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11/30/2008

Pirates and the Beatles

 上林格さんの「この日のビートルズ」という連載記事の「ありがとう海賊放送」という記事は,とても興味深いものです。

  英国放送協会(BBC)ラジオが独占していた英国でも、64年になると海賊放送が続々と現れており,BBCラジオ番組のお堅いクラシックやぬるーいポピュラー音楽に飽き足らないポップス・ファンを当て込み、千トン級の船に放送設備を積んで、海上から放送していたのであり,初期のビートルズは拡販の場をラジオに求めていたとのことです。海賊放送が勝手にどんどん宣伝してくれるため、ビートルズはコンサートや映画、テレビの出演に忙しいなか、プロモーションのためにわざわざBBCラジオに出演するメリットがなくなったとのことなのです。

 その後,ポピュラー・レコードの売り上げが激減したレコード会社政府に圧力をかけて電波法を改正させ、海賊放送は違法となったとのことでです。

 ここでの一つの教訓は,新しい分野の音楽が普及するためには,独占的又は寡占的なメディア以外に,音楽をいわばゲリラ的に流布させる人たちが有益(ないし必要)であるということです。それは,寡占的メディアで仕事をする人々は,そのようなメディアに就職できる立場にいるということからも,しばしば既存のエスタブリッシュメントに近い心性ないし感性の持ち主が多いということによるのかもしれません。あるいは,寡占的メディアで取り上げてもらうのに必要な関門をクリアすることが新しい分野の音楽には難しいということなのかもしれません(男性アーティストの場合,枕営業もしにくいですし。)。

 この60年代のヨーロッパで海賊放送が果たしてきた役割は,米国ではミニFMが担ってきたし,現代ではインターネットラジオやユーチューブなどが担っているということがいえるでしょう。その点,商業用レコードに収録された楽曲をインターネットラジオで使用するには自分たちの許諾を必要だと主張しながらインターネットラジオ放送局が包括的使用許諾契約を結ぶための集中的権利処理システムすら用意できない我が国のレコード会社たちのおかげで,日本のアーティスト達は,上記「海賊」たちが担ってきたプロモーション効果を期待できなくなってしまいます。

 名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を、レコードにプレスされる前に丸ごと放送したことでも知られるラジオ・ロンドンにリンゴ・スターが感謝の意を表してそのスタジオを訪れ,その最後の放送日に放送されるメッセージを収録したことからも,むしろこのような「海賊」たちの存在は,先駆的なミュージシャンたちにとっても望ましい存在であったことが窺われるのではないかと思ったりします。

Posted by 小倉秀夫 at 07:02 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/29/2008

O! Oh! Obama!

 La Compagnie CréoleのO! Oh! Obama!(→La Compagnie Cr?ole - O! Oh! Obama! - Single - O ! Oh ! Obama)がフランスシングルチャートの初登場33位にまでいったのが驚きです。音楽的には,いかにもクレオール的なイージーリスニングといった感じなのですが,オバマ人気はフランスでも高いということの表れなのでしょう。

 さらに,Parodie de La Compagnie CréoleのObamasquéなんていうのがあって,まあこちらは多分に揶揄的ですが(って,オバマ氏に対して揶揄的なのか,La Companie Créoleに対して揶揄的なのかはともかくといたしまして。),コメディ業界はオバマ氏の当選で冬の時代を迎えるとしても,音楽業界は結構生き生きとするのかもしれません。

Posted by 小倉秀夫 at 08:14 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/28/2008

日本法透明化プロジェクトのシンポジウムでの発言の趣旨

 今日のシンポジウムで言いたかったことの前半は概ねこんな感じの内容です(まあ,シンポジウムですから,予定通りに全て語れるわけでもないのですが。)。


 著作権法には表現活動に対する規制立法という側面があります。新たなコンテンツを創作して発表するというのももちろん表現活動ですが,他人が創作したコンテンツを配布するのも表現活動ですし(政治的なビラ配りを考えていただければわかりやすいと思います。),また,表現の自由の1カテゴリーとして「知る権利」を認める通説的な考え方に従えば,他人が創作したコンテンツを「知る」こともまた「表現活動」として憲法第21条による保護の対象となります。それ故,著作権法という表現活動規制立法が表現の自由を不当に制限する違憲なものとならないようにするために,著作権等に一定の制限を加えることは,憲法上の要請であり,国際人権規約B規約上の要請でもあるといえます。

