優越的地位の濫用を保護するための著作権法の改正
文化審議会は、「マジコン」の規制強化目指し著作権法改正の検討を集中的に行うこととした旨が報じられています。
また、一部権利者たちの意見しか聴かずに立法してしまうのかと、手続面でもううんざりしてしまいます。
リンク先の記事を見ても、マジコンって、インターネットなどから入手したゲームソフトの不正コピー版だけでなく、ゲームソフトの開発者自身がインターネットなどを通じて無償で配布している正規版の起動をも可能とするものであることが全く無視されています。そして、マジコン規制を強化すると、あるプラットフォームで起動するコンテンツを市場にリリースするにあたっては、そのプラットフォームの開発者が高額の上納金を徴収する(あるいは、そのプラットフォーム開発者自身がリリースしているソフトウェアと市場において競合するプログラムをリリースさせない)という、プラットフォームの開発者による不公正な活動を法的に擁護することになってしまうという視点は、全くそこに含まれていません。
マジコン規制が不公正な競争制限や優越的地位の濫用に活用されないようにするためには、各プログラムの著作権者がアクセス制限を望まない場合にはアクセス制限なしにそのプログラムをリリースする環境が現実に整備されていることを、「検知→起動」型のアクセス制限を法的に保護するための要件とするとともに、そのプラットフォーム上でプログラムを起動できるようにすることの対価をプラットフォームの開発者がソフトハウス等から徴収することを禁止することが不可欠です。「不正コピーされたゲームソフトが起動しないようプロテクトを設け」ることが規制の主眼であるならば、それで何の問題もないはずです。
技術的保護手段ワーキングチームの座長である土肥一史教授は存じあげていないわけではないのでお手紙等を差し上げることはできるとは思うのですが、文化庁は知っていてそういうことを無視する報告書を創り上げて、プラットフォーマーのための著作権法改正に邁進するのではないかとの疑念が頭をよぎる今日この頃です。
Posted by 小倉秀夫 at 09:07 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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