Persona non grata
話題になっている写真があります。地デジ推進キャラクターの草彅剛さんや、地デジカ、萩本欽一さんや高橋英樹さんら「地デジ化応援隊」、そして地デジ推進大使の各局アナウンサーらが明治記念館に集合した際に撮影した集合写真です(このページの上方に掲載されている写真です。実は、この画像とこの画像の二つの画像から成り立っています。)。
どうしてこのような無様な写真になっているのかというと、地デジ推進キャラクターである草彅剛さんの所属するジャニーズ・エンターテインメントがその所属するタレント(草彅さんを含みます。)の肖像をインターネット上に掲載することを許さないため、元の集合写真のうち、草彅さんが写っている部分を縦に切除してつなぎ合わせたからです。
インターネットもまた重要な広報手段となった現代において、その肖像をインターネット上で掲載させてくれないタレントを広報キャラクターに使うこと自体が間違っています。また、草彅さんも、広報キャラクターとして十分な役目を果たせないのだから、そもそも広報キャラクターのオファーがあっても辞退すべきだったというべきでしょう(草彅さんの肖像を削除したために、北島三郎さんたちがせっかく持っている横断幕の文章が途中で途切れてしまっています。)。
それはともかく、このページの掲載者であるインプレスは、あの集合写真のうち草彅さんが移っている部分を切除する必要があったのでしょうか。
1つ考えられるのは、切除しないと、肖像権侵害にあたるのではないかということでしょう。しかし、芸能人については、その肖像が撮影され、使用されたとしても、原則として人格権(肖像権)侵害にはあたらないとするのが、従前の裁判例の流れであり、多数説です。芸能人の私的生活領域における肖像がどこまで保護されるのかという点については争いのあるところですが、公的生活領域における芸能人の肖像については、元々多くの人に見られ知られることを希望して芸能活動に身を投じたわけですから、これが撮影され、様々なメディアに載せられて広く公衆の目に触れることになったとしても、その受忍限度を超えて人格的価値が損なわれることはないと考えるわけです。
すると、地上デジタル推進全国会議の「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表会において、地デジ推進キャラクターとしての仕事の一環として撮影された草彅さんの肖像を、草彅さんの許諾なくして、同記者発表会があったこと及びその内容を報ずるウェブニュースにおいて掲載することが、草彅さんの人格権(肖像権)を侵害するものとは考えられないというべきかと思います。
もう一つが、切除しないと、パブリシティ権にあたるのではないかということでしょう。
判例法上の財産権としてのパブリシティ権はギャロップレーサー事件最高裁判決で否定されたのではないかと私は思っているのですが、仮に、判例法上の排他的権利としてのパブリシティ権を認める見解に立ったとしても、パブリシティ権は、著名人の氏名・肖像等が有する顧客吸引力を専ら利用する目的でその氏名・肖像を利用することを禁止する権利ですから、地上デジタル推進全国会議の「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表会についての報道を行う際に、地デジ推進キャラクターたる草彅さんを含む関係者一同の集合写真を、草彅さんの肖像部分を切除せずに掲載することが、パブリシティ権侵害になるとは到底思われません(草彅さんの肖像が見たくてその集合写真にアクセスする人ってそんなにいないと思いますし。)。
そういう意味では、インプレスの行動は、過剰規制だったような気がします。
Posted by 小倉秀夫 at 02:27 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | Permalink | Commentaires (1) | TrackBack (0)