 このことから,立法府においては,表現の自由に対する不当な制限とならないように適切な著作権等の制限規定を設けておくことが求められるとともに,司法府においては,著作権法の諸規定を合憲的に解釈したり,一般条項を活用したりするなどして,表現の自由を不当に制限しないような著作権法の解釈・運用をしていくことが求められます。この,著作権法が表現の自由を不当に制約することを回避するための一般法理を「フェアユース」と呼ぶのであれば,それは現行法の下で特別な立法を要せずして裁判所が援用することは可能な(といいますか,むしろ望ましい)のでしょうし,それを「一般条項」という形で明文化することはさらに望ましいと言うことになろうかと思います。

 さて,著作権法による表現規制は,概ね,表現内容に対する規制と,表現の方法に対する規制とに分かれると思います。多くの場合,既存の著作物等と同じ表現を用いなければ想定した内容を表現できないということではないので,「表現の方法に対する規制」ということになると思いますが,翻案とか,引用とかという領域では,特定の既存著作物に用いられた特定の表現を組み入れること自体が「表現内容」の中核をなす場合がありますので,この場合は,さらに「表現内容に対する規制」という側面が強くなっていくこともあろうかと思います。

 表現方法に関する規制については,憲法学説的には,「立法目的は正当であっても,規制手段について,立法目的を達成するために『より制限的でない他の選びうる手段』を利用することが可能であると判断される場合には,当該規制立法を違憲とする,いわゆるLRAの原則が広く支持されていますが,最高裁判所は,いわゆる猿払事件の大法廷判決以来,「合理的関連性」基準を用いているとされています。

 これによれば,表現行為の時・場所・方法の規制は,① 禁止の目的、② この目的と禁止される表現行為との関連性、③ 表現行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡の三点から検討して,当該表現行為を規制することが「合理的で必要やむをえない限度にとどまる」と認められるときには,憲法上許容されるということになります。では,これを著作権法による表現行為の規制に当てはめてみるとどうなるでしょうか。

 まず,著作権法による表現規制の目的をどう捉えるかですが,古典的なインセンティブ論を言い換えるとすると,著作権法による表現規制の目的は,「著作物の創作・流通に資本を投下しない競業者を排除することによって投下資本回収可能性の維持し,もって資本投下を奨励する」ことにあるということになろうかと思います。以下は,ある特定の行為を禁止することとこの目的との関連性があるのか,あるとすればどの程度の関連性があるのか,そして,その行為を当該行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡が取れているのかということを勘案して,著作権法により当該表現行為を禁止することが「合理的で必要やむをえない限度にとどまる」と認めらるかを検討していくことになります。

 例えば, ある企業の総務部において,テレビのニュース番組等で自社がどのように取り上げられているのかをチェックするために,全てのニュース番組を会社が購入し本社の総務部内に設置されている家庭用ビデオ機器で録画する行為を考えてみましょう。これは,企業内での複製は企業内の少人数かつ閉鎖的領域内で使用する目的でなされたとしても著作権法30条1項の適用を受けないとする多数説に従った場合には,複製権侵害行為ということになります。しかし,このような企業内録画というのは,テレビ局等が提供している正規商品では代替できず,従ってテレビ局等の商品・サービスとは競合関係に立ちません。従って,著作権法によってこのような録画行為を規制することは,規制目的との間に合理的な関係がないので許されないということになろうかと思います。その結論を導く論理としては,著作権法30条1項を,企業内複製であっても権利者の提供する正規商品等と競合しない複製については適用されるように合憲的な解釈を行うか,または,そのような複製は著作物の公正な利用にあたるから複製権侵害とはならないとするか,表現の自由を不当に制限する態様での複製権の行使は権利の濫用に当たると解釈するかは,理論的な枠組みの問題ということになります。

