電子書籍に関する市場分割への対処
電子書籍のもう一つの問題は、「著作物に関する地理的な市場分割」にどう対処するかということです。
平たくいえば、送信要求をするIPアドレスあるいは利用者が決済用に使用するクレジットカードのビリングアドレスによって、特定の電子書籍をダウンロードできるか否かが決まっていることについて、どう対処するのかという問題です。
既に、Barnes & Noble系のNook等は、基本的にUS onlyであり、Nook本体を並行輸入で入手しても、日本在住者は正規にコンテンツをダウンロードして読むことができません。今は、「電子書籍 Only」という書籍がほとんどないので、紙の書籍を並行輸入することで「そこに書かれている内容を知る」ことはできていますが、今後「電子書籍 Only」という書籍が増えていくと、日本にいては世界の最先端の議論に触れることすらできないという事態だって生じて来かねません。
もちろん、お金に糸目を付けなければ、米国在住者に所定の電子書籍をダウンロードしてもらって、それが収蔵されている端末機器を購入するという方法も物理的にはとりうるのですが、著作権者の許諾を得た第一頒布がないだけに、「US Only」のコンテンツがインストールされた電子書籍が関税法第69条の12にいう「輸入してはならない貨物」(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品)にあたってしまうのではないかという危惧があります。
電子書籍が本格的に普及し、少なくない作品が「電子書籍 Only」で発行されるようになる前にこの問題って立法により解決される必要があるように思えてなりません。
Posted by 小倉秀夫 at 12:14 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink
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