« octobre 2009 | Accueil | décembre 2009 »

11/29/2009

「NHKオンデマンド」の利用は思ったより増えず

  

NHKのテレビ番組をインターネットで有料配信する「NHKオンデマンド」が始まって12月で1年。予想したほどには利用は増えず、今年度の料金収入は当初見込んだ23億円の半分にも届かない見通しだ。

とのことです。

 エンドユーザー向けのサービスでMacを対象から除外するのだから,普及しないのは当然のことです。

 さらにいえば,デジタルデータをiPhone等の携帯型再生機に組み入れて視聴することを認めないのだから,普及しないのは当然のことです(NHK教育の番組など,むしろiTunes Store等で配信するのに向いています。)。

 NHKがこの種のサービスの開拓に民放よりも積極的なのは評価しますが,ユーザー目線に立ってサービスを組み立ててみると良いのではないかと思ったりします。

Posted by 小倉秀夫 at 06:31 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

11/28/2009

由是著作者怠倦?

 少し日本史の復習をしてみましょう。

 朝廷は,西暦723年に三世一身法を制定し,灌漑施設を新設して墾田を行った場合には三世までの私有を許し,季節の灌漑施設を利用して墾田を行った場合は開墾者本人のみの土地私有を認めることとしました。ところが,朝廷は,西暦743年には墾田永世私有法を制定し,墾田の永世私有を認めることとしました。その理由は,

墾田拠養老七年格。限満之後、依例収穫。由是農夫怠倦、開地復荒。自今以後、任為私財無論三世一身。悉咸永年莫取。

というものでした。三世一身法の制定から20年では墾田の返納期限には未だ到達していないと思われますので,「限満之後、依例収穫。由是農夫怠倦、開地復荒」という実態があったのかは多分に疑問ですが,大和朝廷ですら,現状では「由是農夫怠倦、開地復荒」ことを,独占期間の延長をするための立法事実として提示していたわけです。

 他方,オリコンは,「『著作権保護期間の延長』はなぜ必要か」という文章を発表しています。しかし,「限満之後、依例収穫。由是農夫怠倦、開地復荒」に相当するような立法事実は提示されていません。著作権の保護期間が著作者の死後50年しかないが故に,アーティストがやる気を失って怠けているだとか,出版社が作品の継続的な出版を怠っているだとかという立法事実はいまだ提示されていないのです。

 オリコンは,

クリエーターの権利が保護され、それを基盤として創作活動が活性化されることが、ひいては国民の生活を豊かにする知的財産を生み出していくという考え方が是とされたわけだ。

と述べてはいるのですが,ベルヌ条約で定められた通りに「著作者の死後50年」の保護期間では創作活動が活性化されず,そのために現在国民の生活を豊かにする知的財産が生み出されていないという実情が存在することは何ら示されていないのです。そして,より開発にコストがかかる傾向が高い「発明」という知的財産についていえば,より短い保護期間しか保障されていなくとも次々と新たな創作がなされているのに,開発コストがより小さい「著作物」という知的財産については「著作者の死後50年」程度の保護期間では創作活動が活性化されない(しかし,著作者の死後70年著作権を保護すれば創作活動が活性化される)ということについて説得的な説明は未だなされていないのです。

 墾田永世私有法が認められると,貴族や寺院等の大土地所有者は不輸不入の権を認めさせるにいたり,朝廷を弱体化させることになりました。著作権についても,保護期間が延長,延長され,事実上永久に保護されることになると,例えば音楽についていえば,膨大な数のメロディラインについて独占的な権利を握っている大企業の傘下に入らなければ人の耳に心地の良い作品を発表することができないという事態に至り,むしろ,国民生活は貧しくなるかもしれません。あるいは,貴族たちが不輸不入の権を認めさせその荘園に「公」が介入することを拒んだように,次は著作権の制限規定の廃止を狙いに来るかもしれません。歴史の教訓としていえば,3世程度の独占期間では足りないという人々には,「公」を尊重するという意識はなく,欲望だけはとどまるところを知らないのですから。

