Shine"を買うかというと,そこはちょっと躊躇するところではあります。

 本来は,1曲あたりの単価はシングル1曲をダウンロードするよりはアルバムを買った方が安い(Estelleの"Shine"については,通常価格が1740円で12曲ですから,1曲あたり145円なので,さほど安くないのですが,例えばHMVのマルチバイを利用すると1曲あたり約108円になりますね。)ので,「アルバム」に対する消費者の信頼が保たれていれば,アルバム需要って結構あると思うのです。また,コンセプトアルバムとして,それらの楽曲群をその順番で聴くのがベストであるとファンに納得させられるだけの編集がなされているのであれば,アルバム需要は再喚起されると思うのですが,残念ながら,iTunes Store等でアルバム楽曲のバラ購入が可能となった21世紀に入っても「価格維持のために,一定の曲数を埋めてアルバムを製作する」旧来的な手法をとるレコード会社がほとんどであるのが実情です。そこを改善することなく,ただiTunes Storeでのシングルカット楽曲の発売を中止してみても,またアルバム収録楽曲のばら売りを中止してみても,レコード会社の中期的な売り上げは却って下がるのではないかという気がします。なにしろ,その楽曲にアルバム相当の金額を出費するに値するとまでは評価しなかった消費者を取り逃すことになるのですから。)。


 なお,この記事の中には,

 エステルのアルバムは今もAmazon.comのMP3ダウンロードストアで入手できる。このストアでは、レーベルとアーティストに、アルバムの形でのみ販売する選択肢が与えられる。

との記載がありますが,「アルバムの形のみ販売する選択肢」は,少なくとも日本のiTunes Storeにはありますね(例えば,Across the Universe(→Bono - Across the Universe (Music from the Motion Picture))がこの形式で販売されています。)。


Posted by 小倉秀夫 at 01:00 PM | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/17/2008

Lawyerの扱い

 iTunes Storeにアクセスすると、任意の単語をタイトル名又はアルバム名又はアーティスト名に含む楽曲を検索することができます。JASRACのデータベースでもできますが、JASRACのデータベースだと、それがどんな曲なのか試聴することができません。

 「lawyer」という単語を含む楽曲ってまあまああるのですね。特に、ユニット名を巡っていろいろなことのあったFall Out Boyは「I'm Like a Lawyer With the Way I'm Always Trying to Get You Off (Me & You)」(→Fall Out Boy - Infinity On High - I'm Like a Lawyer With the Way I'm Always Trying to Get You Off (Me & You))と「Our Lawyer Made Us Change the Name of This Song So We Wouldn't Get Sued」(→Fall Out Boy - From Under the Cork Tree - Our Lawyer Made Us Change the Name of This Song So We Wouldn't Get Sued)と2曲も「Lawyer」という語を含む楽曲を発表しているのですね。

Posted by 小倉秀夫 at 07:08 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

Yelleの来日

 深町先生、サマーソニックでYelleのライブを見たんですね、いいなあ。


 私は、Yelleが来日してサマソニでライブをやるという話を聞いていこうかと思ってWebを見たところ、Perfumeと同じ会場、Perfumeの次という順番を見て、会場にPerfumeファンが溢れているのかと思い、回避してしまいました。



 それはともかく、YelleのPop Upは、かなりの傑作です(iTunesでもダウンロードできます→Yelle - Pop Up - Version de luxe)。Yelleと同時代に生きていてこれを聞かないのはもったいないとしかいいようがありません。



 フランス革命記念日に行われたBIZ NITEでも話したことなのですが、フランスの現代大衆音楽を日本である程度普及させるには、タワーレコードとかHMVとかの「France」コーナーに、こういうYelleとかAlizeéとかPriscillaとかのアルバムが置かれるようにするところから始まらないとしょうがないなあと思います。Ilonaとかは約1年遅れくらいでテレビのBGM等でこっそり使われるようになりましたけど、それで「いいな」と思っても、それを手にとって購入するまでに壁が大きいと、そこまでしてまでは欲しくはないということになりがちですからね。


 

Posted by 小倉秀夫 at 06:28 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/13/2008

