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12/31/2009

2010年以降のISPの運命は如何。

 明日から違法にアップロードされた音声、動画ファイルの私的使用目的のダウンロードを著作権侵害とする改正著作権法が施行されます。

 当面の関心は、JASRAC等が「あいつは、違法にアップロードされた音声、動画ファイルをダウンロードした可能性がある」として申し立てた証拠保全を裁判所が認容するのかということと、違法にアップロードされた音声、動画ファイルの私的使用目的のダウンロードにそのサービスが利用された事業者がどのような責任を負わされるのかということです。

 後者についてより詳しく述べると、例えば、ゲームラボの1月号のコラムでも触れたのですが、ZDNet.co.ukがこの11月27日に報じたところによれば、無料公衆WIFIサービスを提供していたパブのオーナーが、そのWIFIサービスの利用者による違法ダウンロードに関して8000ポンド(約115万円)の賠償金の支払いを命じられていたわけで、日本でも同じようなことが起こるかもしれないということです。理論的にいえば、「特定電気通信」を「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信……の送信」と定義するプロバイダ責任制限法において、「特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたとき」に、「当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」を、「これによって生じた損害」の賠償義務から解放する第3条第1項が、権利侵害情報の受信の用に供される電気通信設備の提供者を、権利侵害情報の受信によって生じた損害の賠償義務から解放してくれるかは、文言上は必ずしも明らかではないということです。

 何でプロバイダ責任制限法を改正して、受信行為自体が権利侵害を構成する場合にもその受信行為に用いられる電気通信設備の提供者を賠償義務から解放してあげるようにしておけば良かったのにと思わなくはありません。

Posted by 小倉秀夫 at 07:48 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

12/29/2009

Glee

 Rolling Stones誌の12月号によると、American Idolの後継番組である「Glee」が好調のようです。これは、高校の合唱部(グリークラブ)を舞台にしたコメディドラマです。

 この「Glee」の特徴は、音楽配信ビジネスと密接に結びついているということです。このドラマの劇中で歌われる楽曲(その多くは、例えばJourneyの"Don't Stop Believin'"のような往年のヒット曲)は、直ちにiTunes Storeで配信され、それが爆発的にヒットするという状況です("Don't Stop Believin'"のカバーは1日で50万ダウンロード以上!)。さらに、「Glee」でカバーされたオリジナル楽曲の売り上げも上昇しているようです。

 考えてみれば、往年のヒット曲にはヒットするに値する良さがあるので、オリジナルを聞いたことのない若い世代向けにカバー楽曲を聴かせればそれが売れるだろうということは充分に予測が可能です。さらに、若い世代が購入しやすいように、番組放送後すぐに番組で使われた楽曲をiTunes Storeで配信するという工夫をする、というのは、さすが商売のうまいFOXテレビだなあと思います(シーズン終了後CD化して売り出すというのでは、消費者は、もう忘れてしまっている可能性が高いですから。)。

Posted by 小倉秀夫 at 08:44 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/27/2009

00年代の楽曲ベスト10

前回のエントリーに引き続いて、「00年代のベスト楽曲」を振り返ってみました。昔であれば「ベストシングル」という言い方をしたのかもしれませんが、音楽配信時代に「シングル」という考え方がどれくらい生き残るのか、難しいところです。

01 Will.I.Am他 Yes We Can 2008 Will.I.Amらによるオバマ大統領の応援ソング。
02 Melissa M & Khaled Benthi 2008 Raïの名手KhaledとフランスR&Bの歌姫によるデュエット。アラビア語とフランス語の掛け合い。
03 Faudel Mon Pays 2006 Raïの名手Faudelによる1曲。Sarcozy大統領もお気に入り。
04 Mademoiselle K Ça me vexe 2006 PVを含めて、格好良いの一言。
05 Bratisla Boys Stach Stach 2002 歌詞に全く意味がないコミックソング。2002年5月4日から8月10日まで、断続的に10週フランスシングルチャートのトップを獲得
06 Indochine J'ai Demandé À La Lune 2002 ファンタシー的な歌詞と、それに曲調がぴったり合っています。
07 MIKA Grace Kelly 2007 フレディの再来を実感させる楽曲。
08 P!nk & Indigo Girls Dear Mr. President 2006 Bush Jr.時代のいらだちを表した代表曲
09 Tokio Hotel Durch den Monsun 2005 ドイツのビジュアル系ロックバンドの代表曲
10 Axelle Red Pas Maintenant 2002 Bush Jr.時代後期にヨーロッパでリバイバルヒットした反戦歌