Posted by 小倉秀夫 at 11:18 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

11/20/2009

闇米

 石坂会長はまた、道義的・倫理的な側面でも啓発の必要性を訴えた。「CDという固形物を万引きすることは、おそらく多くの若者にとって悪いことだという認識が徹底しているのに対して、音楽ダウンロードは無形のものであるため、いともたやすく法律に違反したり、道義に反する行為に出る。CDは盗まないが、デジタル音楽はタダでもらっちゃう」と指摘。「これほど国民性が乱れるのを容認するのは、大げさに言えば歴史上初めて」と憂慮した。

とのことです

 でも,道義的・倫理的な側面からいうと,不労所得を得んがために情報の流通をブロックする行為と,ひとたびブロックされたが誰かがブロックを壊して再び流通させた情報を入手する行為とを比べたときに,後者の方が道義的・倫理的に悖るとは必ずしも言えないのではないかと思ったりはします。著作権侵害罪って,今はやりのインセンティブ論から言えば,法定犯であって,自然犯ではないですし。

 歴史的に言えば,特定の流通経路以外から商品等を入手することが法律上禁止されていたが多くの人がそれを守っておらず,守らないことが道義的・倫理的に問題があるとさほど考えられていなかった例としては,例えば,戦後の「闇米」などがあります。

Posted by 小倉秀夫 at 02:36 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

11/19/2009

民主党への手紙

 民主党はそのウェブサイトで国民からの意見を募集しているようなので,次のような意見をお送りいたしました。


報道によれば,鳩山 由紀夫首相は18日に開かれた「JASRAC創立70周年記念祝賀会」において、著作権の保護期間を現在の「著作者の死後50年」から、欧米などと同等の「著作者の死後70年」に延長するために最大限努力するとの考えを示したとのことです。これが本当だとすれば,心底失望いたしました。

高速道路の無償化が骨抜きになったとしても民主党を責める気はありませんでした。自民党が最後に焦土作戦をとった後です。予算措置を必要とする政策が思うに任せないのはやむを得ないことです。

米軍基地の沖縄県外移転が果たせなかったとしても民主党を責める気がありませんでした。外交問題は相手があることです。相手国の同意を得なければ進まない政策が思うに任せないのはやむを得ないことです。

しかし,著作権の保護期間問題は違います。これを延長しないことについて予算措置も不要ですし,第三国の同意も不要です。50年以上前に発掘された文章について,メロディについて,絵画について,その発掘者又はその承継人の既得権をさらに保護することで,政治献金等の形でおこぼれに預かろうという意思以外に,著作権の保護期間の延長を志向する要因はありません。そして,その結果,歴史の陰に埋もれてしまった多くの作品がボランティアの手により再び日の目を見ることが阻害され,著作権により囲われてしまった「表現」を若い芸術家たちが新たな表現のために再利用する道が閉ざされます。

民主党が,我が国の文芸的な歴史を知り,享受し,発展させようという市民の希望を踏みにじって,一部の既得権者に尻尾を振って著作権の保護期間を延長しようというのであれば,そのような政党はその他の分野でも必要以上に市民の希望を踏みにじって一部の既得権者に尻尾を振るのだろうと予測できます。そのような政党は我々には不要です。

「過ちを改むるに憚ることなかれ」といいます。民主党が市民から失望されないためにも,民主党としては著作権の保護期間を延長することは考えていないということを,党として表明していただければ幸いです。

Posted by 小倉秀夫 at 01:34 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (1)

11/14/2009

「Nico Teen Love」

 今日の午前中は,工事業者がやってきて,水回りの工事をしていただいていました。30分程度で終わると言われていたのですが,実際には2時間以上かかったので,手持ちぶさただったため,iPhoneでAmazon.co.jpにアクセスして,CDを発注しました。午前中発注してその日のうちに届くというのは,手軽すぎて危険ですね。

 で,今日購入したのは,

  1. BB Brunes 「Nico Teen Love」
  2. Men At Work 「The Best Of Men At Work」
  3. Scandal 「BEST★SCANDAL」

です。「Nico Teen Love」は17日発売なので,予約ということになりますが。

Posted by 小倉秀夫 at 07:53 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/07/2009

著作権関連六法

 iPhone用の模範六法にも著作権法は収録されているのでしょうが,たぶん,著作権法施行令や施行規則,旧著作権法,ベルヌ条約やWIPO著作権条約等は収録されていないのでしょう。でも,これらって,まともに著作権法を学習しようと思うと避けて通れないのです。

