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01/07/2011

2011年パブコメの続き

昨日の中間まとめに対するパブコメですが、さらに2つ追加しました(最後のは多少反則気味ですが)


第2章 10頁


中間まとめ」では次のように記載されている。


○ このようなアクセスコントロール機能とコピーコントロール機能とが一体化 している保護技術を著作権法上の技術的保護手段の対象外としていることは、 保護技術の高度化・複合化など技術の進展に著作権法が対応できないという問 題とともに、前述したように著作権等の実効性の低下が強く指摘されている中 にあって、著作権者等の保護の観点から、もはや放置することのできない問題 となっていると言える。

○ また、ネット上の違法流通を恐れて著作物のインターネット配信等を躊躇し 著作物の円滑な利用を妨げることにもつながるなど、インターネット上の著作 物流通の促進の観点からの問題、さらに、欧米諸国にあっては広くアクセスコ ントロール「技術」を含め著作権法の規制対象としており、国境を越えた著作 物流通が増大する状況にあって、国際的な協力のもと著作権保護を図っていく ことの重要性の観点からも問題があり、対応が急務となっているものと考える


しかし、著作権法は既に、著作物の違法ネット流通については送信可能化権を創設することにより対応しており、さらに昨年は、音楽・映像等に関して違法アップロードサイトからのダウンロードを違法化させる改正法を施行しています。また、中国を含む主たる諸外国も、著作物の違法ネット流通については著作権法による網をかけるとともに、ISP等を通じて違法アップロードの迅速な削除を行えるような仕組みが採用されています。したがって、今ある法的な権利を適切に行使すれば、著作物の違法ネット流通は相当程度抑止することが可能です。

ところが、我が国のコンテンツホルダーは、新たな法的な仕組みを作ることには熱心ですが、これを活用することは不熱心です。新たな制度に市民が恐れおののいて自主的に著作物の違法ネット流通に関与するのを回避することを求めるがあまり、規制を求める範囲が過剰に広がってしまっています。しかし、権利を創設しても権利者がこれを積極的に活用しなければ当初予定していた効果が得られないのは当然のことで、これは現行制度がさらなる法規制を必要とするほどに不備であることの結果ではありません。

つきましては、新たな法規制を行う前に、既に創設した諸権利をコンテンツホルダーたちがどの程度活用してきたのか(民事訴訟や民事保全を国内外でいくつ申し立てたのか、刑事告訴をいくつ行ったのか、ISP等への削除要求はどれだけ行ったのか、著作物の違法ネット流通を発見するためにどのような体制を組んだのか)等を調査した上で、十分に活用してもなお現行法では足りないと言えるのかを、検討していただければ幸いです。


おわりに 26〜27頁


「中間まとめ」26頁には、第10期文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 技術的保護手段ワーキングチーム 名簿が掲載されています。そこには、社団法人日本映像ソフト協会(JVA)管理部部長代 理兼管理課長である酒井信義氏が入っています。酒井氏は、有識者ではなく、むしろ、著作権法による規制範囲が広がることにより利益を受ける業界団体の側の人間です。このような人物をワーキングチームに加えるのが文化審議会の公平性・公正性の理念に合致するのか疑問があります。

 他方、この中間まとめが作成されるに至る過程で、その提言に基づく立法がなされれば不利益を受ける側の人々(たとえば、「マジコン」の製造・流通に関与している事業者等)からのヒヤリング等は全くなされていません。

 このようなアンバランスな体制で審議を行えば、今回の中間まとめのような、とにかく必要性や許容性などさして配慮せず、とにかく新規規制を行うのだという答申ができあがるのは無理もないところです。しかしそれは、文化審議会、ひいては、政府に対する信頼を失わせるものであります(一部の業界団体の声のみを聞き入れる政府に国民が満足する時代はとうに終わっていることに、文化庁はいい加減気がつくべきです。)。

 つきましては、今後は、その提言する法改正によって不利益を被る側のヒヤリングをも行い、それを最終的な答申に反映させることを望んでやみません。

Posted by 小倉秀夫 at 09:24 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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