Posted by 小倉秀夫 at 12:48 PM dans musique | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/26/2009

00年代のアルバムベスト10

2000年〜2009年の「00年代」がもうすぐ終わるので、これを振り返る企画がいろいろなところで生まれると思います。そこで、私なりに、「00年代のベストアルバム」を振り返ってみました(ベスト盤的なものは除外してあります。)。ただ、音楽配信が普及すると、アルバム単位で購入することが少なくなってくるのだなあということは、今回これをまとめるにあたって実感しました。

01 Nena Daconte He Perdido Los Zapatos 2006 スペインのオルタナティブ・ロック。Idiotaをはじめ名作揃い。
02 BB Brunes Blonde Comme Moi 2007 フランス語でもロックをハードに決めることができることを実証した金字塔的作品。
03 Rachid Taha Tékitoi 2007 Raïの名品。個人的には、NHKのテレビフランス語会話で表題曲のTékitoiを聞いて、Raiに関心を持つに至る。
04 Ilona Mitrecey Un Monde Parfait 2005 フランス語ダンスミュージックの至宝。表題曲の「Un Monde Parfait」はフランスシングルチャートで15週間1位。新たなクリスマスソングとして「Noel. Que Du Bonheur」もかなり良い。
05 Yelle Pop-Up 2007 フランス・テクノポップの傑作。「Tristesse/Joie」とかを聞かずに00年代を通り過ぎるのはもったいない。
06 Green Day American Idiot 2006 "Jesus Of Suburbia "は圧巻。
07 Bright Eyes I'm Wide Awake It's Morning 2005 全体を通じてもの悲しさに溢れている作品。
08 LOVE PSYCHEDELICO LOVE PSYCHEDELICO III 2004 J-POPでもここまで格好良く作れるのだという感動。
09 Priscilla Une fille comme moi 2004 アイドルPopの王道。でも、最初は、インターネットラジオで偶然聞いて、いいなと思ったのです。だから「ジャケ買い」ではないです。
10 J-FIVE Sweet Little Nothing 2005 気楽に聞けるおしゃれなHIP-HOP。Chaplinの映画「Modern Times」の劇中歌を取り込んだ「Modern Times」は話題になったが、それ以外も佳作揃い

Posted by 小倉秀夫 at 09:58 AM dans musique | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

12/21/2009

スリーストライク法導入を検討するよりアップローダー対策した方が効率的では?

 ITmediaの記事によれば、JASRACの菅原瑞夫常務理事は「スリーストライク法の導入が可能か国内でも可能かどうか検討したい」と語ったとのことです。

 検討するのは自由ですが、どういう法律構成を考えているのでしょうか。

 考えられるのは、立法により創設される一種の幇助行為についての差止請求権という構成です。ただ、著作権法第112条第2項が、廃棄請求の対象となる「侵害の行為に供された機械若しくは器具」を「専ら」侵害の行為に供されたものに限定している趣旨を考えると、2回の警告を受けてもなお違法にアップロードされた音楽・映像データのダウンロードを繰り返した利用者(三振ユーザー)に対するインターネットサービスの利用を一律に規制することは、私法上の権利の救済という枠を超えるような気がします。

 さらに、この「スリーストライク法」の実効性を確保するためには、ISPには1回目の警告と2回目の警告に関する情報の保存義務を負わせることが必要となります。保存義務の内容としては、警告先の氏名・住所をISPで記録保存しておくというだけでは足りず、当時のアクセスログを保存しておくことが必要となります。なぜなら、三振ユーザーと疑われている利用者が過去の2回の警告の正当性について争ってくる可能性があるからです。

 さらにいうと、著作権者側は、違法にアップロードされている音声・映像データをダウンロードしていることが新たに発覚したユーザーのうち、誰が過去に2回警告を受けていたのかを知り得ないのが通常ですので、「スリーストライク法」に基づく三振ユーザーへのインターネット接続サービス提供の停止を求める訴訟を提起し又は仮処分の申立を行う前に、上記ダウンロードが発覚したユーザーについて過去の警告歴を照会する方法を確立する必要があります(闇雲に訴訟を提起して、接続サービス中止命令の客体たる利用者は過去2回の警告を受けていないという理由で否認されたら請求を取り下げる、ということを繰り返すわけにもいかないでしょう。)。ISPが弁護士会照会でその情報の開示に応じてくれればよいですが、そうでない場合には、訴え提起前の証拠保全として当該ISPの担当者の証人尋問でもするのでしょうか。それも大変な話です。