「私的録音録画」なんぞにこだわらなくても

 楠さんが、「払いたい奴だけが追加で私的録音録画補償金を払うってどう?」というエントリーで、

まず従来通り機器に対する上乗せで補償金がある。で、そのままだと機器の振る舞いとしては現行のダビング10と同じ。それからHDレコーダはネットに繋がっている前提で、クレジットカード番号とか入れて毎月いくらかの私的録音録画補償金を支払うことに合意すると、EPNモードに切り替わり、何世代でも自由に複製できるようになって、コンテンツの複製や再生の履歴を記録、ネット経由で送信される。各個人から毎月支払われた補償金は、この複製・再生履歴に基づいて、従前よりも正確に補償金を分配される、みたいな感じ。

と述べています。


 権利者サイドが私的録音録画補償金の延長線のような収入を望んでいるのであれば、私的録音録画の補償なんてみみっちい枠組みではなく、積極的に包括的な録音録画のライセンス料を徴収するという形にすればいいのにと思ったりします。


 もちろん、家庭内でのタイムシフト目的の録音・録画についていえば、そもそも著作権者等の許諾無くしてできるのですから、利用者としてはライセンス料を上乗せされるいわれはありません。しかし、企業内でのタイムシフト目的の録音・録画については、多数説は30条1項の適用を受けないと解していますので、これを録音・録画するには著作権者等の許諾が必要です。しかし、企業活動を行う上でニュース番組その他テレビ番組を録画してタイムシフト視聴するニーズはあるのに、その番組に関し権利を有する全ての著作権者等から個別に事前に複製許諾を受けることは不可能ですし、事後的に許諾を受けることも困難です。


 また、私的使用目的でMDやCD−Rに複製した楽曲を公衆に直接見せまたは聞かせることは、無償かつ非営利であっても、著作権等の侵害となってしまいます。それに、公衆に直接見せまたは聞かせる目的で楽曲をMDやCD−Rに複製する行為はそもそも私的使用目的の複製に当たらないとおそらく判断されます。従って、いろいろなアルバムに収録されている楽曲を1枚のMDやCD−Rにまとめて、ストリートでパフォーマンスをするためのBGMに活用する行為は著作権法上は違法です。企業の運動会や町内会の盆踊り等でも、市販のCDを、1曲1曲CDを入れ替えるなどして、そのまま再生するならともかく、BGMを1枚のCD−R等にまとめた上で再生する行為は、著作権者等の事前の許諾がなければ、無償かつ非営利であっても著作権法上違法です。しかし、事前に複製の許諾を受けると言っても、JASRACの許諾は受けやすいですが、レコード会社や実演家の許諾を受けるのは結構至難の業です。


 そう考えてみると、「このマークのある録画機器を用いれば、オフィスユースであっても、タイムシフト視聴目的のテレビ番組の録画はOK」とか「このマークのあるメディアを用いれば、商業用レコードを複製して公衆の面前で再生することはOK」みたいな形でライセンス料込みの価格で売り出すことには一定の需要があるように思います。といいますか、(多数説によれば)私的使用目的の複製の範疇から外れるものの、個別的に事前に許諾を得ることが不可能または困難であり、かつ、権利者側もこれを探知して取り締まることが困難または費用倒れという類型の複製について、著作権関係権利者諸団体が集まって「物」ごとに事前的包括的許諾をして幾分かの収益に変えてしまおうという発想がなぜ出てこないのか不思議です。


Posted by 小倉秀夫 at 10:48 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/12/2008

「デジタル・コンテンツの流通の促進」及び「コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方」に対する意見

 総務省が,「デジタル・コンテンツの流通の促進」及び「コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方」に対する意見募集をしていましたので,下記のとおり意見を出してみました。


7頁

意見等

 

私的使用目的の孫コピーを制限するような制御手段は,直ちに廃止すべきである。

理由

 「コピーワンス」であろうが「ダビング10」であろうが,孫コピーを一切許さない現行方式では,携帯型プレイヤー等を介して「ユビキタス」にコンテンツを視聴できる社会は実現しない。

 テレビにおいて放送される番組は,その多くが後にパッケージ化されて販売されることなく終わるのが実情であり,私的使用目的の録画を禁止したからといって,テレビ局や番組出演者等の収入が顕著に増大することは考えがたい(劇場用映画にしても,CMでぶつ切りにされる上に,多くの場合放送時間に合わせて適宜カット等がなされているため,テレビで放送された劇場用映画が録画されたとしても,上記のような不都合がなく,かつ,特典映像等もついているDVD等の市場を脅かすものではない。)。従って,テレビ放送に関してコピー制御を行うことの必要性自体がそもそもない。