 さらにいえば,著作権法って,頻繁に改正されている法律なので,改正履歴がすぱっと調べられると嬉しいです。

 ということで,iPhone用の著作権関連六法ってつくってみたいと思うのですが(iPhone用に設定されたWebを作るっていうのでもいいようにも見えますが,会議とかってSoftBankが届かないところで行われることも少なくないのです。),一人でそれをこなすのは大変です。プログラミングが得意な人を含めてプロジェクトチームが作れると嬉しいなあと思う今日この頃です。

Posted by 小倉秀夫 at 07:43 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/05/2009

私的録音録画補償金訴訟のリスク

 私的録音録画補償金に関してSARVHが東芝に訴訟を起こしたとして,訴訟自体の勝ち負けはおそらくどちらにとってもたいしたリスクではないのだと思います。

 しかし,SARVHにとっては,理由中の判断又は傍論として,補償金相当額を出荷価格に上乗せした上で補償金をSARVHに支払うという方法以外の協力義務の履行方法が認められた場合には,SARVHにとっては,大きな打撃となります。ことは,地デジ専用DVDレコーダーにとどまらなくなるからです。

 AV機器メーカーとしては,製品の入った段ボールにホチキス等で留められた,保証書等が梱包されているビニール袋の中に,SARVH作成の請求書を入れておけば,これまでSARVHに納めてきた補償金を納めなくとも済むということになれば,それはそれで幸せなことです。ユーザーとしては,私的録音録画補償金を支払わなくとも,その機器によって行われる私的使用目的の録音録画が違法となるわけではないので,仮にSAVRAから訴訟を提起されて敗訴しても,最大で1台あたり1000円を支払えば済むことです。

 そうなったら法改正によって製造業者等を支払義務者にすれば足りると考えているのかもしれませんが,利用者による私的録音録画により著作権者等が被った損失の一部補填をAV機器の製造業者に義務づける合理的な理由がありません。にもかかわらず,AV製造業者に対する一種の徴税権を指定管理団体に与えることは憲法上大変な疑義が生ずることになります。しかも,自民党は下野してしまいました。そう簡単にはいかないと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 01:30 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1)

11/03/2009

先輩を思いやる気持ち

 私的録音録画補償金制度を巡る混乱は,文化庁の役人の天下り先を思いやる気持ちにその発端があるというべきでしょう。

 平成20年6月付けで文部科学省と経済産業省との間で取り交わされた「ダビング10の早期実施に向けた環境整備について」と題する文書においては,

現在のブルーレイディスクレコーダーがアナログチューナーを搭載しておりアナログ放送のデジタル録画が可能であることも踏まえ、暫定的な措置として、ブルーレイディスクに係る専用機器及び専用記録媒体を政令に追加する。

とあります。現在のブルーレイディスクレコーダーがアナログ入力ポートを備えていることを踏まえてブルーレイディスクに係る専用機器及び専用記録媒体に追加したのではありません。

 このように,ブルーレイディスクに係る専用機器及び専用記録媒体を特定機器に加える際には,著作権法施行令第1項第2項の「アナログデジタル変換が行われた影像を……連続して固定する機能」とはアナログチューナーを搭載することによりアナログ放送のデジタル録画を行う機能のことをいうとの理解に文部科学省も立っていたわけです。だからこそ,4号を付加する際に,なおも「アナログデジタル変換が行われた影像」という要件を付したわけです。

 従って,文化庁の課長が,その傘下の財団法人であり渡り先(田原昭之理事は元文化庁)でもある私的録画補償金管理協会からの照会を受けて,何らの根拠も示さずに,独断で,上記前提と異なる回答をするというのは,およそ役人としての分限を超えてしまっているわけです。結局,文化庁課長の軽はずみな発言が,実務に混乱をもたらしてしまったわけです。