 また,東京キー局の放送を受信してインターネットを介して同時再送信する場合を考えてみましょう。これが,関東広域圏内に限り同時再送信する場合,本来その放送が届くべき人にその放送を届けているだけですから,テレビ局の投下資本回収可能性を何ら損なっていないのであり,仮に再送信事業者に営利目的が認められるなどの理由でこれを規制することがあれば,憲法適合性が問題となっていきます。他方,関東広域圏外へも同時再送信する場合には,① これを禁止することとテレビ局の投下資本回収可能性の維持との間に関連性がどのくらいあるのか,そして,② これを禁止することにより得られる利益(正直よく分からないのですが)と,禁止することにより失われる利益(東京キー局の放送を関東広域圏内居住者と同時に視聴できるということは,情報の地域格差を解消するという利益があります。)との均衡等を勘案して,その憲法適合性を判断するということになります。

 今日の小島先生のレポートでは,「著作権の制限規定は厳格に解釈しなければならない」とのテーゼ自体の妥当性が問われました。しかし,著作権の制限規定を拡張的に解釈することにより著作権法が表現行為を不当に規制することを解釈できるのであれば,それを「権利」の方から見て「合憲的限定解釈」と表現するか否かはともかくとして,むしろ好ましいことであって,何ら憚る必要はないということになりそうな気がします。

 なお,表現の方法に対する制限についてLRAの基準を適用できるとすれば,当該行為を差し止めなくとも行為者に権利者への金銭給付を義務づければ投下資本の回収可能性を維持できると裁判所が判断した場合には,差止請求を棄却して,損害賠償義務のみを課したり(宇奈月温泉事件等を考慮すると現行法下でもできる可能性はありますが。),判決をもって強制許諾を命じてしまうということも出来るのかもしれません。まあ,LRAの基準は我が国の最高裁は採用しないのですから仕方がありません。

Posted by 小倉秀夫 at 09:52 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/19/2008

レコード業界は鎖国を目指すのか

 相変わらず,エイベックスの岸取締役がおかしなことを言っています。

そのとき、日本はどのような戦略でどの部分を強化していくのか。少なくとも現状の政府のバラバラな取り組みのままでは、惨敗は必至である。個人的には、日本としての新たな戦略が必要であり、その遂行の過程では、プラットフォーム・レイヤーも含めた全く新しい形での“ネット鎖国”的な取り組みも必要ではないかと思っている。今のままでは、ネットは米国の価値観を具現化する場にしかならず、独自のクリエイティビティーを強化して付加価値に昇華させることもできないであろう。

 コンテンツ立国を目指し,むしろコンテンツを我が国の「輸出品」にしようというのであれば,そのコンテンツは世界標準のプラットフォームで流通させざるを得ないのであって,そのときに日本国内だけ独自のプラットフォームを構築してしまえば,日本のコンテンツ企業は,複数のプラットフォームに対応させるために余分なコストを支払わされることになります。それって,日本のコンテンツ企業の国際企業を低下させる方向にむしろ繋がるはずです。欧米人が好みそうな「Japan Cool」的なアーティストを抱えていないエイベックスはそれでよいかもしれませんが,それって国是に反するよねって感じはどうしても否めません。

 っていうか,エイベックス傘下のアーティストって,Myspaceさえろくに開設していないではないですか。私がよく聞くヨーロッパ系のアーティストは普通にMyspaceを設けてそこでシングルカットされた曲やアルバム収録等をフル視聴させたり,YouTube等にPVを流してそれをMySpaceからリンク貼ったりして,世界規模で自分たちのコンテンツを売り出そうとしているわけですけど,日本のアーティストでそういうことやろうとしているのって,くるりとかCorneliusとか未だごく少数です。そんなことでどうやって,「独自のクリエイティビティーを強化して付加価値に昇華させる」ことができるのでしょう。外国の優れた作品を日本人が聴けないようにすることで,音楽を聴きたい人は日本人アーティストの作品しか聴けないようにすれば,当面,日本国内の需要だけで食べていけるという算段でしょうか。そのためには,正規には日本国内での流通を許されていない海外アーティストの作品をネットを介して視聴する行為を禁止する必要があり,そのために「ダウンロード違法化」を推し進めようと言うことでしょうか。

