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10/26/2008

昔見た覚えのある光景

 「違法にアップロードされた著作物等のダウンロードを今度違法化しようと思うけど,ストリーミング配信は対象とならないから大丈夫」という言い回しって,「レコード輸入権を創設しても,洋楽CDの並行輸入には適用されないから大丈夫」という言い回しを思い起こさせます。

 で,レコード輸入権の時と大きく異なるのは,レコード輸入権の時は反対運動が盛り上がったこともあって日本レコード協会の依田会長(当時)等が洋楽CDの並行輸入の阻止に活用しないことを表明していたし,国会での付帯決議も入ったりしたおかげで,現在でも,洋楽CDの並行輸入を差し止めるためにレコード輸入権が活用されることは概ねないままここまできているわけですが,YouTube等の視聴者に対し権利行使しないということの表明は,権利者サイドの責任ある立場の人たちからは特段表明されていないし,反対運動が盛り上がらないと,「ストリーミング配信については,権利行使しない」ことを要望する旨の国会での付帯決議は入らないだろうということです。

 川瀬室長がいくらストリーミング配信を受信する際に行われるキャッシュの生成は違法化する対象から外すといってみても,JASRACやレコード会社,テレビ局等がこれを無視して,YouTube利用者を相手取って訴訟を提起したとしても,そのこと自体を法的にはもちろん,倫理的にも大して非難することはできません。そして,ハードディスクへのキャッシュ(RAMへの読み込みと異なり,コンピュータの電源を切っても情報は消失にない。)まで「一時的蓄積」にすぎず複製に当たらないとする見解は必ずしも支配的ではありませんから,請求が認容される可能性があります。そのときに,川瀬室長が責任を取って,川瀬室長のご見解を信じて安心してYouTubeを視聴していた人々がJASRAC等に支払わされた賠償金分を保証してくれるとは思われません。

Posted by 小倉秀夫 at 06:55 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

純粋ダウンローダーに権利行使した例が見あたらない

 mohnoさんが「ダウンロード違法化を無力化するには 」というエントリーの中で,

ちなみに「日本は終わりだ。外国に引っ越そう」みたいな話をしている人は、文化審議会の資料を読んでないのかな。違法著作物からの複製について、ドイツでは2003年に違法化されたみたいだし、フランスは(悪名高き?)スリー・ステップ・テストがあるし、そもそもイギリスでは娯楽目的で録画録音を認容する規定がないというし、アメリカのフェアユースにも該当しないだろうし、スペインでも私的複製から除外されているらしいし、カナダもアウトのようだ。違法とされていないのはオランダとオーストリアくらい。

と述べています。

 ただ,かなりの点で外しているように思えてなりません。「スリー・ステップ・テストが導入されている→違法にアップロードされているサイトからのダウンロードは違法」とは必ずしもいえないし(例えば,事実上廃盤になってしまった楽曲や日本国内盤がない楽曲など,正規商品を入手することが困難なデータについては,(海外のサイトなどに)無許諾でアップロードされているデータを日本のユーザーが指摘しよう目的でダウンロードしたところで,「著作物の通常の利用を妨げず,その著作者の正当な利益を不当に害しない」と言えなくもないように思ったりします。),イギリスの場合判例法国なので,「娯楽目的で録画録音を認容する規定がない→娯楽目的の録音録画は著作権侵害」ということにはなりませんし(米国でも,フェアユースは,もともとエクイティ(衡平法)の一カテゴリーとして,判例法として発展してきた(後に,判例法をまとめる形で条文化)したわけですし,実際,英国でも,正規商品たる商用音楽CDを正規ルートで購入して,PC経由で,自分のiPodにリッピングすることは,禁止されていないようです。)。

 また,違法サイトからのダウンロードがフェアユースに当たらないとした連邦高裁の判例として文化庁が紹介する事案というのは,ファイル共有に関する事案であって,我が国の法体系でいえば,法改正などしなくとも,送信可能化権侵害ということで,法的措置を講じうるケースだということです(ファイル共有者約3万人に対し訴訟を提起してきたRIAAですら,ファイル共有を伴わない純粋ダウンローダーをターゲットとした訴訟は提起していません。)。

