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03/04/2009

出版差止め請求における被告適格

 弁護士会の図書館で、半田正夫=松田政行編「著作権法コンメンタール」をパラパラと見てきました。3分冊だし、1冊1万円弱だし、執筆者は大御所が多いし、ということで青林書院の注解特許法のような網羅的なものを想像していたのですが、実際には判例や学説の紹介、論点の提示などが万事控えめで、我妻=有泉編民法コンメンタールのようだなあという感想を持ちました。

 で、仕方がないので、著作権等の侵害を理由とする出版等差止請求事件について、当該書籍の著者を、出版社とともに、または単独で被告とする請求が認容された例をまとめてみました。著者自体は、印刷機を動かすわけでもないし、在庫を抱えているわけでもないので、出版差止め請求に関しては、その被告適格が一応問題となりうるわけです。

 著者のみを相手方とする複製及び配布の差止め請求が認容されたものとして、最判平成13年10月25日判タ1077号174頁があります。

 著者と出版社に対する印刷及び頒布の差止めを命じたものとしては、東京地判平成14年4月15日判タ1098号213頁,東京地判平成16年5月31日判タ1175号265頁があります。その亜種として、雑誌の発行人と出版社に対する複製・頒布等の差止めを命じたものとしては、東京地判平成10年10月29日判タ988頁271号があります。

 出版社に対しては発行の差止めを命じ,著者に対しては出版の許諾及び自らによる出版の差止めを命じたものとしては、東京地判平成10年11月27日判タ992号232頁があります。

 このように、裁判所は、概ね被疑侵害著作物の著者を被告とする出版差止請求を認めています。依拠の有無を含め、著者を当事者とした方が審理は充実することが予想されますし、著者との間でその書籍が著作権侵害物だということが確定すれば、出版社が更にこれを増刷し又は在庫品を頒布する事態は通常想定しがたいので、出版社を被告とする必要は必ずしもないということなのでしょう。

Posted by 小倉秀夫 at 11:57 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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