 P2Pファイル共有ソフトのユーザーをターゲットにしたいのであれば、ダウンローダーとしての側面に着目するのではなく、アップローダーとしての側面に着目した方が、プロバイダ責任制限法上の発信者情報請求権も行使できるし、法的処理がよほど楽だと思うのですが、権利者団体はなぜダウンローダーをターゲットとする茨の道を選ぼうとするのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 11:57 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (1)

12/15/2009

著作権法判例百選[第4版]

 有斐閣から、著作権法判例百選[第4版]を送っていただきました。というのも、私も執筆者の一人だからです。

 私は、東京地判平成10年11月20日[ベジャール事件]の解説を担当させていただいています。第3版では田村善之先生が担当されていた裁判例なので、田村先生とは異なる視点で解説させていただくことにしました。

 なお、「事案の概要」部分においては、原告と被告以外の関係者をそのイニシャルで標記しています。ゲラ稿段階までは、ロシア人である某について「Я」というイニシャルを使っていたのですが、それはなじみがなさすぎるということで「J」を用いることになってしまいました。「Я」の方が人目を引くかと思ったのですが、そこは有斐閣です。ゲームラボほど自由にはいきません。

Posted by 小倉秀夫 at 03:12 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/13/2009

パブリシティ権って?(続)

 「パブリシティ権」を人格権の一種とする見解もあります。

 東京高判平成14年9月12日判タ1114号187頁[ダービースタリオン事件事件]がその典型です。

自然人は、もともとその人格権に基づき、正当な理由なく、その氏名、肖像を第三者に使用されない権利を有すると解すべきであるから(商標法四条一項八号参照)、著名人も、もともとその人格権に基づき、正当な理由なく、その氏名、肖像を第三者に使用されない権利を有するということができる。もっとも、著名人の氏名、肖像を商品の宣伝・広告に使用したり、商品そのものに付したりすることに、当該商品の宣伝・販売促進上の効果があることは、一般によく知られているところである。このような著名人の氏名、肖像は、当該著名人を象徴する個人識別情報として、それ自体が顧客吸引力を備えるものであり、一個の独立した経済的利益ないし価値を有するものである点において、一般人と異なるものである。自然人は、一般人であっても、上記のとおり、もともと、その人格権に基づき、正当な理由なく、その氏名、肖像を第三者に利用されない権利を有しているというべきなのであるから、一般人と異なり、その氏名、肖像から顧客吸引力が生じる著名人が、この氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利を有するのは、ある意味では、当然である。著名人のこの権利をとらえて、パブリシティ権」と呼ぶことは可能であるものの、この権利は、もともと人格権に根ざすものというべきである。

 著名人も一般人も、上記のとおり、正当な理由なく、その氏名・肖像を第三者に使用されない権利を有する点において差異はないものの、著名人の場合は、社会的に著名な存在であるがゆえに、第三者がその氏名・肖像等を使用することができる正当な理由の内容及び範囲が一般人と異なってくるのは、当然である。すなわち、著名人の場合は、正当な報道目的等のために、その氏名、肖像を利用されることが通常人より広い範囲で許容されることになるのは、この一例である。しかし、著名人であっても、上述のとおり、正当な理由なく、その氏名・肖像を第三者により使用されない権利を有するのであり、第三者が、単に経済的利益等を得るために、顧客吸引力を有する著名人の氏名・肖像を無断で使用する行為については、これを正当理由に含める必要はないことが明らかであるから、このような行為は、前述のような、著名人が排他的に支配している、その氏名権・肖像権あるいはそこから生じる経済的利益ないし価値をいたずらに損なう行為として、この行為の中止を求めたり、あるいは、この行為によって被った損害について賠償を求めたりすることができるものと解すべきである。

 ただ、従前の議論からすれば、立法によらずして私法上の権利として認められる人格権は、個人尊厳の原理と密接に結びつき人格的生存に不可欠と考えられる利益であることを要するわけですから、人格権としての氏名権・肖像権って、「正当な理由なく、その氏名、肖像を第三者に使用されない権利」というほど広範囲なものとしては認められてこなかったわけです(だから、桜井さんはディカプリオの名前を歌詞の中に盛り込むことができたし、野球中継で客席を映すことができるわけです。)。上記高裁は、商標法4条1項8号を参照しているのですが、同号は、他人の氏名をその同意なくして商標登録してもこれを無効とするという規定であって、他人の氏名をその同意なくして商標として使用することを禁止する規定ではありません。