 そりゃ,じり貧必至ではないでしょうか。「県境」に守られているローカルテレビ局がいつまで経ってもキー局と互角に戦えるコンテンツを生み出せないでいるのと同様に。

Posted by 小倉秀夫 at 02:16 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

11/17/2008

デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会報告書案に関する意見

「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会報告書案に関する意見募集」について,下記のとおり意見を提出しました。


レコード,放送番組に関する権利の集中は,コンテンツのインターネット上での再利用を促進する上では不十分である。


 「レコードについては、実演家等の権利を集中化させるための特別の法律上の措置はないが、原則として製作段階からその後の利用も含めた契約が行われているため、実演家の権利はレコード製作者に集中されている。また、作詞家、作曲家等の音楽の著作権は、一任型の集中管理が進んでおり、管理事業者を通じた権利処理が可能である。このため、ネット配信に伴う権利処理については大きな問題がない。」(4頁)とあるが,これは事実誤認である。

 レコードについては,大手レコード会社の共同出資に掛かる音楽配信事業者があることもあり,当該事業者と競合関係にある事業者がスムーズに許諾を受けられない傾向が強い(なお,実演家が自らの実演をインターネット上で広く利用してほしいのに,レコード会社がこれを拒んでいることから,実演家とレコード会社との間で訴訟に至った例がある。)。また,日本以外の先進諸国では,商業レコードに収録された楽曲をインターネットラジオ等に用いることが広く行われているが,日本ではそうなっていないが,その最大の要因は,送信楽曲数や広告等収入に応じた使用料でレコード音源のインターネットラジオ上での利用を包括的に許諾する仕組みが日本にはなく,かつ,ほとんどのレコード会社は個別に許諾を取りに行ってもこれに応じないからである。

 このように,レコードについては,インターネット上での二次利用に関しては,レコード会社が障害になっている


 また,「放送番組については、ビデオ化が予定されるドラマなど一部のものを除き、製作段階においてその後の利用も含めた契約はほとんど行われてきていない。また、最近は番組ごとの権利情報の整備が進められているが、過去のものについては、権利情報が整備されていない場合も多い。」(5頁)とあるが,放送番組については,東京キー局の製作した番組を再送信するくらいしか能のない地方地上波放送局を救済するために,インターネットを用いて情報を送信するのに,受信者の範囲を「放送対象地域」に限定しなければならないという本末転倒な状況下に置かれている(例 NTTぷららの行う地上波デジタル放送再送信サービス)。

 すなわち,著作物等が広く享受されることによる文化の発展を目指して著作物等を日本中の隅々に行き渡させる役目を担う放送事業者に一定の特権を付与したのに,放送事業者を守るために,著作物等の流通が県境で阻害されてしまっているのが実情であって,これは放送事業者に著作隣接権を付与した趣旨からすれば,本末転倒である。

 

 音楽著作物に関しJASRACが集中管理する体制がそれなりにうまくいっているのはJASRACが自らまたはその出資する会社を介して著作物等を利用して利益を得る事業を行っていないが故に,予め定められた料金を支払うことに合意した上で著作物を利用したいと申し込んできた者に対し中立的にこれを承諾してきたからである。このように権利集中管理システムが功を奏するためには,権利を集中的に管理する者が著作物等の利用を希望する者に対し中立的に許諾を行っていく体制があることが不可欠である。現時点では,レコードにしても,放送番組にしても,自ら又はその出資する会社を介して著作物等を利用して利益を得る事業を行っている者(レコード会社,テレビ局等)が許諾権を集中的に管理しており,それゆえ,適正な利用料を支払って正規に著作物等を二次利用したい者が正規に二次利用できない状況下にある。


 よって,著作物等の(インターネット上での)二次利用等を推し進めるためには,レコード会社やテレビ局が握っている許諾権を中立的な権利集中管理事業者に管理させるか(従わないテレビ局については,「電波の私物化が著しい」として放送免許を取り上げるなどの方法により),条約の許す範囲内で強制許諾制度を導入するなどするべきである。

