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12/21/2009

スリーストライク法導入を検討するよりアップローダー対策した方が効率的では?

 ITmediaの記事によれば、JASRACの菅原瑞夫常務理事は「スリーストライク法の導入が可能か国内でも可能かどうか検討したい」と語ったとのことです。

 検討するのは自由ですが、どういう法律構成を考えているのでしょうか。

 考えられるのは、立法により創設される一種の幇助行為についての差止請求権という構成です。ただ、著作権法第112条第2項が、廃棄請求の対象となる「侵害の行為に供された機械若しくは器具」を「専ら」侵害の行為に供されたものに限定している趣旨を考えると、2回の警告を受けてもなお違法にアップロードされた音楽・映像データのダウンロードを繰り返した利用者(三振ユーザー)に対するインターネットサービスの利用を一律に規制することは、私法上の権利の救済という枠を超えるような気がします。

 さらに、この「スリーストライク法」の実効性を確保するためには、ISPには1回目の警告と2回目の警告に関する情報の保存義務を負わせることが必要となります。保存義務の内容としては、警告先の氏名・住所をISPで記録保存しておくというだけでは足りず、当時のアクセスログを保存しておくことが必要となります。なぜなら、三振ユーザーと疑われている利用者が過去の2回の警告の正当性について争ってくる可能性があるからです。

 さらにいうと、著作権者側は、違法にアップロードされている音声・映像データをダウンロードしていることが新たに発覚したユーザーのうち、誰が過去に2回警告を受けていたのかを知り得ないのが通常ですので、「スリーストライク法」に基づく三振ユーザーへのインターネット接続サービス提供の停止を求める訴訟を提起し又は仮処分の申立を行う前に、上記ダウンロードが発覚したユーザーについて過去の警告歴を照会する方法を確立する必要があります(闇雲に訴訟を提起して、接続サービス中止命令の客体たる利用者は過去2回の警告を受けていないという理由で否認されたら請求を取り下げる、ということを繰り返すわけにもいかないでしょう。)。ISPが弁護士会照会でその情報の開示に応じてくれればよいですが、そうでない場合には、訴え提起前の証拠保全として当該ISPの担当者の証人尋問でもするのでしょうか。それも大変な話です。

 P2Pファイル共有ソフトのユーザーをターゲットにしたいのであれば、ダウンローダーとしての側面に着目するのではなく、アップローダーとしての側面に着目した方が、プロバイダ責任制限法上の発信者情報請求権も行使できるし、法的処理がよほど楽だと思うのですが、権利者団体はなぜダウンローダーをターゲットとする茨の道を選ぼうとするのでしょうか。

Posted by 小倉秀夫 at 11:57 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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Notifié le 30 déc. 09 01:52:04

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