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01/25/2011

Persona non grata

 話題になっている写真があります。地デジ推進キャラクターの草彅剛さんや、地デジカ、萩本欽一さんや高橋英樹さんら「地デジ化応援隊」、そして地デジ推進大使の各局アナウンサーらが明治記念館に集合した際に撮影した集合写真です(このページの上方に掲載されている写真です。実は、この画像この画像の二つの画像から成り立っています。)。

 どうしてこのような無様な写真になっているのかというと、地デジ推進キャラクターである草彅剛さんの所属するジャニーズ・エンターテインメントがその所属するタレント(草彅さんを含みます。)の肖像をインターネット上に掲載することを許さないため、元の集合写真のうち、草彅さんが写っている部分を縦に切除してつなぎ合わせたからです。

 インターネットもまた重要な広報手段となった現代において、その肖像をインターネット上で掲載させてくれないタレントを広報キャラクターに使うこと自体が間違っています。また、草彅さんも、広報キャラクターとして十分な役目を果たせないのだから、そもそも広報キャラクターのオファーがあっても辞退すべきだったというべきでしょう(草彅さんの肖像を削除したために、北島三郎さんたちがせっかく持っている横断幕の文章が途中で途切れてしまっています。)。

 それはともかく、このページの掲載者であるインプレスは、あの集合写真のうち草彅さんが移っている部分を切除する必要があったのでしょうか。

 1つ考えられるのは、切除しないと、肖像権侵害にあたるのではないかということでしょう。しかし、芸能人については、その肖像が撮影され、使用されたとしても、原則として人格権(肖像権)侵害にはあたらないとするのが、従前の裁判例の流れであり、多数説です。芸能人の私的生活領域における肖像がどこまで保護されるのかという点については争いのあるところですが、公的生活領域における芸能人の肖像については、元々多くの人に見られ知られることを希望して芸能活動に身を投じたわけですから、これが撮影され、様々なメディアに載せられて広く公衆の目に触れることになったとしても、その受忍限度を超えて人格的価値が損なわれることはないと考えるわけです。

 すると、地上デジタル推進全国会議の「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表会において、地デジ推進キャラクターとしての仕事の一環として撮影された草彅さんの肖像を、草彅さんの許諾なくして、同記者発表会があったこと及びその内容を報ずるウェブニュースにおいて掲載することが、草彅さんの人格権(肖像権)を侵害するものとは考えられないというべきかと思います。

 もう一つが、切除しないと、パブリシティ権にあたるのではないかということでしょう。

 判例法上の財産権としてのパブリシティ権はギャロップレーサー事件最高裁判決で否定されたのではないかと私は思っているのですが、仮に、判例法上の排他的権利としてのパブリシティ権を認める見解に立ったとしても、パブリシティ権は、著名人の氏名・肖像等が有する顧客吸引力を専ら利用する目的でその氏名・肖像を利用することを禁止する権利ですから、地上デジタル推進全国会議の「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表会についての報道を行う際に、地デジ推進キャラクターたる草彅さんを含む関係者一同の集合写真を、草彅さんの肖像部分を切除せずに掲載することが、パブリシティ権侵害になるとは到底思われません(草彅さんの肖像が見たくてその集合写真にアクセスする人ってそんなにいないと思いますし。)。

 そういう意味では、インプレスの行動は、過剰規制だったような気がします。

Posted by 小倉秀夫 at 02:27 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (1) | TrackBack (0)

01/07/2011

2011年パブコメの続き

昨日の中間まとめに対するパブコメですが、さらに2つ追加しました(最後のは多少反則気味ですが)


第2章 10頁


中間まとめ」では次のように記載されている。


○ このようなアクセスコントロール機能とコピーコントロール機能とが一体化 している保護技術を著作権法上の技術的保護手段の対象外としていることは、 保護技術の高度化・複合化など技術の進展に著作権法が対応できないという問 題とともに、前述したように著作権等の実効性の低下が強く指摘されている中 にあって、著作権者等の保護の観点から、もはや放置することのできない問題 となっていると言える。

○ また、ネット上の違法流通を恐れて著作物のインターネット配信等を躊躇し 著作物の円滑な利用を妨げることにもつながるなど、インターネット上の著作 物流通の促進の観点からの問題、さらに、欧米諸国にあっては広くアクセスコ ントロール「技術」を含め著作権法の規制対象としており、国境を越えた著作 物流通が増大する状況にあって、国際的な協力のもと著作権保護を図っていく ことの重要性の観点からも問題があり、対応が急務となっているものと考える


しかし、著作権法は既に、著作物の違法ネット流通については送信可能化権を創設することにより対応しており、さらに昨年は、音楽・映像等に関して違法アップロードサイトからのダウンロードを違法化させる改正法を施行しています。また、中国を含む主たる諸外国も、著作物の違法ネット流通については著作権法による網をかけるとともに、ISP等を通じて違法アップロードの迅速な削除を行えるような仕組みが採用されています。したがって、今ある法的な権利を適切に行使すれば、著作物の違法ネット流通は相当程度抑止することが可能です。