 しかし,日本の著作権等の権利者団体は,送信可能化も行うダウンローダーを摘発するだけでは不十分だということで,純粋なダウンローダーに対しても権利行使を行いたいとして,違法にアップロードされたファイルを私的使用目的でダウンロードする行為を違法化するように要求しているわけですから,米国よりも,かなり個人のプライバシーに踏み込んだ運用を想定していることは間違いありません。同時にアップローダーでもあるファイル共有者の摘発では飽きたらず,純粋なダウンローダーを探し出して権利行使するとなれば,純粋なダウンローダーのIPアドレスを,データの送受信の一方当事者ではない著作権者等が知る機会はありませんから,違法ファイルのダウンロード行為を行っている蓋然性が高いことを示す特段の資料なしに,任意の個人のパソコンの中身をまるごと押さえて精査するよりありません

 いまのところ,このように個人のプライバシーを大いに侵害することなしには権利行使することができない,純粋ダウンローダーの摘発に踏み切った国があることを私は知りません。文化審議会の思惑通りに法改正がなされれば,純粋ダウンローダーを取り締まるために,一般市民のプライバシー等JASRACとテレビ局にくれてやる,世界で最初の国に日本がなるということです。




mohnoさんは「ダウンロード違法化が実現しても、一般市民の情報プライバシー保護には厳重な配慮が必要だ」と言ってはいかんのか?と仰いますが,この法改正自体一般市民をターゲットとしたものですし,一般市民のハードディスクの中にJASRACやテレビ局が著作権等を有する作品の複製物のどれとどれが蔵置されているかを精査するに当たっては,そのハードディスクを丸ごと精査するしかありません。つまり,この改正法により創設された権利を行使する限り,一般市民の情報プライバシー保護に配慮した運用というのはありえません。

Posted by 小倉秀夫 at 03:26 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (1)

10/21/2008

何が選挙の争点なのかを決めるのは,私たち主権者たる国民である。

 選挙の争点なんて,政治家が決めるものでも,マスコミが決めるものでも,ましてや田原総一郎が決めるものでもありません。我々有権者が決めるものです。だから,私たち一人一人が地元の候補者に連絡を取り,あるいは各政党にメールを送り,自分たちは,私的ダウンロードの違法化に反対であるとの意思を伝えるとともに,各候補者は,各政党はこの問題にどう対処するのか,確認を取ることは有効です。そのような個々人の行動が積み重なっていくと,この問題は,選挙の争点化していく可能性が出てきます。

 基本的には,私的ダウンロード違法化というのは,立法論としては筋が悪いのです。というのも,違法にアップロードされたデータをダウンロードした者に対しJASRAC又はテレビ局等の権利者が権利行使を認めるためには,JASRACやテレビ局等に,我々市民のパソコンの中身を精査する権限を付与しなければならないからです。すなわち,私的ダウンロード違法化というのは,我々市民の私的領域内で行われている行為を,一部の企業や団体の監視下に置くことで初めて実効性を有するに至るのであり,個々人のプライバシー権を包括的に犠牲にすることなしには成り立たない制度だからです。

 ですから,地元の候補者に対しては,文化庁は,私的使用目的のデータのダウンロード行為を著作権侵害とすることによって,私たちのパソコンの中身をいつでも精査できる権利を,テレビ局と文科省傘下の特殊法人に付与しようとしています。先生は,テレビ局や文科省の役人から私たちのプライバシーを守ってくれるのですか,それともテレビ局等に私たちのプライバシーをくれてやるのですか,とお聞きすればよいのです。

 候補者が地元でタウンミーティング等をやっているようであれば,そこに出席をしてこの点を聞いてみるものよいでしょう。「この法律が成立してしまうと,私が,違法サイトからのダウンロードをしていないとテレビ局にわかってもらうためには,恋人と撮ったムービーなんかを含めて自分のパソコン内の全ての動画ファイルを,テレビ局の人に取り上げられて,精査されないといけないんですよね。しかも,テレビ局等は,そうやって入手した個人情報を,スキャンダル報道等に活用することが自由にできるのですよね。先生は,そんな社会を作ることに賛成なのですか」と聞いてみたらよいのではないかと思うのです。この立法案の問題点の一つは,自分は違法にアップロードされたデータをダウンロードしていなくとも,潔白を証明するためには,自分の保有するパソコン内に蔵置された情報を丸ごとテレビ局に差し出さなければならないのであり,しかも,特定の(隠しておきたい)情報だけは見せないということができないと言うことになります。すなわち,このような立法がなされた暁には,裁判所とテレビ局とが「証拠保全」という形で結びつくことにより,一種のAntinyの機能を果たすことになるのです。