 前にも述べましたとおり,製造業者は,指定管理団体が指定機器等の購入者に対して補償金の支払いを請求しこれを受領することに協力する義務を負っているに過ぎず,補償金を自らの名において購入者に請求し(支払いを拒む購入者から強制的に)徴収する権限を有していませんし,義務も負っていません(この点,条文を読まずに製造業者の義務の内容を誤解されている方が多いようです。)。である以上,「アナログチューナーを搭載することによりアナログ放送のデジタル録画を行う機能」を有しないデジタル放送専用機においても補償金を支払ってもらおうと思ったら,私的録画補償金管理協会が,デジタル放送専用機の購入者にそのことを納得してもらう必要があります。そのためには,デジタル放送専用機が指定機器に含まれることの説得的な理由付けを私的録画補償金管理協会自身が示す必要があります。しかし,私的録画補償金管理協会のウェブサイトを見てもいまだにその説明は掲載されていません。また,主婦連やMIAU等の消費者団体にもその説明はなされていないようです。支払い義務者である機器購入者の理解も得ずに無理矢補償金を徴収する義務を製造業者を負わせておいて,自分たちは涼しい顔でその補償金にしゃぶりつこうというのは,虫が良すぎる話のように思われてなりません。

Posted by 小倉秀夫 at 11:20 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

11/02/2009

主役が怠けているのに,脇役が協力しないのが怪しからんといわれても。

 私的録音録画補償金請求権の行使方法について,著作権法の規定を整理してみましょう。

 まず,著作権法第30条第2項は,

私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

と定めています。ここでは,補償金の支払義務者は製造業者ではなく「録音又は録画を行う者」であるということに注目をしましょう。

 これを受けて,著作権法第104条の4第1項は次のように定めます。

第三十条第二項の政令で定める機器(以下この章において「特定機器」という。)又は記録媒体(以下この章において「特定記録媒体」という。)を購入する者(当該特定機器又は特定記録媒体が小売に供された後最初に購入するものに限る。)は、その購入に当たり、指定管理団体から、当該特定機器又は特定記録媒体を用いて行う私的録音又は私的録画に係る私的録音録画補償金の一括の支払として、第百四条の六第一項の規定により当該特定機器又は特定記録媒体について定められた額の私的録音録画補償金の支払の請求があつた場合には、当該私的録音録画補償金を支払わなければならない。

 ここでは,特定機器又は特定記録媒体の購入者に対し指定管理団体から補償金の支払い請求があった場合に初めて,購入者は録音録画補償金を一括払いする義務を負うということに注目をしましょう。

 さらに,著作権法104条の5に注目してみましょう。

前条第一項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金の支払を請求する場合には、特定機器又は特定記録媒体の製造又は輸入を業とする者(次条第三項において「製造業者等」という。)は、当該私的録音録画補償金の支払の請求及びその受領に関し協力しなければならない。

 このように,法律の文言上は,特定機器の製造業者が負っているのは,「当該私的録音録画補償金の支払の請求及びその受領に関し協力」する義務であって,その出荷した特定機器に応じた補償金相当額を支払う義務を指定管理団体に対し直接負っているわけではありません。といいますか,製造業者は,特定機器の購入者に対し自己の名で補償金の支払いを請求する権利自体がありません(あくまで「協力」義務を負っているに過ぎませんから)ので,本来であれば,指定管理団体から渡された私的録音録画補償金の請求書を特定機器を混入した段ボール箱の表面に貼って「支払いの請求」に協力したり,また,直営店や提携小売店で特定機器を購入する消費者から任意に補償金相当金を預かって一括して指定管理団体に送金するということで補償金の受領に協力したりしても良いはずです。むしろ,当該製品が特定機器にあたること,それ故製品価格とは別に私的録音録画補償金の支払いを指定管理団体が要求していることを消費者が特定機器を購入するに際して具体的に示すことなく,補償金相当額を製品価格に上乗せすることによって,補償金を支払わされているのだと言うことを消費者に意識させることなく補償金を支払わせるという現在の運用の方がまずいといわざるを得ません。

 以上を前提とするとき,その製品が特定機器に当たりその購入者には私的録音録画補償金が生ずるということについての購入者を納得させるような合理的な説明がなされていない段階で,補償金相当額を出荷価格に上乗せすることなくこれを出荷した製造業者に対し,上記協力義務の不履行に基づく損害賠償請求権として,補償金相当額の賠償を指定管理事業者が製造業者に請求しうるのか疑問の余地無しとはしません。なんといっても,製造業者は,特定機器の購入者から強制的に私的録音録画補償金を徴収する権限が与えられおらず,かつ,補償金の支払いを拒む者に特定機器の販売を回避する義務を負っていないのです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:21 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (7) | TrackBack (0)