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10/30/2009

アナログデジタル変換を行うのはどこで?

 著作権法施行令第1条第2項の「アナログデジタル変換が行われた影像」について,録画機器において「アナログデジタル変換」が行われた影像に限定されていないではないかとの見解もあるようです。

 ただ,岸本織江「著作権法施行令の一部改正について」コピライト1997年7月号37頁によれば,

「特定機器・特定記録媒体の政令指定にあたっては,機器等の有する機能に着目し,①記録方法,②標本化周波数(アナログ信号をデジタル信号に変換する1秒あたりの回数),③記録媒体,の3つを規定することにより,対象機器等を特定してきている。

とされています(実際,例えば同条第1号では,「その輝度については十三・五メガヘルツの標本化周波数で、その色相及び彩度については三・三七五メガヘルツの標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた影像」と細かい指定をしています。)。従って,当該機器の外で(端的に言えば放送事業者の側で)アナログデジタル変換した影像をここでいう「アナログデジタル変換が行われた影像」に含めて上記規定を読むのは,標本化周波数で対象機器等を特定するという立法趣旨をないがしろにすることになります。よって,録画機器自体において「アナログデジタル変換」を行う機能を有しない録画機器は「特定機器」に含めないと解釈するのが素直な解釈だということになります。

Posted by 小倉秀夫 at 09:09 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (7) | TrackBack (0)

10/28/2009

島並良=上野達弘=横山久芳「著作権法入門」

島並良=上野達弘=横山久芳「著作権法入門」(有斐閣)の献本を上野先生よりいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

 著作権法の分野ではこの種の入門書が久しく出版されていなかった(Q&A集や本格的な基本書は結構あるのですが)ので、来年入ゼミ予定の現2年生に読ませるには良さそうです。

 一通り読み終えたら、また感想を述べるかも知れません。

Posted by 小倉秀夫 at 11:17 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/26/2009

政令の内容を課長の回答で変更すること

 エイベックス取締役の岸博幸さんが次のように述べています。

 また、東芝が補償金を徴収していない今回の機器は、以前から補償金制度の対象となっているDVD録画機であり、政令上は「アナログチューナー非搭載機を除く」といった留保条件が付いていない。家電メーカーやその背後にいる経産省の主張どおりに補償金が払われないとすれば、政令の中身が、政令よりも下位に位置する通達で変更されることになる。これほど法律の世界の秩序を無視した主張はないのではないだろうか。

 著作権課長は、アナログチューナー非搭載のDVD録画機器は、著作権法施行令第1条第2項第3号の特定機器に該当すると解してよいか。とのSARVHの照会に対し、・・・貴見のとおりで差し支えありません。と回答したとのことです。

 そこで、同施行令第1条第2項第3号を見ると、その文言は以下のとおりとなっています。

三  光学的方法により、特定の標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた影像又はいずれの標本化周波数によるものであるかを問わずアナログデジタル変換が行われた影像を、直径が百二十ミリメートルの光ディスク(レーザー光が照射される面から記録層までの距離が〇・六ミリメートルのものに限る。)であつて次のいずれか一に該当するものに連続して固定する機能を有する機器
イ 記録層の渦巻状の溝がうねつておらず、かつ、連続していないもの
ロ 記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続しているもの
ハ 記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続していないもの

 この規定を素直に読めば、「光学的方法により、……アナログデジタル変換が行われた影像を、……光ディスク……に連続して固定する機能を有する機器」となっていますから、「アナログデジタル変換」を行う機能を有しない「アナログチューナー非搭載機」は補償金制度の対象外となっているように見えます。つまり、同施行令第1条第2項第3号の「特定機器」が連続して固定するべき「影像」を「アナログデジタル変換が行われた影像」に限定することによって、「アナログチューナー非搭載機を除く」といった留保条件を付したものと解するのが常識的な法文の読み方ではないかと思われます。

 「政令の中身が、政令よりも下位に位置する『著作権課長による回答』で変更されることになる」ということの方が、法律の世界の秩序を無視したものであるように思われます。

 岸さんは、続けて、

 デジタルとネットは社会の便益向上のために不可欠であり、その普及を止めるべきではない。ただ、その普及は違法コピーや違法ダウンロードの激増、コンテンツ供給量の増大などをもたらし、ユーザーは多くのコンテンツをタダで容易に入手できるようになった。ユーザーにとってのコンテンツの価値は限りなくゼロに近づいてしまったのである。
 一方で、コンテンツは文化という社会の重要な価値観、インフラの一部であり、社会にとっての価値は不変である。その結果、コンテンツのユーザーにとっての価値と社会的な価値の間に大きな乖離が生じてしまった。それが社会的なコストに他ならない。

