試行運用終了後のプログラムの継続利用
大学生、法科大学院生もまた夏休みでしょうから、事例問題を出してみることにします。興味がある方は考えてみてください。
【設例】
大手電気通信会社であるYは、カード情報管理会社Zと提携して、TCP/IPを用いたクレジットカード認証システムを構築することを予定していた。しかし、TCP/IP用の認証プログラムを作成することができなかった。そこで、Yは、TCP/IP用の認証プログラム「甲」について著作権を有しているXに、正式採用した場合にはX社からクレジットカードの認証端末を購入するので、甲を試行運用させて欲しいと申し向けた。この説明を信じたXは、一時的な試行運用に供する目的で、YがAに委託して調達したサーバコンピュータ「乙」にプログラム「甲」をインストールし、Yが管理するデータセンターにこれを設置した。
Yは、程なくしてサーバコンピュータ「乙」をZに譲渡してその運用を任せるとともに、Zと提携して、Xに無断で、プログラム「甲」を用いたクレジットカード認証システムを正式に運用し始めた。
その後、Yは、Xに対して、「Yは、プログラム「甲」は正式に採用しないことにした」と通告し、認証端末をXから購入しない意思を明らかにした。そこで、Xは、Yに対し、プログラム「甲」のインストールされたサーバコンピュータ「乙」の引渡しまたは破壊を要求したが、Yはこれを拒み、Zとともに、サーバコンピュータ「乙」にインストールされたプログラム「甲」を用いてクレジットカード認証業務を継続した。
Xは、Y及びZに対し、いかなる請求を行うことができるか。
まあ、現実の著作権紛争を単純化すると、こんなものです。
Posted by 小倉秀夫 at 04:42 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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