技術的回避手段が邪な目的で用いられている場合があり,その保護を安易に強化すると,却ってコンテンツの開発の阻害や機器メーカー等による不正な利益の取得に繋がりうる。


 「一方、権利者からは、ネットを通じて大量の違法コピーが行われていること、「マジコン」等の回避装置が若年層を含め一般的に広まっていることなどを背景に、現行制度の対象機器の範囲を見直すべきではないか、また、回避装置の提供行為を刑事罰の対象とすべきではないかなどの意見があった。」(17頁)との記載がある。しかし,「マジコン」等は,ゲーム機器メーカーと「ライセンス契約」を締結していない中小企業や個人が開発したゲームソフト等をゲーム機で実行するためにも広く使われている。「マジコン」等の製造・販売等が禁止された場合には,ゲーム機メーカーがそのゲーム機で使用できるソフトウェアの内容やその開発者の企業規模等をコントロールできることになり,却ってコンテンツやその開発者の多様性を損なうことになり,さらには学生を含むアマチュアが作品を発表する機会を押しつぶすことにより,次世代のクリエイターが育つ土壌を失わせることになる。

 従って,アクセスコントロールの回避装置についての規制を強化する場合には,それが機器メーカー等によるコンテンツの支配を強化することにならないような慎重な配慮が必要であり,コンテンツ提供者が機器メーカー等の審査にパスしなければ,あるいは高額のライセンス料を支払わなければ,その提供するコンテンツが当該機器で使用できないとされるようなアクセスコントロールについてはこれを回避する装置の製造・販売等を禁止すべきではない。

 また,地上デジタル放送については,NHK等が出資するB−CAS社のみが提供するB−CASカードを購入させるために放送波にアクセスコントロールが掛けられるという事態が生じているが,アクセスコントロールの回避装置についての規制を強化する場合には,アクセスコントロールの解除に関する機器や特許等で一儲けを企む事業者(団体)が生まれる危険がある。これは,著作権法によっても不正競争防止法によっても本来正当化されるべきでないものである。従って,アクセスコントロールを適切に回避するための機器等に関しては,機器等の代金・使用料もしくはそこに用いられている特許料等の名目で金銭請求を行い,または,本来義務のないことを行うことを条件とすることを,きっちり禁止することなどが必要である。

Posted by 小倉秀夫 at 02:00 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/12/2008

L.H.O.O.Q

 前回の中央大学でのゼミの課題として,次のような設問を出しました。

Marcel Duchampが『L.H.O.O.Q.』を製作し,また,『髭を剃られたL.H.O.O.Q.』を公表する行為は,現在の日本で行われたとしたら,犯罪となるでしょうか。

 著作権法第60条は,

著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

と規定し,これを受けて著作権法第120条は,

第六十条又は第百一条の三の規定に違反した者は、五百万円以下の罰金に処する。

と規定しており,このため,著作権の保護期間をどうするかに関わりなく,著作者の人格的利益は半永久的に保護されるとされています。では,有史以来人類が創作した作品全てについて,現代においても,著作者の人格的利益は保護されているのだろうかということがここでは問題となります。

 加戸・逐条講義等ですと,上記の点を肯定しつつ,起訴便宜主義があるから大丈夫だという話をするのですが,遠い昔に創作された作品についてはこれを改変等しても刑事罰を科せられないような解釈論が何かないだろうかということが問題となります。

 この点についての私の試案は,旧著作権法第47条が本法施行前に著作権の消滅せざる著作物は本法施行の日より本法の保護を享有すと規定しているのを反対解釈して,旧著作権法施行前に著作権が消滅した著作物についてはその時点で著作者人格権を含めて権利が消滅したと解した上で,現行著作権法附則第2条1項を類推適用して,「現行法施行日以前に消滅している権利については,現行法の施行により復活しない」という部分を著作者人格権についても拡張して,旧著作権法施行時に既に著作権が消滅している著作物については,現行著作権法60条及び120条が適用されない,とするものですが,技巧的にすぎるような気はしなくもありません。

