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11/17/2008

デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会報告書案に関する意見

「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会報告書案に関する意見募集」について,下記のとおり意見を提出しました。


レコード,放送番組に関する権利の集中は,コンテンツのインターネット上での再利用を促進する上では不十分である。


 「レコードについては、実演家等の権利を集中化させるための特別の法律上の措置はないが、原則として製作段階からその後の利用も含めた契約が行われているため、実演家の権利はレコード製作者に集中されている。また、作詞家、作曲家等の音楽の著作権は、一任型の集中管理が進んでおり、管理事業者を通じた権利処理が可能である。このため、ネット配信に伴う権利処理については大きな問題がない。」(4頁)とあるが,これは事実誤認である。

 レコードについては,大手レコード会社の共同出資に掛かる音楽配信事業者があることもあり,当該事業者と競合関係にある事業者がスムーズに許諾を受けられない傾向が強い(なお,実演家が自らの実演をインターネット上で広く利用してほしいのに,レコード会社がこれを拒んでいることから,実演家とレコード会社との間で訴訟に至った例がある。)。また,日本以外の先進諸国では,商業レコードに収録された楽曲をインターネットラジオ等に用いることが広く行われているが,日本ではそうなっていないが,その最大の要因は,送信楽曲数や広告等収入に応じた使用料でレコード音源のインターネットラジオ上での利用を包括的に許諾する仕組みが日本にはなく,かつ,ほとんどのレコード会社は個別に許諾を取りに行ってもこれに応じないからである。

 このように,レコードについては,インターネット上での二次利用に関しては,レコード会社が障害になっている


 また,「放送番組については、ビデオ化が予定されるドラマなど一部のものを除き、製作段階においてその後の利用も含めた契約はほとんど行われてきていない。また、最近は番組ごとの権利情報の整備が進められているが、過去のものについては、権利情報が整備されていない場合も多い。」(5頁)とあるが,放送番組については,東京キー局の製作した番組を再送信するくらいしか能のない地方地上波放送局を救済するために,インターネットを用いて情報を送信するのに,受信者の範囲を「放送対象地域」に限定しなければならないという本末転倒な状況下に置かれている(例 NTTぷららの行う地上波デジタル放送再送信サービス)。

 すなわち,著作物等が広く享受されることによる文化の発展を目指して著作物等を日本中の隅々に行き渡させる役目を担う放送事業者に一定の特権を付与したのに,放送事業者を守るために,著作物等の流通が県境で阻害されてしまっているのが実情であって,これは放送事業者に著作隣接権を付与した趣旨からすれば,本末転倒である。

 

 音楽著作物に関しJASRACが集中管理する体制がそれなりにうまくいっているのはJASRACが自らまたはその出資する会社を介して著作物等を利用して利益を得る事業を行っていないが故に,予め定められた料金を支払うことに合意した上で著作物を利用したいと申し込んできた者に対し中立的にこれを承諾してきたからである。このように権利集中管理システムが功を奏するためには,権利を集中的に管理する者が著作物等の利用を希望する者に対し中立的に許諾を行っていく体制があることが不可欠である。現時点では,レコードにしても,放送番組にしても,自ら又はその出資する会社を介して著作物等を利用して利益を得る事業を行っている者(レコード会社,テレビ局等)が許諾権を集中的に管理しており,それゆえ,適正な利用料を支払って正規に著作物等を二次利用したい者が正規に二次利用できない状況下にある。


 よって,著作物等の(インターネット上での)二次利用等を推し進めるためには,レコード会社やテレビ局が握っている許諾権を中立的な権利集中管理事業者に管理させるか(従わないテレビ局については,「電波の私物化が著しい」として放送免許を取り上げるなどの方法により),条約の許す範囲内で強制許諾制度を導入するなどするべきである。

技術的回避手段が邪な目的で用いられている場合があり,その保護を安易に強化すると,却ってコンテンツの開発の阻害や機器メーカー等による不正な利益の取得に繋がりうる。


 「一方、権利者からは、ネットを通じて大量の違法コピーが行われていること、「マジコン」等の回避装置が若年層を含め一般的に広まっていることなどを背景に、現行制度の対象機器の範囲を見直すべきではないか、また、回避装置の提供行為を刑事罰の対象とすべきではないかなどの意見があった。」(17頁)との記載がある。しかし,「マジコン」等は,ゲーム機器メーカーと「ライセンス契約」を締結していない中小企業や個人が開発したゲームソフト等をゲーム機で実行するためにも広く使われている。「マジコン」等の製造・販売等が禁止された場合には,ゲーム機メーカーがそのゲーム機で使用できるソフトウェアの内容やその開発者の企業規模等をコントロールできることになり,却ってコンテンツやその開発者の多様性を損なうことになり,さらには学生を含むアマチュアが作品を発表する機会を押しつぶすことにより,次世代のクリエイターが育つ土壌を失わせることになる。

 従って,アクセスコントロールの回避装置についての規制を強化する場合には,それが機器メーカー等によるコンテンツの支配を強化することにならないような慎重な配慮が必要であり,コンテンツ提供者が機器メーカー等の審査にパスしなければ,あるいは高額のライセンス料を支払わなければ,その提供するコンテンツが当該機器で使用できないとされるようなアクセスコントロールについてはこれを回避する装置の製造・販売等を禁止すべきではない。

 また,地上デジタル放送については,NHK等が出資するB−CAS社のみが提供するB−CASカードを購入させるために放送波にアクセスコントロールが掛けられるという事態が生じているが,アクセスコントロールの回避装置についての規制を強化する場合には,アクセスコントロールの解除に関する機器や特許等で一儲けを企む事業者(団体)が生まれる危険がある。これは,著作権法によっても不正競争防止法によっても本来正当化されるべきでないものである。従って,アクセスコントロールを適切に回避するための機器等に関しては,機器等の代金・使用料もしくはそこに用いられている特許料等の名目で金銭請求を行い,または,本来義務のないことを行うことを条件とすることを,きっちり禁止することなどが必要である。

Posted by 小倉秀夫 at 02:00 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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