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11/30/2008

Pirates and the Beatles

 上林格さんの「この日のビートルズ」という連載記事の「ありがとう海賊放送」という記事は,とても興味深いものです。

  英国放送協会(BBC)ラジオが独占していた英国でも、64年になると海賊放送が続々と現れており,BBCラジオ番組のお堅いクラシックやぬるーいポピュラー音楽に飽き足らないポップス・ファンを当て込み、千トン級の船に放送設備を積んで、海上から放送していたのであり,初期のビートルズは拡販の場をラジオに求めていたとのことです。海賊放送が勝手にどんどん宣伝してくれるため、ビートルズはコンサートや映画、テレビの出演に忙しいなか、プロモーションのためにわざわざBBCラジオに出演するメリットがなくなったとのことなのです。

 その後,ポピュラー・レコードの売り上げが激減したレコード会社政府に圧力をかけて電波法を改正させ、海賊放送は違法となったとのことでです。

 ここでの一つの教訓は,新しい分野の音楽が普及するためには,独占的又は寡占的なメディア以外に,音楽をいわばゲリラ的に流布させる人たちが有益(ないし必要)であるということです。それは,寡占的メディアで仕事をする人々は,そのようなメディアに就職できる立場にいるということからも,しばしば既存のエスタブリッシュメントに近い心性ないし感性の持ち主が多いということによるのかもしれません。あるいは,寡占的メディアで取り上げてもらうのに必要な関門をクリアすることが新しい分野の音楽には難しいということなのかもしれません(男性アーティストの場合,枕営業もしにくいですし。)。

 この60年代のヨーロッパで海賊放送が果たしてきた役割は,米国ではミニFMが担ってきたし,現代ではインターネットラジオやユーチューブなどが担っているということがいえるでしょう。その点,商業用レコードに収録された楽曲をインターネットラジオで使用するには自分たちの許諾を必要だと主張しながらインターネットラジオ放送局が包括的使用許諾契約を結ぶための集中的権利処理システムすら用意できない我が国のレコード会社たちのおかげで,日本のアーティスト達は,上記「海賊」たちが担ってきたプロモーション効果を期待できなくなってしまいます。

 名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を、レコードにプレスされる前に丸ごと放送したことでも知られるラジオ・ロンドンにリンゴ・スターが感謝の意を表してそのスタジオを訪れ,その最後の放送日に放送されるメッセージを収録したことからも,むしろこのような「海賊」たちの存在は,先駆的なミュージシャンたちにとっても望ましい存在であったことが窺われるのではないかと思ったりします。

Posted by 小倉秀夫 at 07:02 PM dans musique |

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