Posted by 小倉秀夫 at 08:32 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

「著作物の利用についてのアンケート調査」に協力してみる。

 文化庁から「著作物の利用についてのアンケート調査 ~ ご協力のお願い ~」というのが来ていましたので,早速回答しておきました。

 これは,「文化審議会著作権分科会「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会中間整理」に関する意見募集の実施に際し、意見を送った個人に対しなされるもので,太田勝造東京大学法学部教授が調査責任者となっているものとのことです。

 個人の著作物についての著作権の保護期間を自由に決められるとしたら,というアンケートについては最短で死後0年という選択肢までしか認めてもらえなかったのは残念でした。もちろん,ベルヌ条約等を改正するか同条約等から脱退する必要があるので現実的ではないのですが,自然人,法人とを問わず,公表後2〜30年くらい保護すれば十分ではないかという気がするものですから(投下資本の回収可能性という点では,それくらいの期間独占権を認めれば十分ですし,人口に膾炙したものについていえば公表後30年も経つと半ばインフラ化してしまうと思いますので。)。

Posted by 小倉秀夫 at 03:19 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/11/2008

Little Bootsのmixtape

 London出身のLittle Bootsの公式サイトにアクセスすると,本人特製のmixtapeが無料でダウンロードできるのですが,この40分超のmixtapeがとても格好良いです。

Posted by 小倉秀夫 at 09:30 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/10/2008

「研究開発における情報利用の円滑化について」についての意見

 「第4節 研究開発における情報利用の円滑化について」についても下記のとおりパブリックコメントを提出しました。


 営利目的の有無にかかわらず,研究開発等(商品開発を含む。)の過程における著作物等の利用については,権利制限規定を設けるべきであるし,その過程でなされる改変については,それが公表されるまでは同一性保持権侵害とならないこととすべきである。その理由は下記のとおりである。

 既存の著作物等を利用した作品ないし商品を開発するにあたっては,誰のどの作品のどの部分をどのように利用したら最も効果的かについて試行錯誤がなされるのが通常である。開発部門としては,試作品等を作成する前の段階でその著作権者等に許諾を求めるのは手続が煩雑である。

 他方,当該著作物等の著作権者においては,第三者の研究開発部門等が当該著作物等の全部または一部をそのまま又は改変して試作品等を作成していたとしても,それが公表され市場に供給されるまでは,当該著作物等に係る正規商品の流通を阻害することはない。従って,このような開発段階での著作物等の利用がなされても,当該著作物の著作権者等の経済的権益を害しないので,当該著作権者等にそのような利用を禁止する権利を認める必要はなく,又は,当該権利者等に補償すべき損失も生じない。同様に,試作品等が公表されない限り,当該著作物等により形成される著作者等の社会的評価に変動が生ずることもないので,著作者等に,試作品等の作成過程でなされる著作物等を改変を禁止する権利を認める必要もない。

 実際問題としても,試行錯誤の結果,既存の著作物等のどの部分をどのような形で利用してどのような作品又は商品に仕立て上げたのかが概ね決まってからでなければ,そこでなされる著作物等の改変についての同意を求めにくいし,同意する方もしにくい。

 よって,上記のような法整備が求められる。

Posted by 小倉秀夫 at 02:14 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

「第2節 私的使用目的の複製の見直しについて」についての意見

 「文化審議会著作権分科会「法制問題小委員会平成20年度・中間まとめ」について,特に「第2節 私的使用目的の複製の見直しについて」について,下記のとおり意見を提出しました。


 私的使用目的で違法複製物等から著作物を複製する行為を違法化する法改正は不要であるのみならず,有害である。その理由は下記のとおりである。

 諸外国でも,著作権者等による権利行使の対象となっているのは,P2Pファイル共有システムを用いて違法複製物等をダウンロードした者であって,ダウンロードしたデータファイルを共有フォルダに蔵置していたものである。そして,世界に先駆けて著作物等について送信可能化権を設けている日本法においては,このような者に対しては送信可能化権を行使することが可能である。