 また、人格権としての氏名権・肖像権という枠組みを維持する限り、その使用が許されるか否かを判断する基準として、顧客吸引力を侵害するか否かを持ち出すというのはおかしいと思うのです。なぜなら、その氏名・肖像の持つ顧客吸引力自体は、「個人尊厳の原理と密接に結びつき人格的生存に不可欠と考えられる利益」ではないからです。むしろ、その肖像等の使用が個人の尊厳を冒すものであるのか否か、こそが判断基準となるべきです。

 さらにいえば、人格権としての氏名権・肖像権の一種としてパブリシティ権を構成するのであれば、その侵害にかかる損害は精神的な損害にのみ限定されるべきであって、その氏名・肖像が商用利用される場合の許諾料相当金をもって損害額と構成するのは、「人格権としての氏名権・肖像権」という判断枠組みとは矛盾しているように思われるのです。

Posted by 小倉秀夫 at 01:11 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

12/12/2009

パブリシティ権って?

 「パブリシティ権」って、いったい何なのでしょうか。

 東京高判平成3年9月26日判タ772号246頁[おニャン子クラブ事件]は、次のように判示しています。

固有の名声、社会的評価、知名度等を獲得した芸能人の氏名・肖像を商品に付した場合には、当該商品の販売促進に効果をもたらすことがあることは、公知のところである。そして、芸能人の氏名・肖像がもつかかる顧客吸引力は、当該芸能人の獲得した名声、社会的評価、知名度等から生ずる独立した経済的な利益ないし価格として把握することが可能であるから、これが当該芸能人に固有のものとして帰属することは当然のことというべきであり、当該芸能人は、かかる顧客吸引力のもつ経済的な利益ないし価値を排他的に支配する財産的権利を有するものと認めるのが相当である。したがって、右権利に基づきその侵害行為に対しては差止め及び侵害の防止を実効あらしめるために侵害物件の廃棄を求めることができるものと解するのが相当てある。

 「固有の名声、社会的評価、知名度等を獲得した芸能人の氏名・肖像を商品に付した場合には、当該商品の販売促進に効果をもたらすことがある」という点は認められると思うのです。しかし、そこから、「芸能人の氏名・肖像がもつかかる顧客吸引力」が「当該芸能人に固有のものとして帰属することは当然のこと」と言ってしまうのは、明らかに論理の飛躍だと思うのです。

 というのも、自由主義経済を原則とする我が国においては、商品の販売促進に効果のある情報を自社の商品に付することは原則なのであって、そのような情報は本来公有(パブリック・ドメイン)となるべきだからです(実際、競走馬の氏名等が持つ顧客吸引力は二つの最高裁判決によってパブリックドメインとして扱われています。)。それを、芸能人の氏名・肖像の持つ顧客吸引力に限って、立法によらずして、裁判所が恣意的に「当該芸能人に固有のものとして帰属する」と認定するのは、許されるべきではないように思われるのです。

 では、パブリシティ権を保護する新規立法をすればいいのかというと、そんなに簡単な話なのだろうかと思ったりもします。というのも、パブリシティ権のような財産権を新設するということは、権利者以外の人の営業活動の自由や表現の自由を制限することになりますので、それ相応の社会経済的な合理的な理由が必要となります。例えば、特許法であれば、発明を奨励するとともにこれを公開させて産業を発展させるために公開後一定期間その利用を独占させるという合理的な理由があります。

 しかし、パブリシティ権を芸能人に独占させると何かが奨励されるようになるのか、というとそこが疑問なのです。筆箱やクリアファイルに自分の氏名・肖像を掲載させて対価を得るというのは芸能人の本来的な投下資本回収手段ではないわけで、そのような非本質的な投下回収手段についてある程度自由競争に晒されたところで、芸能人になろう、自分の芸能に磨きをかけようというインセンティブが損なわれるということは通常ないように思われるからです。

Posted by 小倉秀夫 at 08:45 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

12/03/2009

フランスで「三振法」の違和感

野球が盛んではないフランスにおいて、「3Strikes →Out」ということが違和感をもって迎えられずにいるということが私には信じ難かったりします。野球(米国)の方がクリケット(英国)より受け入れやすいのかもしれませんが。

Posted by 小倉秀夫 at 09:52 AM | | Commentaires (0) | TrackBack (0)