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04/11/2010

情報に国境を作らない工夫

 既に米国ではiPadが発売され、Amazon社のKindleとともに、電子書籍の普及を後押ししていくことでしょう。
 ただ、そうなっていくと一つ心配しなければならないことが出てきます。音楽・映像の世界で既に生じている「国境での情報の遮断」がテキストの世界でも生 じてしまいかねないということです。

 従来の書籍であれば、日本国外でのみ出版された書籍であっても、最悪並行輸入をすれば、日本国在住者でもこれを閲読することができます。しかし、オンラ イン配信で提供される電子書籍においては、日本がその配信対象区域から外れるものについては、誰かが現行の著作権を侵害することなくして日本国在住者がこ れを閲読することができなくなります。電子書籍が紙の書籍の補完物である間は「電子書籍が入手できなければ紙の書籍を読めばいいではないか」ということは 可能なのですが、今後出版コストの安い電子書籍オンリーの著書・論文等が増えてきた場合には、「知らぬは日本ばかりなり」ということが増えていく危険があ ります。

 著作権者の投下資本回収可能性を損なう可能性の乏しい著作物の利用をフェアユースとして禁止権の対象から外す広範なフェアユース規定を設けていただける のであれば、日本国を配信対象区域から除外する電子書籍オンリーの作品については著作権者の許可無くオンラインで日本国内に転送する行為を禁止できないと することはできなくもないのかもしれませんが、どうもそういう広範なフェアユース規定は新設していただけそうにありません。

 そうであるならば、文化庁なり学術系諸団体なりは、アップル社やアマゾン社等に対し、電子書籍の配信対象区域を限定しないように、少なくとも諸外国で発行された電子書籍の配信対象区域から日本を除外しないように今から働きかけていくべきだということになります。

Posted by 小倉秀夫 at 11:13 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

04/07/2010

春の学会シーズン2010

 今年度の春の学会シーズンがもうじき始まりますが、出向くとすればこのくらいでしょうか(この全てに出るかはまだ決めていませんが。)。

学会名 日付 場所
民事訴訟法学会 5月15日・16日 関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス
著作権法学会 5月22日 一橋記念講堂
工業所有権法学会 6月13日 東北大学

Posted by 小倉秀夫 at 01:23 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

04/05/2010

著作権法ゼミの推奨教材(2010)

 今年度著作権法ゼミを受講される皆様へ

 そろそろゼミが始まりますので、一応教材についての案内をしておきます。

 まず、六法ですが、著作権法はどうしてもマイナー分野なので、通常の授業で使っている六法ではどうしても足りません。だから、知的財産権法用の六法を別途用意しておいた方がよいと思います。

 角田政芳編「知的財産権六法2010」(三省堂)なんかが使いやすいのではないかと思います。「知的財産権法文集平成22年1月1日施行版」(発明協会)も悪くはありません。そのようなものを買うお金が惜しいという人は、以下の法令をウェブで探して印刷し、バインダーにとじておくとよいでしょう(その際、ウェブブラウザーから直接印刷するよりは、テキストをコピー&ペーストでワープロソフトに移した上で、適宜書式を設定した上で、プリントアウトした方がよいと思います。)。

  1. 著作権法(附則を含む。)
  2. 著作権法施行令
  3. 著作権法施行規則
  4. 旧著作権法
  5. 著作権等管理事業法
  6. 著作権等管理事業法施行規則
  7. 万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律
  8. 連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
  9. 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
  10. 万国著作権条約
  11. 著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約)
  12. 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO隣接権条約)
  13. 実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約
  14. 許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約
  15. 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(とりわけ附属書一C)

 また、著作権法でも判例の学習は重要ですので、判例集はもっておいた方がよいと思います。

 「著作権判例百選(第4版)」(有斐閣)は改訂したばかりなので、収録判例も新しくてよいです。今のうちに古本屋さん等で「著作権判例百選(第3版)」(有斐閣)を入手して新旧2冊押さえておくのもよいでしょう。

 教科書についてですが、さっと読んで全体像を押さえておきたいということでしたら、島並良=上野達弘=横山久芳「著作権法入門」(有斐閣)がよいでしょう。もう少し重厚な本を読みたいということでしたら、中山信弘「著作権法」(有斐閣)がよいでしょう。田村善之「著作権法概説」(有斐閣)、作花文雄「詳解著作権法」(ぎょうせい)は、改訂版が出たら、買いだと思います。

 そのほか、参考書ですが、音楽著作権に特に興味がある人は、安藤和宏「よくわかる音楽著作権ビジネス──基礎編3rd Edition」、同「よくわかる音楽著作権ビジネス──基礎編3rd Edition」(いずれもリットーミュージック)を読むとよいでしょう。論点ものとしては、牧野利秋=飯村敏明編「新・裁判実務体系(22)」(青林書院)がレベルが高いです。

Posted by 小倉秀夫 at 02:07 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)