 そうではなくて,ダウンロードしたデータファイルを共有フォルダに蔵置していない場合についても著作権者等による権利行使を行いたいとのことであれば,それは世界でもほとんど前例のないことであり,それが認められた場合の弊害はとても大きい。すなわち,その場合,著作権者等の側で被疑侵害者の使用しているコンピュータ内のハードディスク等の中に自分が著作権等を有する楽曲等の複製物が蔵置されていることを証明しなければならないが,そのためには,著作権者等は,第三者が使用しているコンピュータにどのようなデータが蔵置されているのかを検証することが必要となる。そして,それを可能とするためには,自分が著作権等を有する楽曲等が多数違法にアップロードされていることを疎明すれば,任意の第三者を債務者として証拠保全の申立てを行い,その使用しているコンピュータ内のハードディスクの100%物理コピーを入手することがほぼ必須である。従って,上記のような法改正がなされた場合,裁判所は,その立法趣旨に鑑み,現行の民事訴訟法の規定に従い,上記証拠保全手続としてのハードディスクの100%物理コピーを許可する可能性が十分にある(なお,当該第三者が違法にアップロードされた著作物等をダウンロードしていることの疎明は,技術的に困難であるし,それはまさに保全された証拠によって立証しようとする事項であるが故に,要求されないと予想される。)。この場合,当該ハードディスクにて保管しておいたプライバシー情報等は全て著作権者等に知られるところとなり,別の用途に悪用される危険がある(なお,証拠保全で収集した証拠により得た個人情報を他の用途に利活用することを刑事罰をもって禁止する法律は現在存在しないので,民事で慰謝料等を支払っても採算がとれるとなれば,別の用途に悪用される可能性は十分にある。)。

 なお,上記のような法改正が希望される表向きの理由としては,「ファイル交換ソフトによる違法配信からの録音録画については、違法な送信可能化や自動公衆送信を行う者を特定するのが困難な場合があり、送信可能化権や公衆送信権では充分対応できない」ということがあげられている。しかし,上記のような「当てずっぽうで対象を選んでの証拠保全」を行わないとすると,違法な送信可能化や自動公衆送信を行う者を特定するよりも,それらの者からデータの送信を受けた者を特定する方が技術的に困難である(今回の資料の中でも,「仮にそのような法改正がなされた場合に,誰が何をダウンロードしたのかをどのように特定することが予定されているのか」について具体的に示されていないのは残念である。)。

 また,電子掲示板等に投稿する際にだけインターネットにアクセスすれば足り,公衆にIPアドレスを晒す必要がない名誉毀損等のケースと異なり,ファイル交換ソフトによる著作物等の違法配信の場合,継続的に自己のIPアドレスを公衆に晒す必要があるから,違法な送信可能化や自動公衆送信を行う者を特定するのは,技術的・法的には比較的容易である(日本の著作権等管理団体は,米国やドイツ等の著作権等管理団体と異なり,弁護士費用を惜しんで,違法な送信可能化や自動公衆送信を行う者を特定して権利行使することを怠ってきただけのことである。)。

 また,上記法改正がなされてしまう場合には,いわゆる動画投稿サイトにて,日本では公開されていない海外の作品を視聴したり,民法テレビ局の少ない地域の住民が地元に系列局のないキー局の番組を視聴すること自体が違法とされてしまう等,著作権者等から地理的にブロックされている情報を知ること自体が不法行為とされてしまうのであり,それは国民の知る権利を大いに害することになる。

 なお,「ストリーミングに伴うキャッシュについては、著作権分科会報告書(平成18 年1 月)における一時的固定に関する議論の内容等を踏まえた上で、必要に応じ法改正すれば問題がないと考えられる」との議論があるが,「RAMへの一時的蓄積は著作権法上の複製にあたるか」という点についてはあたらないとするのが多数説並びに下級審判例ではあったものの,ハードディスクに固定されるキャッシュについては,コンピュータの電源を一度落としても繰り返し利用することが技術的に可能であるが故に「複製」と認定される可能性が高く,上記のような法改正がなされた場合には,著作権者等による情報の地理的分割に活用される危険が十分にあり,そのように活用された場合に,上記情報の地理的分割によって利益を得るのがテレビ局やレコード会社等文化庁と繋がりの深い事業者であるが故に,「複製」の定義に関する法整備が速やかに行われる可能性は低いと思われる。  

