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01/11/2009

不正競争防止法が保護するアクセス制御と、保護しないアクセス制御

 不正競争防止法第2条第1項第10号ないし11号の保護を受ける「技術的制限手段」は、同条5項により、「電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるもの」と定義されています。

 この条項を素直に解釈すると、「技術的制限手段」は、信号方式のものについていえば、

  1. 影像等の視聴等を制限する手段であること
  2. 並びに、
  3.  視聴等が制限される影像等と、視聴等機器に特定の反応をさせて当該影像等の視聴等を制限手段とが、同一の記録媒体に記録され又は同梱されて送信されること
が要求されているように読めます。実際、不正競争防止法の平成11年改正の目的はコンテンツの保護であって、その記録媒体に制御信号を敢えて組み込まなかったコンテンツについてのアクセス制御まで法的に保護する必要はありませんし、不正競争防止法の平成11年改正の目的はプラットフォーマーの保護ではありませんから、制御信号の使用をプラットフォーマーから許可されなかったコンテンツの当該プラットフォーム上でのアクセス制御を法的に保護することは、多様なコンテンツの流通を促進しようという、平成11年改正の根本趣旨に却って反するといえます。

 すると、「正規商品のROMに記録されている特定のデータが視聴等機器に接続された記録媒体に記録されていない場合には、当該記録媒体に記録された影像等の視聴等ができないこととする」という類のアクセス制御は、不正競争防止法による保護を受ける「技術的制限手段」にはあたらないということになろうかと思います。

 したがって、例えば、株式会社セガ・エンタープライゼスの出願に係る特開平9-50373の請求項4を特定の機種のゲーム機に関して満たす記録媒体以外の記録媒体が当該機種のゲーム機にセットされても当該記録媒体に記録されたゲームソフト(自主制作ソフトを含む)が当該ゲーム機上で実行できないようにするタイプのアクセス制御方式は、不正競争防止法上の「技術的制限手段」にあたらないので、このアクセス制御方式を回避して当該機機上で「正規商品」以外の記録媒体に記録されているソフトウェアを実行できるような装置等を製造し又は販売等したとしても、不正競争防止法違反とはならないと考えるのが、法律の文言から見ても、平成11年改正の趣旨から見ても、素直だと思います。

【追記】

 某社からクレームが来たので,最終段落を一部書き換えました。

 なお,「株式会社セガ・エンタープライゼスの出願に係る特開平9-50373の請求項4を満たす記録媒体」とは,「CPUを含む装置に装着して使用する情報記憶媒体であって、前記情報記憶媒体は、アプリケーションプログラム及びセキュリティコードを前記装置により読み出し可能に記録しており、前記装置は、比較基準となるセキュリティコードをメモリに予め記録しており、前記情報記憶媒体から読み出したセキュリティコードと前記メモリに記録されたセキュリティコードとを比較してセキュリティチェックを行うように構成されており、前記セキュリティコードとして所定の表示を行うためのプログラムを含むことを特徴とする情報記憶媒体」であって,前記セキュリティコードとして、所定の表示を行うための表示用データおよび前記表示用データを用いて所定の表示を行うプログラムを含むことを特徴とするもののうち,前記表示用データには、所定のロゴを表示するデータ、真正制作者により制作されたものであることを表示するデータあるいは真正権原者からライセンスされたものであることを表示するデータを含むもの」を言います。

Posted by 小倉秀夫 at 11:29 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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『中国動画サイトが著作権侵害のクレーム回避のため日本からのアクセス遮断』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/07/news071.html

Rédigé par: 無七志 | le 01/12/2009 à 21:35

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