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01/22/2009

指導者不足

今年のオリコンのシングル年間トップ10のうち8曲について,テレビ局の子会社が単独又は共同で音楽出版社となっています。テレビ番組の主題歌等として用いることによってCD・音楽配信等の売上げが伸びた分の分け前を要求して当然だとテレビ局が考えていて,それ故にタイアップの条件としてタイアップ楽曲に係る音楽出版権の全部又は一部の譲渡を求めてくるので,そういう現象が発生します。

 ただ,テレビ放送,とりわけ地上波テレビ放送を流せる地位というのは国の免許制度により特別に認められたものですから,国によって特別に認められた地位による優越性を利用して,そのような本来的でない収入を得ようとするのは,いい加減にやめるべきではないかという気がします。

 作詞家や作曲家の協会だって,私的録音録画補償金の対象拡大なんてけちなことに血道を上げている暇があったら,テレビ局又はその子会社,関連会社が,その放送する番組で使用する楽曲の音楽出版権を単独又は共同して保有することを禁止する旨の放送法改正に向けてロビー活動を行ったり,タイアップに際して音楽出版権の全部又は一部の譲渡を求めてくることが優越的地位の濫用にあたるとして公正取引委員会に申し立てるなりした方がよいのではないかと思ったりします。デジタル媒体への私的複製がなされることによる正規商品の販売機会の喪失割合より,音楽出版権の一部をテレビ局に召し上げられることによる印税の喪失割合の方が遥かに大きいのではないかと思いますし。

 作詞家・作曲家にしても,レコード会社にしても,業界団体を作っているわけですが,業界団体を作って行動する最大のメリットは,そのバーゲイニングパワーを用いて不当な契約条件を押しつけてくる「社会的強者」に共同してあたれることにあるのであって,「RESPECT OUR MUSIC」とか言ってエンドユーザー等に居丈高に譲歩を迫ることにあるわけではないのです。そういう意味では,作詞家・作曲家の団体にせよ,レコード会社の団体にせよ,有能な指導者を欠いているような気がします。

Posted by 小倉秀夫 at 06:19 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Commentaires

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bunと申します。
誠に勝手で唐突なお願いなのですが、
先日の公正取引委員会のjasracに対する処分について
先生のご意見を拝読したいと思っております。
もし拝読できる場がございましたら是非ともご紹介下さい。
よろしくお願いいたします。

Rédigé par: bun | le 03/01/2009 à 15:43

>放送局系の音楽出版社の中抜きは,いわば公然たるバックリベートではないですか。それは免許事業者がやるべきことではないように思うのです。

バックリベート = 「悪」 ということではないとは思いますが、小倉先生がご指摘の部分は確かにあると思います。
ただし、その不当性について声を上げるべきなのは、第一には他のメディアに関連する音楽出版社であって、作詞家、作曲家ではないですね。

Rédigé par: yooyoo | le 01/23/2009 à 10:57

「放送局の子会社の音楽出版社が召し上げているのは、他のメディアに関連する音楽出版社の取り分にすぎない」といってしまえばそれまでですけど,本来,他のメディアに関連するプロモーション活動に用いられるべき原資まで放送局の子会社に召し上げられてしまうわけではないですか。プロダクションは,そのアーティストが売れる前から面倒を見ているわけですからプロダクション系音楽出版社が中抜きするのは合理性がありますし,それが次のアーティストの養成に繋がっていきますけど,放送局系の音楽出版社の中抜きは,いわば公然たるバックリベートではないですか。それは免許事業者がやるべきことではないように思うのです。

Rédigé par: 小倉秀夫 | le 01/22/2009 à 22:20

作詞家、作曲家は、その作品を何らかの方法で公表する際には、それがいずれの方法であるにせよ、当該メディアに関連する音楽出版社に著作権を譲渡しているのが音楽ビジネスの実情です。ですから、放送局の子会社の音楽出版社が召し上げているのは、他のメディアに関連する音楽出版社の取り分にすぎないということになります。要するに、音楽出版社同士の取り分の奪い合いです。作詞家、作曲家が、放送局の子会社の音楽出版社に対してだけ文句を言ってみたって何も始まりません。
もっとも、音楽作品について音楽出版社という会社が著作権の譲渡を受けて、作家に変わってその音楽をいろいろなメディアに売り込み、その著作権料の一部を報酬として受け取るという仕組みには、極めて長い歴史の蓄積があって、それなりの合理性のあるビジネススキームであると考えられています。一部のろくでもない音楽出版社を除けば、作詞家、作曲家だって、その著作権料の一部を音楽出版社の取り分として与えることに納得しているのであって、小倉先生が考えるほど不当なものとは思っていないのではないでしょうか。

Rédigé par: yooyoo | le 01/22/2009 à 19:33

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