Posted by 小倉秀夫 at 01:34 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

10/20/2008

私的ダウンロード行為の違法化について

 津田さんが,

【速報】私的録音録画小委員会にてダウンロード違法化が決定。iPod課金は見送り。
つぶやいておられたので,自民党,公明党,民主党,社民党の方に,概ね下記のようなメールを送っておきました。共産党は,知り合いが思い浮かばなかったので,共産党のウェブサイトに掲載されているメールアドレスに宛てて,ほぼ同じ内容のメールを送っておきました。

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 文化審議会の私的録音録画小委員会において,違法にアップロードされた音声または映像をダウンロードする行為を著作権侵害とする旨の法改正を行うことを決定したとの速報が流れてきました。

 そのような法改正がなされた場合,一般市民は,JASRACまたはテレビ局からの証拠保全又は検証物提出命令等により,個人的に使用しているパソコンのハードディスクの中身及び操作ログをがっさりもっていかれた上で,どのような情報をどこから入手したのかを,丸裸にされることになります(「違法にアップロードされているデータ等をダウンロードした疑いがあるとして集められたデータを,JASRACが文科省に引き渡したとしても,JASRACに何ら制裁は加わりません。)。すなわち,政治家やジャーナリストを含めた個人の情報プライバシーは,文科省傘下であるJASRAC及び総務省傘下であるテレビ局の前には,なきに等しいという状況に陥る危険が十分にあります。

 また,そもそも,情報を入手する行為自体を著作権侵害とすることは,国民が知る権利を行使すること自体を違法とするものであって,著作権法がその究極目的とする「文化の発展」の妨げとなるものです(この法案が可決した場合,「著作権」を媒介とした,地域による情報分割が可能となります。)。

 つきましては,総選挙を前にご多忙のこととは存じますが,○○党として,この問題についてどのような方針をとられるご予定なのか,お聞かせいただければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 04:50 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/18/2008

ゼミ面接 in 2008

 昨日は,2009年度のゼミへの入ゼミ希望者の面接を行ってきました。

 今年は,レポートを提出した入ゼミ希望者が34人ということで,概ね競争倍率は1.6倍ということになりました。

 著作権法ゼミという関係上,毎年いろいろ一芸に秀でた人が応募してくれるのですが,今年も様々な能力を持った人が応募してくれたので,選ぶ側(面接に関しては,現3年生のゼミ員の意見をとても重視します。)としても選び甲斐があったというものです。

Posted by 小倉秀夫 at 05:25 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/17/2008

Wrong Impression

 京都の矢部弁護士が相変わらず「印象操作」「印象操作」とうるさいので,Natalie ImbrugliaのWrong Impressionをダウンロード(→Natalie Imbruglia - White Lilies Island - Wrong Impression)しました。Impression Operationとか,Impression Controlとかという題名の曲があがってれば,それでもよかったのでしょうが。

Posted by 小倉秀夫 at 02:02 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/15/2008

2009年度著作権法ゼミの選抜レポート

 昨日は,中央大学法学部での著作権法ゼミのゼミ員選抜用のレポートの提出期限でした。

 著作権法ゼミですと,例年,IT系に興味がある学生と,エンターテインメント系に興味がある学生とが併存することになりますので,今年は,選抜用レポートの課題を選択制にしました。

 ちなみに,今年の課題は下記のとおりです。

次の2つのテーマのいずれかを選択して下さい。
  1. 仮に、あなたが音楽プロデューサーとして日本のアーティストを海外に売り込むことを命じられた場合、どのアーティストを、どの国や地域で、どのようにしてプロモートしますか。その場合、どのような国その他の諸団体等からどのような支援を受けることが必要または有益ですか。理由も付して具体的に論じて下さい。
  2. なぜ日本ではクリエイティブ・コモンズが普及しないのか、具体的に論じて下さい。

 憲法,民法,刑法のような基本科目については,ゼミの議論の前提となる法律知識・法律理解の高低をためすようなレポート課題を出すことが可能ですが,著作権法の場合,2年生の段階で著作権法の知識があることを前提とするわけに行かないので,著作権法が問題となる領域についての知識やセンスを問うようなレポート課題にせざるを得ないなあ,と思っています。

Posted by 小倉秀夫 at 11:01 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/14/2008

海賊版の図書館への収蔵

 産経新聞によれば,萩原遼さんの著書の海賊版を納入し、貸し出しているのは著作権侵害にあたるとして、東大など8大学と外務省所管の財団法人日韓文化交流基金を相手取り、近く損害賠償を求める訴えを起こすことが判ったとのニュースが話題になっています。

