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03/22/2009

学生のうちに経験を積め

 高橋直樹さんが次のように述べています。

俺は音楽は知らんのだけど、例えば物書きなら、何かの小説やラノベや脚本の新人賞にでも送って、佳作でもなんでも取ればいい。新人賞は未経験者お断りなんて言わないぜ?
そういうのが直接そっちの世界の仕事につながるかもしれんし、たとえ繋がらなくてもゲーム屋に送る履歴書には書ける。選考の際有利にはなるだろうよ。少なくともエロゲ業界ではかなり箔がつくと思うけどな。
俺よか教養があるっぽいし、心身ともにとりあえず健康なのだったら、時間を作ってコツコツとやってみればいいのに。誰だって最初はキャリア無しなんだから、積むところからはじめなきゃいけないんだ。

 クリエイティブな職業に就きたかったら,がんがん作品を作ってみて,しかるべきところに送ってみれば良いではないかという点については,基本的に賛成です。これは,ゼミ生(「著作権法ゼミ」という特殊性もあって,クリエイティブな職業に就きたい学生の割合は他のゼミより高いと思います。)にもたまに話すことがあるのですが,まず作品を作り発表するところから始めないと,無名の新人のクリエイティブな才能なんて拾い上げようがないのです。

 過去の記録がコンピュータ上に蓄積されて後に検索されるWeb時代において未熟な作品を発表することの危険性を気にする人もいるようですが,そりゃ他人を冷笑することで何とかアイデンティティ・クライシスを回避している「一部の人」たちは過去の失敗や未熟さをあげつらうことはあるかも知れないけど,クリエイティブな才能を探している連中は,クリエイティブな才能の未熟時代のダメダメぶりなんて気にしたりしないので,そんなことを気にしてみても始まりません。

 もちろん,ジャンルによってはコミケに作品を発表してもよいし,Webで作品を公開したってかまいません。DS用のソフトウェアについては任天堂がライセンス契約を結んでくれるようなソフト会社に就職してからでないと作品を作って発表することができないけれども,それ以外のジャンルについては,まず作品を作って発表し,その才能の一端を見せつけることが可能なのです。

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汎国家的配信の義務づけ

 ITmediaに次のような記事が掲載されていました。

 米音楽売り上げのうち、デジタルダウンロード販売が占める割合が3分の1に達した。米調査会社NPD Groupが3月17日に報告した。

 「コンテンツ」が電子機器により再生されることが一般化すると,コンテンツを一旦物理媒体に固定した上でその物理媒体を物流網に載せる必然性が低下します。すると,物流コストが低いコンテンツのネット配信が主流を占めていくことは容易に想像が付きます。日本では,「コンテンツホルダー」側の不可解な抵抗によって,この動きがコンピュータプログラムと商用音楽程度にしか普及していませんが,AppleTVやKindle等が利用できる米国では,映画や書籍などもネット配信が徐々に物理媒体による頒布を凌駕していく可能性があります。

 現状では,そうはいっても電子端末の普及率がそれほどでもないので,多くの場合,「物理媒体でも頒布するコンテンツをオンラインでも配信していく」という程度にとどまっていますが,将来電子端末の普及率が高まると,コンテンツをオンラインでのみ配布するということが一般化していくと予想されます(既に,プログラムではそのような営業政策が採用されている場合が普通に存在します。)。物理媒体での頒布の場合売上げの見通しを間違えると在庫を抱えることになってしまうというリスクがありますし,(大抵の場合寡占状態にある)流通業者にその流通網に載せてもらうのが個人または弱小コンテンツホルダーとしては結構しんどいということもあるからです。