と述べた上で、

補償金はこの社会的コストを埋める役割をある程度果たしていたと評価できる

と結論づけるのですが、「アナログチューナー非搭載機のDVDレコーダー」って、「違法コピーや違法ダウンロードの激増」とは何の関係もないように思われてなりません。その本来の放送時間にゆっくりテレビ番組を視聴していられない人が、その番組をあとでYouTubeで見るのではなく、「アナログチューナー非搭載機のDVDレコーダー」を用いて自分で録画した上でこれを見ようという人に、「違法コピーや違法ダウンロードの激増」によって生じた「社会的コスト」を負担させようとすれば、反発を招くのは必至です。

 「違法コピーや違法ダウンロードの激増」により生じた「社会的コスト」を誰かに負担させたいのであれば、「違法コピーや違法ダウンロードの激増」により利益を得ている事業者に負担させる方がまだ筋が通ります。具体的には、無許諾に投稿されたコンテンツについてそのダウンロード回数に応じて一定の「補償金」の支払義務をYouTube等の動画投稿サイトの運営者に課す等の方法が考えられます(「補償金」を支払えば削除義務を免れるというのであれば、YouTube等の動画投稿サイトの運営者はむしろ歓迎することでしょう。彼らはただで他人のコンテンツを利用したいのではないですから。)。

Posted by 小倉秀夫 at 05:50 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

10/21/2009

見え透いたプロパガンダ

マジコン問題が違法複製問題なら、「のみ」性がない、で終わっている話です。

さすがに、ファイルローグと違って管理性の要件を満たしそうにないですし。

Posted by 小倉秀夫 at 12:23 PM | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/19/2009

マジコン問題は違法複製問題ではない

 mohnoさんが次のようなはてなブックマークコメントをしています。

匿名さんが責任を取らないから、西村氏の責任を追及したわけだよね? マジコンの違法複製問題も、違法複製当事者が責任を取ってくれれば、製造元の責任は問われないと思うよ。

 まあ、根拠のない話です。

 任天堂を中心とするギルドがマジコン訴訟でつぶそうとしたのは、彼らが製作したソフトウェアの違法複製物の流通ではなく、無償又は安価で提供される自主製作ソフトの流通です。違法複製物の流通を阻止するのであればもう少しマシな技術的手段が使えたと思いますが、実際には、任天堂に高額の上納金を支払うことを約束した企業が製作したソフトウェアしかDS上で稼働しないような技術的手段を敢えて講じたのです。

 例のマジコン訴訟の時は、任天堂らに対し、これまで違法複製物のアップローダーに対しどのような措置を講じてきたのかについての釈明を求めるとともに、アップロードサイトのドメイン保有者≒開設者の住所・氏名がwhoisデータベースにより入手できることを示し、違法複製物の流通を問題とするのであればマジコン自体を規制する必要はないことを示してきましたが、任天堂側はそのようなことには一切関心を持たず、一切の釈明に応じないという路線を貫いたのです。

 考えてみれば当然の話で、中国語で書かれた違法複製物のアップロードサイトをつぶしたところで、国内向けに流通させているソフトウェアの売上げに大した影響を与えそうにないのに対し、自主製作ソフトが広く製作され、流通されるようになった場合に、面白いソフト、役に立つソフトが、無償又は極めて安価に流通することとなることにより、商用ソフトが値崩れすることの方が、任天堂側に与えるダメージは大きいわけです(自主製作ソフトからは上納金が取れませんし。)

Posted by 小倉秀夫 at 02:15 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

10/14/2009

Copyright and You

 コピライト2009年10月号が翻訳しながら引用するWIPR誌8月号によれば、カナダ政府は、2009年7月20日から9月13日までの間、著作権法改正への意見として、下記の事項につき、広く意見を求めたのだそうです(コピライトの訳文はこなれすぎているので、原文から翻訳し直してみました。)。

  1.  How do Canada’s copyright laws affect you? How should existing laws be modernized?(著作権法は、あなたにどのような影響を与えていますか。現行法はどのように近代化されるべきでしょうか。)
  2.  Based on Canadian values and interests, how should copyright changes be made in order to withstand the test of time?(カナダの価値および利害に基づいたとき、時の試練に耐える著作権の改革はいかにあるべきでしょうか。)
  3.  What sorts of copyright changes do you believe would best foster competition and investment in Canada?(どのような種類の著作権改革がカナダにおける競争と投資をもっとも促進するとあなたは考えますか。)
  4.  What sorts of copyright changes do you believe would best foster innovation and creativity in Canada?(どのような種類の著作権改革がカナダにおける技術革新と創造性をもっとも促進するとあなたは考えますか。)
  5.  What kinds of changes would best position Canada as a leader in the global, digital economy?(どのような種類の改革が、もっともカナダを世界的なデジタル経済におけるリーダーに立たせるでしょうか)。

 その結果寄せられたコメントを、こちらから閲覧することができます。しかも、寄せられたコメントに対して更にコメントを投稿できるようになっています。

 そして、カナダ政府は、FAQの冒頭に

Why is the government consulting on copyright? Why now?

