対案や妥協策の提示がなかった理由
高木浩光さんがMIAUの中川さんをはてブコメントで非難する過程で,
これはMIAUの活動の話かな?ダウンロード違法化反対運動と児童ポルノ単純所持処罰化反対運動はまさに「考えられる危険性をリスト」しまくったあげく対案や妥協策の提示がなかった。そもそも何のための反対なのか。
と述べています。
JASRACやテレビ局に個々人の使用しているパソコンのハードディスクの内容を検証する権限を付与する「究極のプライバシー侵害」法である「ダウンロード違法化」について,どんな対案や妥協策を提示すべきだったというのか,はなはだ疑問です。改正法案を作る前から,改正法が成立しても,改正法により行使可能となった権利を行使しないと,ロビー活動を行った側の弁護士が表明(あくまで弁護士しか表明していないことに注意。レコード輸入権のときは業界団体の長が不行使宣言をしたことと対比すべき。)せざるを得ないほど,この改正法により可能となるプライバシー侵害の度合いは大きいのです。それに,「考えられる危険性をリスト」しまくったといわれても,権利者側に証拠がない場合に証拠保全等による公的な証拠収集手続がとられる可能性があると考えるのは,法律実務家からすると当たり前の感覚であって,「証明が大変だから,権利行使は実際にはなされないので,安心せよ」みたいな言い方に疑問を提示するのは「考えられる危険性をリスト」しまくったといわれるほどのことなのか,大いに疑問です。
もちろん,実際の条文案が公開されてからは,想像以上にずさんな条文を改善する方向で提案をすることは可能だったかもしれないですが,ただ,レコード輸入権のときとは異なり,改正法の目的自体が私たちのコンピュータ・プライバシーとは相容れないので,いくら条文案を手直ししても,さしたる意味はありません(解釈上不明確な点を明確化できる程度のお話です。)。
Posted by 小倉秀夫 at 02:30 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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Notifié: 7 août 2009, 02:28:38
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