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09/21/2009

日本企業は今後常に米国の後塵を拝していれば良い?

 日経BPの記事によれば,日経連は,

この著作権法改正を受け、「現状、ビジネスの観点からは、権利制限に関する一般規定を置く具体的必要性は、基本的に無くなった」とし、「今後、何らかの具体的必要性が生じた場合には、その時点で検討すれば足る」との見解を示している。

とのことです。なるほど,大企業の経営者たちが集まる団体がこの体たらくでは,日本がこの20年間経済成長から取り残されるのも宜なるかなといったところです。

 日経連としては,起業家たるものは,著作物を公正に利用するビジネス手法を思いついたとしても,それが形式的に現行著作権法に抵触する場合には,文化庁の役人または政権与党にロビー活動を行いそのようなビジネスの具体的必要性を納得させてそのビジネスが明確に射程範囲に含まれる権利制限規定を創設させてから,そのビジネスを実行すれば足りるのだとお考えのようです。

 そこでは,素晴らしいアイディアと実装能力のある若者たちが著作物を公正に利用する新たなビジネス手法を思いついたとしても,文化庁の役人または政権与党にロビー活動を行う資金力と人脈がない限り,そのアイディアを実装したビジネスを行うことは許されないということになります。そして,おそらくは,文化庁の役人や政権与党にそのビジネスを適法化する個別の権利制限規定を創設する「具体的必要性」が生じたと納得していただくためには,米国等で既にそのビジネスが行われて世界的なシェアを獲得する企業が現れた後になるのではないかと思われます(実際,立法府が検索エンジンの具体的必要性を認めて,これを適法化する個別の権利制限規定を創設するのに,10年以上の月日がかかったのです。)。すなわち,日経連としては,著作物を公正に利用するビジネス手法に関していえば,日本企業は今後常に米国の後塵を拝していれば良いということを言っているのだということになります。

 あるいは,ベンチャー企業が素晴らしいアイディアを思いつき,ベンチャーキャピタルなどから資金を集めてそのアイディアを実装すべく準備している段階で,そのアイディアの実行を適法とする個別の権利制限規定を創設する必要性を立法府が汲み取って早急にそのような規定を創設してくれるというのであれば,「何らかの具体的必要性が生じた場合には,その時点で検討すれば足りる」かもしれません。が,いくら政権が変わったからといって,立法府がそんなに機動的に動けるとまで信頼するのって無理があると思えてなりません。

Posted by 小倉秀夫 at 02:40 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Commentaires

現行方式に「改善」してきた人たちを集めて「抜本的に・・・」という意見を集めても、無駄だという当たり前の結果なのでしょうね。

それにしても、経団連というのは今や害毒しか作り出せないような団体になってしまったのか?

Rédigé par: 酔うぞ | le 09/21/2009 à 11:57

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