 その際に問題となるのは,そのコンテンツの配信を受けられる人的範囲がその居住する地域により限定されていると,その地域外に居住する人々は,誰かによる違法行為を経ない限り,そのコンテンツを享受することができなくなる可能性が高いということです。コンテンツが物理媒体により頒布されていた時代は,それが日本国内向けには頒布されていなかったとしても,一度日本国外で頒布された物理媒体を「輸入」することにより,日本国内に居住する人々がこれを享受することができます(いわゆる「101匹わんちゃん」事件の担当裁判官はそれを許すまじと思ったようですが,まあ,中古ゲーム訴訟最高裁判決でその考え方は覆されたと考えるのが一般的です。)。しかし,日本国外向けのオンライン配信でのみ配布されているコンテンツを日本国外で受信して物理媒体に固定して日本国内に輸入して販売することは概ね違法となってしまいます。それは,例えばある重要な論文がKindle用コンテンツとして米国国内向けに公表された場合,日本の研究者はその論文に記載されている内容を読むことすら許されないということに繋がっていきます。それは,技術と著作権法(あるいは不正競争防止法も)が,コンテンツを通じた文化の発展が日本国内にもたらされることを阻害することを意味することになります。

 そのような事態を避けるためには,コンテンツがオンラインでのみ配信されるという時代を本格的に迎える前に,政府(文化庁なのか,知的財産戦略本部なのか,所管が難しいところではあります。)が,AppleやGoogle等のコンテンツ配信事業や国外のコンテンツ企業を回ってそれらがオンラインでのみ公開するコンテンツについては日本国内に向けても公開するように働きかけ,または,他の先進諸国とも協議して少なくともオンラインのみ配信するコンテンツについては汎国家的配信を義務づける等のルール作りをするなどの対策を講ずる必要があるように思われます。

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03/18/2009

2009年度の著作権法ゼミの受講生の皆様へ

 2009年度の著作権法ゼミの受講生の皆様へ

 基本書は特に指定しませんが,なにがしかは入手して,できるだけ早めに一回通読して下さい。

 現状ですと,とりあえずお勧めできるのは,

  1. 中山信弘「著作権法」
  2. 田村善之「著作権法概説(第2版)」
  3. 三山裕三「著作権法詳説(第7版)」
といったところです。加戸守之「著作権法逐条講義」や作花文雄「詳解著作権法」は,何かを発表するに際しては参照すべき文献だと思いますが,通読するにはきついと思います。半田正夫「著作権法概説 」や千野直邦=尾中普子「著作権法の解説」,斉藤博「著作権法」は,その薄さに惹かれるところだとは思いますが,現代型の論点を考える手がかりとして使うにはいまや少し厳しいような気がします。

 言わなくても買わないとは思いますが,半田正夫=松田政行編「著作権法コンメンタール」は買う必要ありません。その価格に情報量が見合っていないように思います。注釈書が欲しければ,後数ヶ月待って下さい。

 判例集はもっておいた方がよいです。現行の著作権法判例百選を買うのなら今のうちです。著作権法分野は21世紀に入ってからも重要判例が目白押しという珍しい法領域なので,きっと次期バージョンとは収録判例ががらっと変わると思います。本橋 光一郎=本橋 美智子「要約 著作権判例212」でもよいです。岡邦俊「著作権の事件簿—最新判例62を読む」もいい本ですが,学生にはつらい値段だと思います。また,ユニ著作権センター駒沢公園行政書士事務所日記等で最新の判例をチェックしておくのも良いことだと思います。

 特に音楽著作権に興味がある人は,安藤和宏「よくわかる音楽著作権ビジネス—基礎編 3rd Edition」,「よくわかる音楽著作権ビジネス—実践編 3rd Edition」を読んでおくと良いと思います。その他のエンターテインメント系の著作権問題やIT関係の著作権問題については,たくさんの書籍は出ていますが,「これはお勧め」というものはなかなかありません。学生のうちは時間が余っているので,片っ端から大学の図書館に買わせて読みまくるというのも一つの手だとは思いますが,ただ,中途半端なQ&A集を読んでいるより,それぞれの業界のありかたを説明している文献(例えば,映画だったら,兼山錦二「映画界に進路を取れ (エンタテインメントビジネス叢書) 」等)を読んだ方がよいような気がします。

 六法については,著作権法が全文掲載されているものを使用することは大前提です(小型の六法だと,抄録扱いになっている場合があります。)が,できるだけ,著作権法施行令,同施行規則,旧著作権法,ベルヌ条約,WIPO著作権条約等が掲載されているものを選んで下さい。角田政芳「知的財産権六法」あたりで良いと思います。まあ,今は法令等はオンラインで入手できるので,A4のバインダー用紙等に必要な法律をプリントアウトしてオリジナルの「知財六法」を作ってしまうというのも一つの手ではあります。