 「クリエイターに対する適正な対価の還元」という点についていえば,インターネット等を介して日本中でその番組が視聴されうること,タイムシフト視聴によりいわゆる視聴率により換算される視聴者数(いわゆるリアルタイム視聴している人の統計上の数)よりも多くの人がその番組を視聴していることを前提に,テレビ局がスポンサーから受ける広告料の引き上げ及びクリエイター等への出演料等の引き上げを図ることにより実現すべきである。その際,転送再生視聴率や,録画再生視聴率が計測できるよう,IT企業の協力を仰ぐべきである。

38頁

意見

いわゆる「無反応機」の製造・販売を法的に制限するべきではなく,仮にするとしても,コピー制御等に対応する技術については,何人も,無償かつ無条件ででこれを利用できるようにすべきである。

理由

 いわゆる「無反応機」の製造・販売を法的に制限した場合,コピー制御等に対応する技術のライセンスを恣意的に行うことにより,録画機器等の市場が不当に歪められる危険がある。また,上記技術のライセンスを受けるにあたり,制御されている行為とは直接関係のない行為を強要される危険もある(視聴規制に過ぎないB-CASについて,これと直接関係を有しない「コピー制御に反応させる」ということを飲むことを解除技術のライセンス付与の条件とするがごときである。)。もちろん,それは独占禁止法上問題があるが,ライセンスの付与が恣意的に行われることが立証されて公正取引委員会が排除勧告を行うまでには相当の時間を要するため,これを嫌って,海外のメーカーや国内の新規メーカーが国内市場への参入を躊躇する事態が懸念される。

 また,いわゆる「無反応機」の製造・販売を法的に制限した場合,コピー制御等に対応する技術のライセンスのライセンス料を極めて高額に設定することが考えられる(理論的には,特許権等の保有者の言い値を飲まない限り,録画機器等の製造販売を行い得ないことになる。)。本来クリエイターの権利を保護するために加えられたコピー制御について,上記ライセンス料の製品価格への反映という形で消費者が費用負担をさせられるのは不正義である。

85頁

意見

 放送コンテンツをインターネット上で広く二次利用できるようにするためには,実演家の権利との関係でいえば,著作権法93条及び94条頼みの現状のライセンス実務をまず改めるべきであり,レコード製作者との関係では,レコードの送信可能化等についても強制許諾制度を導入するなどにより「放送」とされた場合の二次使用料と「送信可能化」とされた場合の許諾料がアンバランスを解消し,又は,放送局からなる団体とレコード会社からなる団体とで協議をして「放送」の場合の二次使用料を引き上げる代わりにテレビ放送を「送信可能化」する場合には合理的な価格でレコード音源の使用を許諾するシステムを構築する(放送局の範囲を限定せず,新規の放送局をその取り決めから排除しないことを条件に独占禁止法の適用除外とする等の支援を国はするに留める)べきである。ただし,放送コンテンツのインターネット上での二次利用は,放送事業者又はその関連会社に限定されるべきではなく,放送事業者が恣意的にライセンスをする場合には,強制許諾制度の導入等も視野に入れるべきである。

理由

 著作権法第92条の2第2項は,実演家としての録音・録画権を有する者の許諾を得て録画された実演については,送信可能化権の対象外とするものと規定されている。従って,放送局は,その番組を製作するにあたって,そのコンテンツを二次使用することを前提に,出演者からその実演についてこれを放送することの許諾のみでなく,複製及び送信可能化することについての許諾も受け,その分のライセンス料を実演家に支払っていれば,そのコンテンツをインターネット上で二次利用することが可能である。すなわち,実演家の権利との関係でいえば,著作権法93条及び94条頼みの現状のライセンス実務をまず改めるべきである。

 テレビ番組でのレコードの使用についても,「放送」とされた場合の二次使用料と「送信可能化」とされた場合の許諾料がアンバランスであることが,放送番組での過剰なレコード音源の使用と,これを送信可能化する場合の権利処理コストの過剰性を呼び込んでいる。レコードの送信可能化等についても強制許諾制度を導入するなどにより上記アンバランスを解消するか,放送局からなる団体とレコード会社からなる団体とで協議をして「放送」の場合の二次使用料を引き上げる代わりにテレビ放送を「送信可能化」する場合には合理的な価格でレコード音源の使用を許諾するシステムを構築する等の施策が必要である。

