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11/03/2009

先輩を思いやる気持ち

 私的録音録画補償金制度を巡る混乱は,文化庁の役人の天下り先を思いやる気持ちにその発端があるというべきでしょう。

 平成20年6月付けで文部科学省と経済産業省との間で取り交わされた「ダビング10の早期実施に向けた環境整備について」と題する文書においては,

現在のブルーレイディスクレコーダーがアナログチューナーを搭載しておりアナログ放送のデジタル録画が可能であることも踏まえ、暫定的な措置として、ブルーレイディスクに係る専用機器及び専用記録媒体を政令に追加する。

とあります。現在のブルーレイディスクレコーダーがアナログ入力ポートを備えていることを踏まえてブルーレイディスクに係る専用機器及び専用記録媒体に追加したのではありません。

 このように,ブルーレイディスクに係る専用機器及び専用記録媒体を特定機器に加える際には,著作権法施行令第1項第2項の「アナログデジタル変換が行われた影像を……連続して固定する機能」とはアナログチューナーを搭載することによりアナログ放送のデジタル録画を行う機能のことをいうとの理解に文部科学省も立っていたわけです。だからこそ,4号を付加する際に,なおも「アナログデジタル変換が行われた影像」という要件を付したわけです。

 従って,文化庁の課長が,その傘下の財団法人であり渡り先(田原昭之理事は元文化庁)でもある私的録画補償金管理協会からの照会を受けて,何らの根拠も示さずに,独断で,上記前提と異なる回答をするというのは,およそ役人としての分限を超えてしまっているわけです。結局,文化庁課長の軽はずみな発言が,実務に混乱をもたらしてしまったわけです。

 前にも述べましたとおり,製造業者は,指定管理団体が指定機器等の購入者に対して補償金の支払いを請求しこれを受領することに協力する義務を負っているに過ぎず,補償金を自らの名において購入者に請求し(支払いを拒む購入者から強制的に)徴収する権限を有していませんし,義務も負っていません(この点,条文を読まずに製造業者の義務の内容を誤解されている方が多いようです。)。である以上,「アナログチューナーを搭載することによりアナログ放送のデジタル録画を行う機能」を有しないデジタル放送専用機においても補償金を支払ってもらおうと思ったら,私的録画補償金管理協会が,デジタル放送専用機の購入者にそのことを納得してもらう必要があります。そのためには,デジタル放送専用機が指定機器に含まれることの説得的な理由付けを私的録画補償金管理協会自身が示す必要があります。しかし,私的録画補償金管理協会のウェブサイトを見てもいまだにその説明は掲載されていません。また,主婦連やMIAU等の消費者団体にもその説明はなされていないようです。支払い義務者である機器購入者の理解も得ずに無理矢補償金を徴収する義務を製造業者を負わせておいて,自分たちは涼しい顔でその補償金にしゃぶりつこうというのは,虫が良すぎる話のように思われてなりません。

Posted by 小倉秀夫 at 11:20 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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