という質問を用意し、

The current copyright legislation was enacted in 2001. It is important that any new legislation that is tabled not only reflect the current technological reality, but is also forward-looking and can withstand the test of time. The government is taking this opportunity to listen to Canadians about what is important to them on copyright.

と自答しています。

 日本政府も、折角政権交代したのですから、著作権に関して何が重要なのかということの意見募集を、一般の日本国民対象にしてくれないかなあと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 05:50 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

10/13/2009

中央大学法学部著作権法ゼミの2010年用入ゼミ選抜レポート

 中央大学法学部で担当している著作権法ゼミの、今回の選抜用レポートの課題は、下記のとおりとしました。

下記のテーマのうち一つを選んで下さい。

【テーマ1】 音楽産業がどのような措置を講じたら、音楽コンテンツに関して1年間にあなた自身が支出する金額を増大させることになると思いますか。

【テーマ2】 「Web3.0」と呼ぶに値するのはどのようなコンセプトでしょうか。

 この10年くらいコンテンツ産業側のいろいろな試みは拝見しているのですが、その試みによってコンテンツへの支出を増やす主体として自分を除外する議論には正直辟易していたので、【テーマ1】を出題してみました。

Posted by 小倉秀夫 at 01:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

10/08/2009

Winny事件第2審判決について

 Winny幇助犯事件に関して大阪高裁は、被告人を無罪とする逆転判決を下したそうです。

 「雨にも負けず風にも負けず」に大阪まで傍聴に行った落合先生のメモによると、

winny自体は価値中立的な、有用なソフトであるところ、このようなソフトの提供者に幇助犯が成立するかどうかについては、新しい問題であり、慎重な検討が必要である。当審(大阪高裁)における証拠調べの結果も踏まえると、winnyによる著作権侵害コンテンツの流通状況は調査、統計結果により差異があり明確ではないなどの事情が認められる。
被告人の行為は、価値中立的なソフトを提供した価値中立的な行為であり、提供されたソフトをいかなる目的でいかに利用するかは個々の利用者の問題であって被告人には予想できなかった。罪刑法定主義の観点からも、このような行為につき幇助犯が成立するためには、原審(京都地裁)が示したような、違法行為に利用されることを認識、認容していたという程度では足りず、提供された不特定多数が違法な用途のみに、あるいは主要な用途として違法に利用することを勧めている場合にのみ、幇助犯が成立すると解するべきである。
被告人は、違法な利用があり得ることの蓋然性を認識、認容してはいたが、違法な利用をしないよう注意するなどしており、不特定多数が違法な用途のみに、あるいは主要な用途として違法に利用することを勧めて提供していたものではなく、幇助犯は成立しない。
したがって、被告人は無罪である。

とのことです。これを見る限り、幇助犯の成否の判断基準は、Grokster事件米国連邦最高裁判所判決に近いように思います(Grokster事件米国連邦最高裁判所判決では、ベータマックス事件米連邦最高裁判決以来の「実質的な非侵害用途があるか否か」という基準に、「違法な利用を誘引していたか否か」という基準を加えて判断しています。)。

 この判決が仮に上告されることなく確定したとして、問題は、この判決は、中立的な行為による幇助における「幇助の故意」を厳格に解釈したものなのか、中立的な行為による幇助における「因果の相当性」を厳格に解釈したものなのかということになろうかという気もします。単に幇助の故意が否定されただけですと、その公衆に提供した「中立的道具」により、過失犯も処罰される法益侵害行為がなされた場合には、過失による幇助として処罰されうるのではないか、あるいは、「被害者」から損害賠償請求がなされた場合にこれが認容されるのではないかという問題が生じうるからです(後者については、下級審の、しかも刑事部における「幇助」の要件についての判示に、地裁知財部ないし知財高裁が拘束されるわけないではないかという批判は大いにあり得るところですが。)。

Posted by 小倉秀夫 at 02:54 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

10/01/2009

The Beatlesのリマスターとレコード輸入権

 リマスター版の「Abbey Road」のメーカー希望小売価格が2600円、Amazon.comでの販売価格が$11.99(約1080円)。価格差約2.5倍。あまり物価水準に差がないと文科省の役人が数年前に言っていた、日米間で、同じCDの価格差が約2.5倍。

 Amazon.comで、「Abbey Road」を並行輸入しようとしたときに、レコード輸入権侵害として、後で損害賠償請求されるのではないか、あるいは税関に輸入差し止めを食らうのではないか、とても心配です。

 あとは、リマスター版についても、独自に「国内において最初に発行された日」というのが設定されるのか、元のレコードの「国内において最初に発行された日」が援用されるのかによってくるのですが。

Posted by 小倉秀夫 at 10:24 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)