 録画ネット事件からまねきTV事件に至るまでの近時の訴訟を見る限り,テレビ局は,東京キー局の番組を関東広域圏外の住民が視聴することを忌み嫌っており,放送コンテンツのインターネット上での二次使用を放送事業者又はその関連会社に限定した場合,東京キー局の番組をインターネット上で視聴できるのは関東広域圏内の住民に限定されるようないびつな仕組みができかねない。そのような地方住民の知る権利並びに文化的な発展を阻害するようなシステムを21世紀に導入すべきではない。

Posted by 小倉秀夫 at 12:45 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

08/07/2008

TVブレイクとJASRACの進歩

 JASRACがTVブレイクの運営会社であるジャストオンラインを訴えた件がネット上で話題となっています。

 ITMediaの記事によれば、JASRACは、JASRACの管理楽曲リスト(一般的なリストで、TVブレイク上の侵害動画を指定したものではない)をCD-ROMで送り、ついで、管理楽曲の権利を侵害した動画全般について、削除や未然の投稿防止を含む対策を要請したとのことです。この辺を見ていると、JASRACは、ファイルローグ事件のときから進歩していないような気がします(包括的許諾契約を結びお金を払うという選択肢がある分、ファイルローグのころよりは少しましではありますが。)。

 JASRACの管理楽曲リストを渡されて、管理楽曲の権利を侵害した動画全般について、削除や未然の投稿防止を含む対策をとれと要求されたって、その動画共有サイトにアップロードされている楽曲がJASRACの管理楽曲リストにある楽曲かどうかなんてわからないのだと言うことを何度言ったらわかるのでしょうか。機械的に処理するにせよ、人海戦術を行使するにせよ、JASRACの管理楽曲リストに掲載されている楽曲の歌詞やメロディ等の内容に関する情報がなければ、システム管理者側は、その動画共有サイトにアップロードされている楽曲がJASRACの管理楽曲リストにある楽曲かを知り得ないわけです。

 ファイルローグ事件で裁判所がJASRACを甘やかしてしまったのがよくないのですが、人海戦術では処理できる量が限られている(JASRACの管理楽曲リストに掲載されている楽曲の歌詞やメロディと、その動画共有サイトにアップロードされている楽曲とを比較参照しなければならない分、並びに、その動画共有サイトにアップロードされている楽曲の方はある程度の長さそれを聞かないと、そのメロディも歌詞も把握できない分、誹謗中傷発言の削除よりは手間暇が掛かります。)のは明らかなのですから、管理楽曲の権利を侵害した動画全般について、削除や未然の投稿防止を含む対策をとらせたいのであれば、インターネット上で流通している音声データのうち管理楽曲の権利を侵害したものである可能性が高いものを機械的にピックアップするシステムをJASRACの側で開発し、広くネット企業にタダで使用させればよいだけの話です。そのように「管理楽曲の権利を侵害した動画全般について、削除や未然の投稿防止を含む対策」を容易かつ安価に講じうる体制を整えた後に、なおもそのような対策を講じようとしない企業に対して訴訟を起こすというのであればまだ筋は通りますし、YouTube(Google)のようにそのようなシステムを構築する技術力と資金力を有する企業に対して訴訟を提起するというのであればまだ筋は通りますが、ジャストオンラインのような小さな企業に無理を強いる要求を掲げて訴訟を提起するというのは、弱いものいじめとの感が否めません。

 なお、訴訟の帰趨に関しては、権利侵害コンテンツの割合がどの程度あるのか、当該サイトが投稿者や閲覧者を絞り込む工夫をしていたか、運営会社の経営者が余計なことを口走っていないか、運営会社が具体的な削除要請や発信者情報の開示要請等に誠実に応じてきたかにもよりますし、すでに具体的な削除要請を行っていた部分が却ってJASRACに不利に働く場合もあり得るのですが(ファイルローグ事件の時は、管理会社側が用意したノーティス・アンド・テイクダウン手続を無視しきったことにより、この手続は実効性がないと判断してもらえました。)、まあ、どうなることでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 11:08 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

ソフトウェア紛争解決センターがADR法に基づく認証を取得

 そういえば,財団法人ソフトウェア情報センターの主宰する「ソフトウェア紛争解決センター」が,7月28日に,裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)に基づく認証を取得していたのですね。

 私も,若輩者ながら,仲裁人・あっせん人候補の一角に加えていただいています。

 よろしければ,お気軽にご利用下さい。

Posted by 小倉秀夫 at 08:34 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)