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03/14/2009

ユーザーはレコーディングされた音楽に対してそれを気に入ればお金を払う習慣を失っていない

 岸博幸エイベックス取締役は,

 そうした中で音楽産業は、ユーザがなかなかお金を払わないという現実に苦しんでいます。面白い数字を紹介しましょう。米国のインターネット上は日々無数の音楽ファイルが流通していますが、その中で正規(=有料)ダウンロードの割合は、平均すると20曲中1曲だけです。米国の音楽配信サイトの一つであるLalaはユーザに対して、(1)1曲99セント払えば自分のパソコンにダウンロードできる、(2)1曲10セント払えばLalaのサーバからいつでもその曲を聴ける、(3)お金を払わなくても1回は曲を試聴できる、という3つの選択肢を用意していますが、この会社のサーバに蓄積された曲へのアクセス状況をみると、1000曲中99セント払ったのは72曲、10セント払ったのは108曲、無料での試聴が820曲です。

との事実から,

 そうです。違法ダウンロードが当たり前になる中で、ユーザはレコーディングされた音楽にはお金を払わない習慣を身につけてしまったのです。

との結論を導いています

 しかし,無料で試聴された楽曲の約8.7%が正規に購入され,その他約13.2%が有料で継続的視聴オプションが選択されたということであれば,プロモーションとしては成功しているのであり,むしろ,未だユーザーはレコーディングされた音楽に対してそれを気に入ればお金を払う習慣を失っていないと分析する方が適切であるように思います。

 プロモーションをテレビやラジオなどの放送メディアに頼っていた時代,無料で視聴された楽曲の8.7%も正規商品を購入するなどと言う現象はなかった(音楽自体を聞くことを目的とした番組で視聴した楽曲に限定しても,そこで聴いた楽曲の8.7%も正規商品を購入するなどということは一般的な慣習にはなっていなかったはずです。)わけです。結局のところ,岸取締役の不満は,レコード会社に都合の良い期待をネットユーザーにかけた上で,これを達成しないユーザーに裏切られたということにすぎないように思います。

Posted by 小倉秀夫 at 01:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/11/2009

キャッシュの運命は如何に。

 私的使用目的のダウンロード行為の違法化については,YouTube等のストリーミング配信を受信するときに生成されるキャッシュはどうなるのだという批判がありました。今回閣議決定された改正案では,

(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第四十七条の八 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。

という規定を新設することにより,この批判に答えようとはしているようです。ただ,「これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る」という括弧書きと,新設第30条第1項第3号において「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」を複製権侵害としたこととの関係をどう捉えるのかは問題となってきそうです(といいますか,「これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害」する場合にはその著作権侵害を問題視すればよいだけの話なので,この括弧書き自体不要だと思いますが。)。

 また,改正案では,著作権法第49条第1項に,

七 第四十七条の八の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を、当該著作物の同条に規定する複製物の使用に代えて使用し、又は当該著作物に係る同条に規定する送信の受信(当該送信が受信者からの求めに応じ自動的に行われるものである場合にあつては、当該送信の受信又はこれに準ずるものとして政令で定める行為)をしないで使用して、当該著作物を利用した者

という規定を付加することにより,これらの者が「第二十一条の複製を行つたものとみなす」こととしているわけですが,キャッシュというのは,キャッシュ元のデータに逐一アクセスするよりもキャッシュされたデータにアクセスした方がデータの読み込み時間が短くなるということで情報処理を効率化させるものなので,本体のデータに替えてキャッシュデータにアクセスしたら複製を行ったものとみなされるのでは,キャッシュとしてのデータ複製を合法化した意味がないような気がしなくもありません(「複製」とみなすだけで「録音」「録画」を行ったものとはみなさないから,新設第30条第1項第3号の適用はない,というのでしょうか。それもアクロバティックに過ぎるような気はしますが。)。