 「公衆送信」云々という部分は萩原さんか産経新聞が勘違いしているだけでしょうからひとまず措くとして,プログラムの著作物以外の著作物については,海賊版の所持者がこれを不特定人に対し展示する行為は特段著作権侵害とならないので,これらの図書館等としては,当該海賊版について館外貸出しの対象としていなければ,損害賠償をしなければならない理由はありません。

 また,仮に館外貸出しの対象としていたとしても,頒布目的の所持が著作権侵害等とみなされるのは,その物が著作権等を侵害する行為により作成された者であるとの「情を知つて」行ったものに限られます。「情を知つて」の意義については,東京地判平成7年10月30日判タ908号69頁は,

著作権侵害を争っている者が、著作権法一一三条一項二号所定の「著作権・・・・・を侵害する行為によって作成された物」であるとの「情を知」るとは、その物を作成した行為が著作権侵害である旨判断した判決が確定したことを知る必要があるものではなく、仮処分決定、未確定の第一審判決等、中間的判断であっても、公権的判断で、その物が著作権を侵害する行為によって作成されたものである旨の判断、あるいは、その物が著作権を侵害する行為によって作成された物であることに直結する判断が示されたことを知れば足りるものと解するのか相当である

と判示しており,問題の「北韓解放直後極秘資料」が萩原さんの「北朝鮮の極秘文書」の複製物or二次的著作物か否かについて争いがある本件においては,この基準が変らない限り,訴訟や保全処分等を行って暫定的な結論を得ることすらしていない段階で「情を知つて」の要件を満たすことは容易ではありません。

 もちろん,上記裁判例は一般的な譲渡権が制定される前のものであり,一般的な譲渡権が制定された現在では,海賊版について譲渡権が消尽していないことを過失により知らずにこれを公衆に譲渡してしまった場合には,不法行為が成立する可能性があります(逆に,複製物の譲渡を受けたときに譲渡権が未だ消尽していないことを過失なくして知らなかった場合には,その後「情を知つて」これを公衆に譲渡したとしても譲渡権侵害とはならないわけですが(著作権法113条の2))。

 しかし,館外貸出しの場合は,譲渡権ではなく,貸与権が問題となりますから,権利の消尽云々は問題とならない反面,無償かつ非営利で行う分には,著作権者の許諾がそもそも不要ですので,過失云々が問題になることはありません。従って,実際上の争点は,館外貸出しを行った図書館等に営利性等を認めることができるのかという点に絞られることになりそうです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:55 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (2)

シンポジウム「ここがヘンだよ日本法」

 特定領域研究プロジェクト「日本法の透明化」の一環として,「ここがヘンだよ日本法」というシンポジウムが,11月28日,29日に開催されます。

 私は,28日の午前10時から行われる「著作権法における『間接侵害』と権利制限規定」というセッションでパネリストを務める予定です。

Posted by 小倉秀夫 at 11:39 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/06/2008

著作権法第2条第1項第7号の2の括弧書きの立法趣旨

 著作権法第2条第1項第7号の2の括弧書きの趣旨について,例えば加戸・逐条講義31ページは,

もともとはコンサートなどで歌手が歌をマイクを通して歌った場合に,前にいる人はその歌手の歌唱(これは第16号の箇所で述べますとおり,「演奏」に該当します。)を聞いていますけれども,後ろにいる人はスピーカーという受信装置を通じて公衆送信を聞いていると言うことになりかねませんが,この場合に公衆送信という概念で押さえるのはおかしかろうということで,少なくとも同一構内で行われている限りは公衆送信という概念をとらないで,演奏という概念で押さえようという観点から,こういう書き方をしたわけでございます。
との記載があります。しかし,現行著作権法が制定される際の国会の議事録はもちろん,現行著作権法の起草に先立つ著作権審議会の分科会の中間報告や最終答申などにも,同一構内か否かで,「演奏」か「公衆送信」かを分けるのだという趣旨の発言はありません。

