« Pirates Bay訴訟はやり直し? | Accueil | disrespect »

04/25/2009

出版権の内容

 mohnoさんがそのブログで次のように述べています。

福井氏の話で注目したのは、「日本の著作権はあいまいなので、出版社も著者も明確な対応ができずにいる」「現状は、とりあえず和解に残留した上で、数年をかけて明確化していくべき。」「今回のは第1ラウンドで、この先の第二ラウンドに期待している」といったところ。だが、後述のとおり「あいまい」ですませていることが問題を引き起こす可能性もあると思う。
さて、これが、どういう流れだったかというと、まず福井氏が「出版社には契約によって出版権があるけれど、インターネットで配信する場合の権利はあいまい。電子出版が明記されている例は、少ない。そういうあいまいさが、対応を難しくしている」という話をされていた。私はインターネット配信も「出版権」の一部だろうと考えていたから、「出版権とインターネット配信が別個のものとして考えうるというのは意外だった」というところで、「別個とは言っていない。そういう理解になるのかわからない」という話になってしまったわけだ。

 著作権法上の「出版権」についていえば,設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利(著作権法80条1項)と定義されているので,インターネットで配信する場合を含まないことははっきりしています(著作権法上の「頒布」は複製物を公衆に譲渡又は貸与することを言いますから。)。

 もちろん,出版契約に付随して,「出版権」の枠外の利用行為について許諾を受けることは可能であり,契約において明記されていれば,インターネット配信に関しても,排他的又は非排他的な利用許諾を受けることは可能でしょう。明記されていないときはどうかといえば,利用方法を特段限定しない利用許諾契約ならばともかく,出版権設定契約においてインターネット配信に関する利用許諾が契約書上に明記されていなかったら,別途明示的な意思表示がない限り,インターネット配信については許諾を受けていないと見るより他ないでしょう。

 実務的にも,少なくとも私が著者として関与している出版社に関しては,インターネット配信をするにあたっては私の許諾を別途取りに来ています。

 もっとも,Google Book Searchの例のクラスアクション和解への日本文芸家協会の対応で理解しがたいことは,何で協会で弁護士を雇ってGoogleへの回答書のひな形を作らせて会員に頒布する程度のことをしないのかということです。回答のパターンはそんなにたくさんないのだから,費用もそんなにかからないと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 02:39 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

TrackBack

URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13499/44782192

Voici les sites qui parlent de 出版権の内容:

Commentaires

ご返答ありがとうございます。

>>「頒布」と「公衆送信」とは別概念
ストリームでの「インターネット配信」は著作権法でいうところの「自動公衆送信」にあたるということは理解できます。

iTunes など音楽データのファイルパッケージとしてダウンロード(複製)できるようにするのは感覚的には出版(「頒布」?)に近い気がしますが、著作権法の定義を額面どおり受け取ると、なるほどどちらも「公衆送信」ですね。しかもご丁寧に「プログラムの著作物」は除外している。「プログラム= "データ" +アルゴリズム」だというのに!

インターネットなど、近年の「機械的方法」が「頒布」と「公衆送信」の境界をあいまいにしてしまった様に感じます。

Rédigé par: まんさく | le 04/30/2009 à 22:21

著作権法では、「頒布」と「公衆送信」とは別概念ですので、インターネット配信のためにサーバにデータをアップロードすることはそもそも「頒布の目的」がないと解釈すると思います(サーバコンピュータ自体を公衆に譲渡または貸与するという特異なビジネスモデルでない限り)。

Rédigé par: 小倉秀夫 | le 04/27/2009 à 12:17

初めてコメントいたします。

「印刷その他の機械的又は化学的方法」ここになぜ「電子機械」であるネット機器を介した複製(=インターネット)が含まれないのか理解できません。その点はmohno氏も近いかもしれない。彼も私も工学系の人だからでしょうか?

「機械」が力学的機械のみを指すのであれば、現代においてたとえ手書きの原稿といえど、その複製過程が力学的機械のみを介して行われることはないはずです。

「印刷その他の機械的又は化学的方法」というのは、推測ですが、元は「口伝などの人伝えの方法」(これは「実演」の範疇か?)と区別するための文言だったではないのですか?

Rédigé par: まんさく | le 04/27/2009 à 10:43

Poster un commentaire