ところが、我が国のコンテンツホルダーは、新たな法的な仕組みを作ることには熱心ですが、これを活用することは不熱心です。新たな制度に市民が恐れおののいて自主的に著作物の違法ネット流通に関与するのを回避することを求めるがあまり、規制を求める範囲が過剰に広がってしまっています。しかし、権利を創設しても権利者がこれを積極的に活用しなければ当初予定していた効果が得られないのは当然のことで、これは現行制度がさらなる法規制を必要とするほどに不備であることの結果ではありません。

つきましては、新たな法規制を行う前に、既に創設した諸権利をコンテンツホルダーたちがどの程度活用してきたのか(民事訴訟や民事保全を国内外でいくつ申し立てたのか、刑事告訴をいくつ行ったのか、ISP等への削除要求はどれだけ行ったのか、著作物の違法ネット流通を発見するためにどのような体制を組んだのか)等を調査した上で、十分に活用してもなお現行法では足りないと言えるのかを、検討していただければ幸いです。


おわりに 26〜27頁


「中間まとめ」26頁には、第10期文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 技術的保護手段ワーキングチーム 名簿が掲載されています。そこには、社団法人日本映像ソフト協会(JVA)管理部部長代 理兼管理課長である酒井信義氏が入っています。酒井氏は、有識者ではなく、むしろ、著作権法による規制範囲が広がることにより利益を受ける業界団体の側の人間です。このような人物をワーキングチームに加えるのが文化審議会の公平性・公正性の理念に合致するのか疑問があります。

 他方、この中間まとめが作成されるに至る過程で、その提言に基づく立法がなされれば不利益を受ける側の人々(たとえば、「マジコン」の製造・流通に関与している事業者等)からのヒヤリング等は全くなされていません。

 このようなアンバランスな体制で審議を行えば、今回の中間まとめのような、とにかく必要性や許容性などさして配慮せず、とにかく新規規制を行うのだという答申ができあがるのは無理もないところです。しかしそれは、文化審議会、ひいては、政府に対する信頼を失わせるものであります(一部の業界団体の声のみを聞き入れる政府に国民が満足する時代はとうに終わっていることに、文化庁はいい加減気がつくべきです。)。

 つきましては、今後は、その提言する法改正によって不利益を被る側のヒヤリングをも行い、それを最終的な答申に反映させることを望んでやみません。

Posted by 小倉秀夫 at 09:24 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

01/06/2011

文化審議会パブコメ第1弾

 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に関する意見募集について、さきほど、下記のとおり私なりの意見を送信しました。

第2章 14頁

ニンテンドーDSに用いられている保護技術は、任天堂が供給する記録媒体に記録されたコンテンツのみを実行可能とするものです。任天堂が供給する記録媒体以外の記録媒体に記録されているコンテンツについては、その著作権者等が自ら又は第三者に許諾して送信可能化しているものであっても、その実行を制限するものです。しかも、自社が開発したコンテンツを任天堂が供給する記録媒体に記録することができるのは任天堂の工場のみであり、報道等によれば数千個というロットで発注することを余儀なくされ、その代金は前金で支払うことが求められるとされており、数百万円単位を予め支払わなければ自社コンテンツを上記記録媒体に記録して販売することは叶いません。さらにいえば、それだけの資金を工面して自社コンテンツを上記記録媒体に記録するように任天堂に申し入れても、この申し入れに応ずるか否かは任天堂の胸三寸で決まるのであり、また、そのコンテンツがヒットしたときに、いつまでに、何個追加生産するのかも、任天堂の了承無くしては決定できません。

 このため、アマチュアプログラマーが開発したコンテンツ、プロのプログラマーが会社等の業務とは別に趣味で開発したコンテンツ、あるいは、零細のソフトハウス等が開発したコンテンツ等(以下、「自主制作ソフト」といいます。)については、任天堂が供給する記録媒体に記録する術が事実上存在しないため、インターネット上で無償で送信可能化したり、これを記録したminiSD等を「同人系ショップ」等で販売するなどした上で、利用者の側でニンテンドーDSに「マジコン」をセットしてこれを実行してもらっているというのが実情です。

 これまで我が国では、ある機器等で稼働するコンテンツを制作し、販売等をするにあたって、当該機器の開発・製造会社の許諾を要しないものとされてきました。その考え方が今後も維持されるのであれば、自主制作ソフトは「非正規のゲーム」にはあたらないのではないかと思います。法制問題小委員会は、この考え方自体を改めたのでしょうか?

