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01/27/2010

フェアユースが日本の法体系にも馴染む

 前回のエントリーに対し、vidさんが次のようなはてブコメントを残しています。

そもそもフェアユースが日本の法体系に馴染まないってのも問題なんだよな。日本は成文したものが「許諾」と言うやり方。米英は「フェア」をつど裁判で決めようというやり方。米英式に変えるにも法体系の問題があるし

 果たしてそうでしょうか。

 著作物の公正な利用に対する著作権の行使の制限を明文の定めなくして裁判所が行うということが日本の法体系に馴染まないという趣旨であればまだわからなくはありませんが、抽象度の高い文言の条文で私権の行使を制限すること自体が日本の法体系に馴染まないという趣旨であればそれは明らかに違います。なにしろ、日本の民法という基本的な法律の第1条には、

権利の濫用は、これを許さない。

という非常に抽象度の高い規定があるのですから。私は、民法第1条第3項は日本の法体系には馴染まないので、これを廃止して、私権の行使を制限する必要があるものについてはすべて個別立法によるべきであると提唱する民法学者並びに法律実務家に出会ったことがありません。

Posted by 小倉秀夫 at 12:40 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)

01/25/2010

国破れて著作権あり──何を恨んで鳥にも心を驚かさん

 文化庁は、日本版フェアユースを「写真の端に絵画が写ってしまう場合など、意図しない付随的利用などに範囲を限定する」意向であると伝えられています。日本新聞協会等はその程度のフェアユースにすら反対のようです。

 しかし、著作物の公正な利用であっても著作権侵害に当たるという規定を維持し続けること、若しくは、その著作物の利用が「公正」とされる場合を極めて限定的な範囲に留めることが何をもたらすのか、きちんと理解されているのか疑問です。

 例えば、著作権法の平成21年度改正によって適法であることが明文化された著作物の利用には、Web検索サービスにおける著作物の複製及び送信可能化、インターネット販売等における商品画像の複製・公衆送信、情報解析のためのウェブ上の情報のコンピュータへの蓄積、通信事業者によるキャッシュサーバ又はバックアップサーバにおける著作物等の複製、コンピュータ稼働の際のハードディスク等へのキャッシュデータの蓄積等があります。これらは、平成21年改正以前にも、現実には行われていたことです。平成21年改正は、その後追いに過ぎません。

 日本の著作権法にはフェアユース規定を導入するな又は意図しない付随的利用などに範囲を限定せよという論者は、平成21年改正のような個別規定が立法され施行されるまでは、いかに日本以外の先進国では、Web検索サービスが提供され、インターネット販売では商品の画像が提示され、様々な企業が情報解析のためにウェブ上の情報を利用し、通信事業者はキャッシュサーバによりサーバの負荷を軽減し、バックアップサーバにより不意の事故からデータを守り、または、メインメモリ上のデータをハードディスク上にキャッシュとして書き出すことによりメインメモリの負担を軽減するような仕組みをアプリケーションに施すことが一般化していたとしても、日本国では、そのようなことは行われるべきではなかったと考えているということでしょうか。今後も、新たな情報通信技術が開発された場合に、それが著作物の複製・公衆送信を伴うものであった場合には、個別の権利制限規定が設けられるまでの間、日本だけは、他国でのその技術の利用は、手を加えてみていなさいと考えていると言うことなのでしょうか。

 それとも、上記のようなことがしたかったら、著作権侵害罪に問われる覚悟で行うべきだと考えているのでしょうか。しかし、著作権法を遵守していたら国際的な技術開発競争に負けてしまうという制度のもとで、著作権法に関するコンプライアンス意識を高めようというのは無理があるのではないでしょうか。

 国破れて著作権あり

 フェアユース規定導入消極派の望む未来は、そのような荒涼とした世界のように思われてなりません。

Posted by 小倉秀夫 at 01:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/22/2010

これからは新聞記者は資料としてウェブをプリントアウトしたりなどしない。

 社団法人日本新聞協会等が「『権利制限の一般規定』導入に関する意見書」を提出したのだそうです。

 その中で、ウェブページが無断で印刷されることを問題視されているようです。ただ、私は、何度も新聞記者さんから取材を受けていますが、その際、多くの記者さんが、ウェブページを印刷したものを資料としてお持ちだったと記憶しています。さらにいえば、私は、新聞社のカタから、「あなたのウェブページを、取材の際の資料に使いたいので、印刷させて下さい」との許諾願いを受けたことがありません。私の文章は、基本的に解説文ですから、「当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物」にはあたらないはずですし、新聞社は営利活動の一環として取材活動を行っているので、取材活動において資料として使用するためのプリントアウトは「私的使用の範囲」を超えているとするのが多数説です。