 改正案の第30条第1項第3号では,わざわざ括弧書きで,「国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきもの」を私的目的でのダウンロードが禁止される複製物に含めている点も問題となるでしょう。自動公衆送信が著作財産権に含まれていない国でアップロードされたもの(当然,著作権者の意図にかかわらず,許諾はなされていない。)や,日本にはない権利制限規定(例えば,米国法のフェアユース等)により合法的にアップロードされているものをダウンロードする行為が違法となってしまいます。それはそれで価値判断的に如何なものかなあという気がしてしまいます。

Posted by 小倉秀夫 at 12:04 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

03/10/2009

著作権法改正案2009

 著作権法の改正案が閣議決定されたようです。

 一時は違法アップロードサイトからのダウンロードの違法化だけでお茶を濁すのではないかと思われていたのですが,ふたを開けてみたら結構広範囲の改正を目指すようです。

 違法アップロードサイトからのダウンロードの違法化については,第30条1項に3号として,

三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合

という条文を付け加えることで実現しようという算段のようです。

 その他,国会図書館におけるバックアップのための複製や視覚障害者・聴覚障害者のための自動公衆送信の合法化,インターネット通販のための美術・写真の著作物の複製・公衆送信の合法化,電気通信事業者のキャッシュ・バックアップのための複製の合法化,検索エンジンのための複製等の合法化,情報解析のための複製等の合法化,インターネット等でのデータを受信した際に受信側で行われるキャッシュとしての複製の合法化,裁定手続の整備,著作権原簿の電子化等をまとめて改正案としてあげてきたようです。

Posted by 小倉秀夫 at 03:39 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

プログラム開発の自由を阻害する動きに対する寛大さ

 昨日のエントリーに対しては,オーストラリアでのマジコン訴訟で敗訴したマイクロソフト社の大野さんその他から反発を受けてしまったようです。

 ただ,「検知→可能方式」型の技術的手段が「早熟の天才」の出現を阻害しないかについては,「検知→可能方式」型の技術的手段が採用されていない環境で「早熟の天才」の出現してきた例を引いて反論した気になってみても始まらないのではないかと思ったりはします。

 もちろん,NintendoDSのような「検知→可能方式」型の技術的手段を講じても,市井で行われるソフトウェアの開発に何ら差し支えないというのであれば,是非ともWindows7の正規バージョンで採用したら良いのだと思うのです。例えば,Windows7がインストールされたPC上では,MS社とライセンス契約を結んで提供を受けた特別な信号が組み込まれたCDまたはDVDからでなければソフトウェアのインストール作業等が行えず,「正規」のインストール作業の際にソフトウェアごとにMS社から割り当てられた特別な信号がPC上の特別な領域に書き込まれなければそのソフトウェアをPC上で稼働できないようにすれば良いのではないでしょうか。その結果,アマチュアまたはセミプロのプログラマーが,その作成したプログラムを,無料または安価で,オンライン上で公開するということが事実上できなくなり(公開しても構いませんが,誰もそれを実行できないので,公開する意味はなくなります。),自主製作ソフトを作成するということがほとんど無意味な行為となるとしても,「早熟の天才」たちはせっせとWindows7用のソフトウェアの開発に明け暮れるようになるとMS社として考えているのであれば,さっさとそうしたらよいのではないかと思うのです。

 それにしても,いつからコンピュータ業界は,プログラム開発の自由を阻害する動きに対してこんなにも寛大になっていったのでしょう。

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03/09/2009

早熟の天才は不要

 マジコン訴訟に関していえば、真の争点は、

  • 不正競争防止法2条7項の「技術的制限手段」は「検知→制限方式」に限られるのか、自主制作ソフト等の実行を制限する「検知→可能方式」を含むのか
  •  いわゆる無反応機及び偶然「妨げる機能」を有している装置だけが、不正競争防止法2条1項10号の「機能のみ」の要件を満たさないと解されるのか、技術的制限手段が付されていない自主制作ソフト等の実行を可能とする機能をも有している場合にも「機能のみ」の要件を満たさないものと解されるのか
の2点です。