 それはともかく、この保護技術が社会的にどのように「機能」しているかといえば、次のとおりです。

 エンドユーザーとの関係でいえば、メーカーを通じて、任天堂が供給する記憶媒体を1コンテンツに付き1枚購入することを義務づけるものとして機能しています。そのコンテンツが「違法に複製され、さらに違法にアップロードされたゲームソフトを単にダウンロードしただけ」のものか、著作権者の許諾を得て複製され、アップロードされ、ダウンロードされたものであるか否かは、ここでは全く関係がありません。

 コンテンツ提供者との関係でいえば、この保護技術は、適法に複製され、適法にアップロードされた自社コンテンツを、単にダウンロードするだけでは、これをエンドユーザーが記録した記録媒体にはゲーム機本体にあるセキュリティに適合する信号が記録されていないため、結果としてゲーム機で使用することのできない、意味のない不完全な複製とすることにより、アップロードの際に行われる適法な自社コンテンツの複製を抑止する技術だということになります。すなわち、これは、コンテンツの流通を妨げる技術だということです。

 したがって、仮にこのような技術を技術的保護手段の対象として位置づけるのであれば、コンテンツ提供者が自らまたはその許諾を得て自社コンテンツをアップロードすることを抑止しないものであることを要件に含めるべきだと思います。具体的には、任天堂が供給する記憶媒体の複製不可能領域に記録されている信号が記録されていない場合にはコンテンツの稼働が中断するような仕組みをゲーム機本体ではなくコンテンツの中に組み入れるなどすれば、その実現は容易です。

 コンテンツは表現物であり、その創作、頒布等は表現行為として、憲法第21条により手厚く保障されるべきものです。そのような表現行為が、現在、ゲーム機器本体の開発・製造者によって踏みにじられています。本来であれば、文化審議会は、そのような表現行為に対する妨害行為をやめるように任天堂に対し行政指導等をする立場にいるとすらいえます。しかるに、今回の中間まとめでは、むしろ、表現行為に対する妨害行為を側面から支援するような法改正が提言されています。多様な作品を世に送り出し公衆に享受させることにより文化の発展を図ろうとする著作権法の究極目的からすれば、本末転倒とすらいうべきものです。

 文化審議会におかれましては、巨大な資本に迎合したいという誘惑に打ち勝ち、コンテンツの多様性を確保するための施策を打ち出して行かれますよう期待しております。

第2章 10頁

中間まとめは、概ね次のように提言しています。

現行のように保護技術の「技術」のみに着目して、コピーコントロール「技術」か否かを評価するのではなく、後述するように、ライセンス契約等の実態も含めて、当該技術が社会的にどのような機能を果たしているのかとの観点から保護技術を改めて評価し、複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する「機能」を有する保護技術については、著作権法の規制対象とすることが適当であると考える。

 しかし、「当該技術が社会的にどのような機能を果たしているのかとの観点から保護技術を改めて評価し」た結果「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する「機能」を有する保護技術」とされることになる技術とは、結局のところ、「複製等の支分権の対象となる行為が行われた結果利用者の手元に届いたデータからは著作物等を再生できないこととする技術」を指している過ぎないようにも見えます。そうであるならば、不正競争防止法上の技術的制限手段の回避装置の流通規制とは別個に、著作権法でこれを保護する必然性を見いだすことができません。

 また、中間まとめでは、技術的保護手段の対象として位置づけることが適当であるとされている「エラー惹起型」技術の例として、「コピーコントロールCD」が挙げられています(13頁)。しかし、これは、PCでの音楽データの読み取りを妨害する技術であり、支分権の対象ではない「公衆に直接聞かせる目的なき音楽の演奏」をも妨害するものであり、有り体に言えば、著作物の再生に用いる機器の種類をコントロールしようとする技術です。このようなものまで「中間まとめ」が「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する『機能』を有する保護技術」と位置づけていたとなると、今後開発されるである新技術のうちどのようなものが「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する『機能』を有する保護技術」に含まれるとされるのか、皆目見当がつかなくなります。

 さらにいえば、「コピーコントロールCD」は、機器メーカーの団体等と協議して定めた規格に則って異常動作を引き起こすような信号をコンテンツに混在させるのではなく、コンテンツ提供者の側で一方的にエラー惹起情報をコンテンツに混在させてエラーを惹起させるものです。このようなものまで「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する『機能』を有する保護技術」に含まれるとなると、機器メーカーとしては、特定の種類のエラー情報によって機器が正常に動作しないというクレームが寄せられたときに、これを是正して機器が正常に動作する仕組みを講じてよいものかどうか、コンテンツ提供者に確認しなければいけないということになります。これは、エラーに強い高機能な機器を開発して世界的な競争に打ち勝とうという機器メーカーにとって大きな足かせとなるおそれがあります。

 したがって、「中間まとめ」にて提言されているような法改正は、見送るべきだと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 08:35 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)