 今後、記者さんの取材活動がどう変わっていくのか、楽しみです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:26 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (1)

01/05/2010

ドメイン登録者名義の冒用

 どうも、私の名前を使ってドメイン名を登録している人がいるようです。

 もちろん、「Hideo Ogura」だけだと同姓同名ってことも十分あり得るのですが、住所地が「Katsusikaku Tokyo JP」になっているので、その可能性は低そうな気がします。

 まあ、そのドメイン名は、セカンドレベルドメインがアルファベット1文字という、ある意味すばらしいドメイン名なので、私にその権限を引き渡してくれるのであれば、過去は問わないということでよいとは思っているのですが。

Posted by 小倉秀夫 at 11:53 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

何が分子で何が分母か

産経新聞はつぎのような記事を掲載しています。

 確かに、法改正の効果については議論を呼んだが、レコ協は、適法な音楽配信サイトを認証する「Lマーク」が全体の97%に普及していることから、ユーザーは違法サイトを見分けられるとみている。

 97%って、分母が何で分子が何なのでしょうか。これをみると、
例えば、ゆずmobile(http://yuzu.senha.jp/)、ゆずムービー(http://yuzu.senha.jp/pv/)、ゆずコール(http://yuzu.senha.jp/mc/ )、ゆずうた(http://yuzu.senha.jp/uta/)、ゆずうたフル(http://yuzu.senha.jp/uta_full/)をそれぞれ別サイトとしてカウントするなど、分子が水増し気味のようにも思われるのですが。配信楽曲数では、全体の1割近くを占めるiTunes Storeが「Lマーク」を使用していないわけですので、「Lマーク」が全体の97%に普及しているともいえないです。OTOTOYも「Lマーク」を使用していないようにも見えます。

Posted by 小倉秀夫 at 12:08 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/04/2010

番組のギャラってそんなに安いと思われていたの?

Rocket News24が次のような記事を掲載しています。

人気テレビ番組のスペシャル版『新春大売り出し!さんまのまんま』の番組内で、ゲストとして呼ばれた女性タレントが800曲の音楽が記録されているiPod nanoを明石家さんまにプレゼントするという衝撃のシーンが放送された。iPod nanoのプレゼントは問題ないが、楽曲が記録されたiPod nanoのプレゼントは著作権法違反に触れる可能性がある。しかも800曲という膨大な量の楽曲の為、巨額の罰金が発生する可能性が高い。

 果たしてそうでしょうか。

 公衆の定義については争いがありますが、行為者から見て行為の相手方が「不特定人」である場合にはそれが一人であっても「公衆」にあたるという見解をとったとしても、特定の友人に複製物をプレゼントしたということであれば、「その著作物……をその原作品又は複製物……の譲渡により公衆に提供」したとはいえないので、譲渡権侵害は成立しません。

 友人にプレゼントをする目的でiPod nanoに(CD等からリッピングした)楽曲データを転送することが「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること……を目的とする」「その使用する者」による複製にあたるかということは、実は難しい問題です。複製物の作成者自身がその複製物からその著作物を知覚する場合のみ「その使用するものが複製する」といえるという解釈をとると、「少人数の勉強会で発表者が関連する文献をコピーして参加者に交付する」ということも第30条第1項で正当化されなくなってしまいますが、それは「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること……を目的とする」場合もカバーすることとした同項の趣旨をないがしろにするものであるように思われるからです。複製物を譲渡することも著作物の「使用」に含めてしまえば、それが「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において」なされる限度においては、そのことを目的としてiPod nanoにデータを転送することは第30条第1項によりカバーされることになり得ます。

 さらにこれが著作権侵害に当たるとしても、賠償額が「巨額」といえるかは大いに疑問です。

 Rocket News24は、

このプレゼントを合法的なプレゼントにする方法もあるが、それには事前にJASRACに対して800曲分の著作権料を支払う必要があり……。番組のギャラ以上の巨額が必要となることもありえる!?

などと煽っていますが、オーディオ録音の場合のJASRACに支払うべき使用料は、定価の明示のない場合、1曲8円10銭ですから、800×8.1=6480円程度にしかなりません。「番組のギャラ」ってそんなに安くはないと思います。まあ、隣接権者に支払うべき賠償金も計算に入れよと善解すべきなのかもしれませんが、邦楽CDだって概ね1曲200円前後(アルバムごとに差があるにせよ)で、掛率約7割とすると、JASRACと隣接権者が分け合う基礎って1曲あたり140円前後です。800曲分でも140×800=112000円程度です。その番組を見ていないのですが、明石家さんまの友人として同人に番組上でプレゼントを渡す程度の芸能人であれば、「番組のギャラ」ってそんなに安くはないと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 09:33 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (2) | TrackBack (0)