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11/07/2008

Tenia tanto que darte

 私的には"Idiota"で衝撃のデビューを果たしたNena Daconteですが,しばらく新譜が出ないのでスペイン風一発屋だったのか!と思っていたところ,実は新譜"Tenia tanto que darte"を出していたのですね。といいますか,iTunes Store For Espanaのシングルチャートで1位ですよ。

 ニューアルバム"Retales De Carnaval"も出ているようなのですが,またこれをどうやって入手したものか考えあぐねてしまうところです(amazon.esとか,ないですから。)。前作も,米国のオンラインCDショップがスペインから並行輸入したものを,日本から並行輸入するという迂遠な方法をとらざるを得なかったですし。

 それにしても,Nena Daconteは,独自ドメインを用いた公式サイトを持つことは当然,さらにMySpaceやFacebookはもちろん,YouTubeにチャンネルをもったり,Twitterもやったり,ということで,今時のアーティストは大変ですね。

Posted by 小倉秀夫 at 01:55 AM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/04/2008

小室哲哉さん逮捕との報道にあたって

 小室哲哉さんが逮捕されたとのニュースがマスコミ各社で報道されています。

 このクラスの商業音楽に関する歌詞・メロディ等の著作権は,作詞家・作曲家→音楽出版社→JASRACというふうに転々譲渡されているのが通常なので,売買の対象とするのであれば,著作権それ自体ではなく,「音楽出版社から著作物使用料の支払いを受ける権利」ではなかったかと思ったりします(小室さんが作詞・作曲したヒット曲約800曲についての著作物使用料の支払いを(未来永劫)受ける権利が10億円ならば,そんなに不思議な買い物ではなかったと思いますし。)。

 もっとも,作詞家・作曲家→音楽出版社への著作権譲渡に関して著作権原簿への登録がなされていない場合には,作詞家・作曲家→投資家への著作権譲渡は有効であり,後に著作権譲渡を受けた投資家は,先に著作権原簿への登録を受ければ背信的悪意が認定されない限り音楽出版社に対抗できるので,後から著作権譲渡を受けた投資家の方に譲渡登録を行ってしまえば,とりあえず詐欺罪は成立しなかったのではないかという気がしたりもします。不動産の二重譲渡であれば先行譲受者との関係で横領罪が成立するところですが,譲渡の客体が著作物だと「財物」性に問題がありそうです(詐欺や恐喝と違って,「利益横領」みたいな規定はありません。)し,かといって,二重抵当と同様に背任に持って行けるのかというとそこも何だか辛そうな気がします(まだちゃんと検討していませんが。)。まあ,刑事罰が科されるか否かが微妙だというだけで,先行譲受人に対する損害賠償義務が認められることは確実なので,おすすめできる話ではありませんが。

Posted by 小倉秀夫 at 11:59 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (3)

11/03/2008

理論的には違うかもしれないけど

 mohnoさんは,次のように述べています。

「新たなサービスが違法行為に使われる可能性がある」のと「新たなサービスが違法行為を前提にしている」は全く違う。

 しかし,違法な著作権・著作隣接権侵害行為に用いられる可能性があることを知りつつ,これを未然に防止する方法を見いだせないまま,新たなサービスを開始した場合には,「新たなサービスが違法行為を前提にしている」どころか,「新たなサービスは,違法行為に使用されることを目的としている」と認定される十分な虞があります(cf.ファイルローグ事件)。

Posted by 小倉秀夫 at 05:53 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

11/01/2008

Paris for President

 "Paris for President"のミュージックビデオを見て,Paris Hiltonのスタッフはただ者ではないと思ってしまいました(著作権処理はすませていると思われるREUTERSのサイトにリンク。歌詞は,こちら。)。

Posted by 小倉秀夫 at 12:52 PM dans musique | | Commentaires (1) | TrackBack (0)