 何せ、自主制作ソフトのタイトル数及びダウンロード数は決して無視できる数ではない(1ダウンロードサイトごとの1タイトルの平均ダウンロード数は、自主制作ソフトと違法複製ソフトとでほぼ拮抗していた。)ので、自主制作ソフトを使うためにマジコンを使うということはWinnyのポエム流通よりははるかに現実味のある話だったわけですし、任天堂側は、違法複製ソフトのアップロードサイトに対し何らのアクションをも起こしていない(whoisを用いれば当該ソフトの開設者の氏名・住所等が容易に知りうるというのにです。まあ、違法複製ソフトのアップロードを禁止するためにどのような対策を講じてきたのかという求釈明に対して、任天堂側は一切の回答を拒否しています。)わけです。

 結局、紛争の実態は、ゲーム機器メーカーが「検知→可能方式」の技術的手段を採用することにより、当該機器メーカー及びそれと「ライセンス契約」を結んだソフトハウスにより形成される「ギルド集団」を守ることまで不正競争防止法の守備範囲に属するのかということであり、市川正巳裁判長は、平成11年改正の審議の際に規制すべきものとして「MODチップ」が含まれていたとの一点から、条文の具体的な文言との整合性を軽視して、これを肯定したのです。

 「ゲームソフトなんて、専門学校かなんかを卒業してそこそこのソフトハウスに入社してから開発を勉強すれば十分だよね。学生時代から自主的にソフトを開発してしまうような天才はわが国のゲーム業界には不要だよね」ってお話なのだと思います。私の小学校の友達には、中学生時代からゲームソフトを開発しては賞金稼ぎをしていたような人もいるのですが、任天堂はそういう人材は不要ということのようです(彼は、大学卒業後任天堂に入社したはずですが。)。まあ、早熟の天才は、iPhone用のゲームを開発していろということのようです。

【追記】

 「拮抗」とまでいってしまうのは言い過ぎかも知れません。ただ、ダウンロード数がカウンター表示されているサイトに関していえば、違法複製物アップロードサイトにおける1サイト1タイトルあたりの平均ダウンロード数が約8885回であったのに対し、自主製作ソフトアップロードサイトにおけるそれは約6124回でありましたので、「遜色ない」とは言いうるように思います。

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03/08/2009

southwestern大学でのシンポ

Southwestern

 昨日は,シンポジウムが終わって,夕食を食べて,ホテルに戻ったら,どっと疲れが出て,あっさり寝てしまいました。

 詳しい内容については報告書の提出が決まっているのでそちらに譲るとして,報告書には書けない感想をいくつか。

 アメリカのコメディ番組とか見ていると,時折女性の甲高い笑い声が入って来るではないですか。常々あれはさすがに不自然だろうと思っていたのですが,昨日で考えを改めました。著作権法を見直そうというシンポジウムで,出席者のインテリ度も相当高いというのに,いくら発言者が冗句を交えて話をしているからといって,あの笑い声が何度も何度も,ライブで聞こえてきました。それがアメリカなのですね。

 あとは,各パネリストが最初のショートスピーチをしている最中に,それが終わるのを待ちきれずに,聴衆(といっても,相当社会的ポジションの高い人たちなのですが)が反論してしまうその姿が印象的でした(いくら西海岸とはいえ,フランクに過ぎます。)。

 まあ,アメリカでも,「あちら側」と「こちら側」の対立は根深くて,「Revision」なんて言っても,制定法での「Revision」は難しそうだなあとは思いました(パネリストの一人は5年以内に何とかなると言っていましたが。)。

Posted by 小倉秀夫 at 06:14 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/06/2009

bono

 今日は,大磯ではないLongbeachに行き,ソニー・ボノ法で有名なソニー・ボノ氏のお嬢さんが開設するレストラン「Bono's」に行ってきました。

 外装はそう目立ちませんが,内装は紫を基調としたセンスの良いものとなっていました。昼食を食べに行った関係で,Bono's Burgerとデザートを食べるにとどめましたが,パテはもちろん,パンも手を抜いておらず,ファスト・フードで出てくるハンバーガーとは明らかに一線を画しており,とてもおいしかったです。ということで,著作権の保護期間を延長するまでもなく,Bono氏のお嬢さんは,父親の作品からの著作権料収入がその死後70年もの長きにわたって保護されなくとも,立派に自活して生きていけそうです。