 現行著作権法制定前において,例えば「有線放送業務の運用の規正に関する法律」が第2条において,

 (定義)
第二条 この法律において「有線放送」とは、左の各号の一に該当するものをいう。
 一 一区域内において公衆によつて直接聴取されることを目的として、放送を受信しこれを有線電気通信設備によつて再送信すること。
 二 一区域内において公衆によつて直接聴取されることを目的として、音声その他の音響を有線電気通信設備によつて送信すること。
 三 道路、広場、公園等公衆の通行し、又は集合する場所において公衆によつて直接聴取されることを目的として、音声その他の音響を有線電気通信設備によつて送信し、又は放送を受信しこれを有線電気通信設備によつて再送信すること。
としつつ,第10条において,
 (適用除外)
第十条 この法律の規定は、左の各号に掲げる有線放送の業務については適用しない。
 一 臨時且つ一時の目的のために行われる有線放送の業務
 二 一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合においては、同一の者の占有に属する区域)において行われる有線放送(第二条第三号に該当するものを除く。)の業務
(以下,略)
と規定されていることに代表されるように,「一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合においては、同一の者の占有に属する区域)において行われる有線放送」については「有線放送」としての規制の対象外とされていたことを踏襲したものと見る方が素直ではないかと思います。その際,同「一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合においては、同一の者の占有に属する区域)において行われる」有線放送については,「公衆送信」には該当するが公衆送信ないし有線放送としての保護・規制を受けないという規定ぶりにするより,そもそも「公衆送信」(及びその一カテゴリーである有線放送)の定義から除外するとした方が,法律の規定の仕方としてわかりやすいので,著作権法第2条において,「公衆送信」の定義規定において,上記括弧書きを付けることにしたと考える方が素直ではないかという気がします。

 ときおり,7号の2の括弧書きの趣旨は,「演奏」等に該当する場合を「公衆送信」から除き重畳適用を避けることにあったのだから,「演奏」等に該当しない場合は括弧書きを適用せず「公衆送信」に該当するものと解すべきだ,みたいな主張がなされることがあるのですが,もし立法者の意思がそのようなものだとするならば,「演奏」等の定義を先に決めた上で,「公衆送信」の定義規定において,「演奏」等に該当するものを除く旨の括弧書きを挿入したのではないかと思います。

 町村先生も,世間では、立法担当者の主観的認識といわゆる立法者意思とを混同している向きが多く、立法担当官が書いた逐条解説を金科玉条のごとく思いこむ人が多い。仰っていましたが,著作権法の分野では,何が立法者意思なのかを加戸知事の逐条解説に頼るのは結構危険だなあと言えそうです。

Posted by 小倉秀夫 at 08:26 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

私たちは,「加勢大周」の名を忘れることなどできない。

 テレビ局等々は「加勢大周」の痕跡を消し何事もなかったかのように振る舞えるかも知れませんが,知財関係者にとっては,「加勢大周」の名は忘れることができません。

 数年後の学生には,「加勢大周」事件の話をする際に,「加勢大周」の説明からしなければならないかも知れませんね。

Posted by 小倉秀夫 at 03:03 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/02/2008

プログラム関連について30条の適用除外とすべきという意見に対して

「海賊版DSソフトのダウンロード違法化求める声も〜著作権分科会 」という記事がInternet Watchにアップロードされています。その中に,
 プログラム関連の取り扱いについて弁護士の松田政行氏は、早急に30条の適用除外とすべきと主張した。松田氏は、「ニンテンドーDSのソフトは、これまで推計185万本の違法複製が行われ、被害額は60億円に達したと聞いている」として、経済的損失が大きいことを指摘。こうしたプログラムをアップロードした人だけでなく、ダウンロードなどの複製行為自体も違法とすべきと訴えた。
との記載があります。しかし,「ニンテンドーDSのソフトは、これまで推計185万本の違法複製が行われ、被害額は60億円に達した」と述べている人がいるということから,「プログラム関連の取り扱いについて……、早急に30条の適用除外とすべき」との結論を導くのは困難です。むしろ,「ニンテンドーDS用のソフトがネット上に大量にアップロードされているという状況を何とかしたいと任天堂が考えているのであれば,新人弁護士が大量に余っているので,任天堂は,企業内弁護士を大量雇用するなどして,ニンテンドーDS用のソフトを違法にアップロードしている人々に対し適切に権利行使すべき」というのが筋ではないかと思います。いや,何度も言っていることですけど,ダウンロード行為を違法としたって,ダウンロードした人を摘発して権利行使するのって,アップローダーを摘発して権利行使するより遥かにハードルが高いので,早急な対策としては意味がないと思います。

 もっとも,30条の例外とすべきとする複製行為について「ダウンロードなど」としている点は不気味です。外出先に何枚ものカードを持ち歩くのが面倒くさいとして,マジコンを使って,複数のDS用ソフトを1枚のカードにコピーする行為まで禁止しようということなのでしょうか。その場合は,30条ではなく,47条の2で権利制限されるから大丈夫ということなのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 11:55 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)