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01/25/2010

国破れて著作権あり──何を恨んで鳥にも心を驚かさん

 文化庁は、日本版フェアユースを「写真の端に絵画が写ってしまう場合など、意図しない付随的利用などに範囲を限定する」意向であると伝えられています。日本新聞協会等はその程度のフェアユースにすら反対のようです。

 しかし、著作物の公正な利用であっても著作権侵害に当たるという規定を維持し続けること、若しくは、その著作物の利用が「公正」とされる場合を極めて限定的な範囲に留めることが何をもたらすのか、きちんと理解されているのか疑問です。

 例えば、著作権法の平成21年度改正によって適法であることが明文化された著作物の利用には、Web検索サービスにおける著作物の複製及び送信可能化、インターネット販売等における商品画像の複製・公衆送信、情報解析のためのウェブ上の情報のコンピュータへの蓄積、通信事業者によるキャッシュサーバ又はバックアップサーバにおける著作物等の複製、コンピュータ稼働の際のハードディスク等へのキャッシュデータの蓄積等があります。これらは、平成21年改正以前にも、現実には行われていたことです。平成21年改正は、その後追いに過ぎません。

 日本の著作権法にはフェアユース規定を導入するな又は意図しない付随的利用などに範囲を限定せよという論者は、平成21年改正のような個別規定が立法され施行されるまでは、いかに日本以外の先進国では、Web検索サービスが提供され、インターネット販売では商品の画像が提示され、様々な企業が情報解析のためにウェブ上の情報を利用し、通信事業者はキャッシュサーバによりサーバの負荷を軽減し、バックアップサーバにより不意の事故からデータを守り、または、メインメモリ上のデータをハードディスク上にキャッシュとして書き出すことによりメインメモリの負担を軽減するような仕組みをアプリケーションに施すことが一般化していたとしても、日本国では、そのようなことは行われるべきではなかったと考えているということでしょうか。今後も、新たな情報通信技術が開発された場合に、それが著作物の複製・公衆送信を伴うものであった場合には、個別の権利制限規定が設けられるまでの間、日本だけは、他国でのその技術の利用は、手を加えてみていなさいと考えていると言うことなのでしょうか。

 それとも、上記のようなことがしたかったら、著作権侵害罪に問われる覚悟で行うべきだと考えているのでしょうか。しかし、著作権法を遵守していたら国際的な技術開発競争に負けてしまうという制度のもとで、著作権法に関するコンプライアンス意識を高めようというのは無理があるのではないでしょうか。

 国破れて著作権あり

 フェアユース規定導入消極派の望む未来は、そのような荒涼とした世界のように思われてなりません。

Posted by 小倉秀夫 at 01:57 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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