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12/02/2008

「海賊」という言葉

 著作物の複製物を違法に作成して市場に流通させる行為を「海賊」行為と表現するのは,やはり違和感はあります。「海賊」という言葉に含まれる,武器等を用いた有形力の行使又はその威嚇という要素が,違法複製物流通行為にはないからです。

 もちろん,「倭寇」に代表される歴史上の「海賊」は,必ずしも武力で他人の商品を奪ってばかりいたわけではなく,「御朱印船」に代表される,商品流通の独占又は寡占を保護する法制度に反して,商品の流通を担っていたのであって,それは,消費者のみならず,生産者の利益にもなっていたという深遠なニュアンスを含めて「海賊」という表現を用いているのだという反論はあり得るのかもしれません。しかし,それはそれで一般の人にはわかりにくすぎます。

 「海賊」というと,「直ちに取り締まらなければならないもの」というイメージが持たれがちですが,「海賊」の職務のうち「私貿易」に関していえば,現代ではむしろ,取り締まられるどころか大いに奨励されるべきものとされています。「マスメディア」という交易ルートが一部の事業者に押さえられ,著作隣接権や,著作権のテレビ局等の流通業者による囲い込み等のもとで著作物たる商品の正規ルートでの流通が阻害されている現状においては,現在の「海賊」たちもまた,「私貿易」の担い手という側面がないわけではありません。

 著作権法の黎明期にロビー活動力が強かったという理由で著作隣接権を確保しているレコード製作者や放送事業者の著作隣接権が将来の条約・法令の改正等により消滅した暁には,現在「海賊」行為と呼ばれている著作物等の私的流通行為のいくつかは,取り締まられるべきどころか,むしろ大いに奨励されるべき行為として位置づけられるかもしれません。

Posted by 小倉秀夫 at 11:24 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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