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08/13/2008

「私的録音録画」なんぞにこだわらなくても

 楠さんが、「払いたい奴だけが追加で私的録音録画補償金を払うってどう?」というエントリーで、

まず従来通り機器に対する上乗せで補償金がある。で、そのままだと機器の振る舞いとしては現行のダビング10と同じ。それからHDレコーダはネットに繋がっている前提で、クレジットカード番号とか入れて毎月いくらかの私的録音録画補償金を支払うことに合意すると、EPNモードに切り替わり、何世代でも自由に複製できるようになって、コンテンツの複製や再生の履歴を記録、ネット経由で送信される。各個人から毎月支払われた補償金は、この複製・再生履歴に基づいて、従前よりも正確に補償金を分配される、みたいな感じ。

と述べています。


 権利者サイドが私的録音録画補償金の延長線のような収入を望んでいるのであれば、私的録音録画の補償なんてみみっちい枠組みではなく、積極的に包括的な録音録画のライセンス料を徴収するという形にすればいいのにと思ったりします。


 もちろん、家庭内でのタイムシフト目的の録音・録画についていえば、そもそも著作権者等の許諾無くしてできるのですから、利用者としてはライセンス料を上乗せされるいわれはありません。しかし、企業内でのタイムシフト目的の録音・録画については、多数説は30条1項の適用を受けないと解していますので、これを録音・録画するには著作権者等の許諾が必要です。しかし、企業活動を行う上でニュース番組その他テレビ番組を録画してタイムシフト視聴するニーズはあるのに、その番組に関し権利を有する全ての著作権者等から個別に事前に複製許諾を受けることは不可能ですし、事後的に許諾を受けることも困難です。


 また、私的使用目的でMDやCD−Rに複製した楽曲を公衆に直接見せまたは聞かせることは、無償かつ非営利であっても、著作権等の侵害となってしまいます。それに、公衆に直接見せまたは聞かせる目的で楽曲をMDやCD−Rに複製する行為はそもそも私的使用目的の複製に当たらないとおそらく判断されます。従って、いろいろなアルバムに収録されている楽曲を1枚のMDやCD−Rにまとめて、ストリートでパフォーマンスをするためのBGMに活用する行為は著作権法上は違法です。企業の運動会や町内会の盆踊り等でも、市販のCDを、1曲1曲CDを入れ替えるなどして、そのまま再生するならともかく、BGMを1枚のCD−R等にまとめた上で再生する行為は、著作権者等の事前の許諾がなければ、無償かつ非営利であっても著作権法上違法です。しかし、事前に複製の許諾を受けると言っても、JASRACの許諾は受けやすいですが、レコード会社や実演家の許諾を受けるのは結構至難の業です。


 そう考えてみると、「このマークのある録画機器を用いれば、オフィスユースであっても、タイムシフト視聴目的のテレビ番組の録画はOK」とか「このマークのあるメディアを用いれば、商業用レコードを複製して公衆の面前で再生することはOK」みたいな形でライセンス料込みの価格で売り出すことには一定の需要があるように思います。といいますか、(多数説によれば)私的使用目的の複製の範疇から外れるものの、個別的に事前に許諾を得ることが不可能または困難であり、かつ、権利者側もこれを探知して取り締まることが困難または費用倒れという類型の複製について、著作権関係権利者諸団体が集まって「物」ごとに事前的包括的許諾をして幾分かの収益に変えてしまおうという発想がなぜ出てこないのか不思議です。


Posted by 小倉秀夫 at 10:48 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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