 その後,ハリウッドにまわって,そこのVirgin Megaに入りました。U2の新アルバムが発売されたばかりですので,店内にはBonoの歌声が響いていましたが,日本ではなかなか手に入らない,Schoolhouse Rockのベスト盤を購入してきました。Bono

Posted by 小倉秀夫 at 06:53 PM dans 旅行・地域 | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/05/2009

グラミーミュージアム

 こちらのシンポジウムに参加する(もちろん,パネリストではありません。)ために,現在ロサンゼルスに来ています。少し早めに来ているのは,ただでさえ通訳無しで英語でぶっ通しの会議なのに,時差ぼけ状態でこれに臨めばぼろぼろになることが目に見えているからです。ということで,日本の方で,私を会場で見かけた方がおられましたら,是非ともお声をおかけ下さい。

 で,今日は,最近できたばかりのグラミーミュージアムに行ってきました。洋楽好きには面白いところです。著名アーティストや著名作品に関する貴重な品々の展示があることはもちろんですが,レコード製作に必要な諸技術についての,その道の第一人者によるビデオ講義(&簡易体験)ができるコーナーなんかもあったりして,結構楽しめました。

 上記シンポジウムの内容は報告書の納入先が既に決まっているのでどこまでここで詳細を述べられるかわかりませんが,ロサンゼルスで面白い物を見つけたらこちらにアップロードしようと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 04:57 PM dans 旅行・地域 | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/04/2009

出版差止め請求における被告適格

 弁護士会の図書館で、半田正夫=松田政行編「著作権法コンメンタール」をパラパラと見てきました。3分冊だし、1冊1万円弱だし、執筆者は大御所が多いし、ということで青林書院の注解特許法のような網羅的なものを想像していたのですが、実際には判例や学説の紹介、論点の提示などが万事控えめで、我妻=有泉編民法コンメンタールのようだなあという感想を持ちました。

 で、仕方がないので、著作権等の侵害を理由とする出版等差止請求事件について、当該書籍の著者を、出版社とともに、または単独で被告とする請求が認容された例をまとめてみました。著者自体は、印刷機を動かすわけでもないし、在庫を抱えているわけでもないので、出版差止め請求に関しては、その被告適格が一応問題となりうるわけです。

 著者のみを相手方とする複製及び配布の差止め請求が認容されたものとして、最判平成13年10月25日判タ1077号174頁があります。

 著者と出版社に対する印刷及び頒布の差止めを命じたものとしては、東京地判平成14年4月15日判タ1098号213頁,東京地判平成16年5月31日判タ1175号265頁があります。その亜種として、雑誌の発行人と出版社に対する複製・頒布等の差止めを命じたものとしては、東京地判平成10年10月29日判タ988頁271号があります。

 出版社に対しては発行の差止めを命じ,著者に対しては出版の許諾及び自らによる出版の差止めを命じたものとしては、東京地判平成10年11月27日判タ992号232頁があります。

 このように、裁判所は、概ね被疑侵害著作物の著者を被告とする出版差止請求を認めています。依拠の有無を含め、著者を当事者とした方が審理は充実することが予想されますし、著者との間でその書籍が著作権侵害物だということが確定すれば、出版社が更にこれを増刷し又は在庫品を頒布する事態は通常想定しがたいので、出版社を被告とする必要は必ずしもないということなのでしょう。

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03/03/2009

NBL900号

 昨年の11月28日に行われた「特定領域研究『日本法の透明化』プロジェクト主催シンポジウム『ここがヘンだよ日本法』」の結果報告が,NBL900号に掲載されています。

 私は,その第1セッションの「著作権法における『間接侵害』と権利制限」にゲストコメンテーターとして参加しており,そこでの私の発言を要約したものも,NBLに掲載されています。

Posted by 小倉秀夫 at 01:45 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)