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01/06/2011

文化審議会パブコメ第1弾

 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ」に関する意見募集について、さきほど、下記のとおり私なりの意見を送信しました。

第2章 14頁

ニンテンドーDSに用いられている保護技術は、任天堂が供給する記録媒体に記録されたコンテンツのみを実行可能とするものです。任天堂が供給する記録媒体以外の記録媒体に記録されているコンテンツについては、その著作権者等が自ら又は第三者に許諾して送信可能化しているものであっても、その実行を制限するものです。しかも、自社が開発したコンテンツを任天堂が供給する記録媒体に記録することができるのは任天堂の工場のみであり、報道等によれば数千個というロットで発注することを余儀なくされ、その代金は前金で支払うことが求められるとされており、数百万円単位を予め支払わなければ自社コンテンツを上記記録媒体に記録して販売することは叶いません。さらにいえば、それだけの資金を工面して自社コンテンツを上記記録媒体に記録するように任天堂に申し入れても、この申し入れに応ずるか否かは任天堂の胸三寸で決まるのであり、また、そのコンテンツがヒットしたときに、いつまでに、何個追加生産するのかも、任天堂の了承無くしては決定できません。

 このため、アマチュアプログラマーが開発したコンテンツ、プロのプログラマーが会社等の業務とは別に趣味で開発したコンテンツ、あるいは、零細のソフトハウス等が開発したコンテンツ等(以下、「自主制作ソフト」といいます。)については、任天堂が供給する記録媒体に記録する術が事実上存在しないため、インターネット上で無償で送信可能化したり、これを記録したminiSD等を「同人系ショップ」等で販売するなどした上で、利用者の側でニンテンドーDSに「マジコン」をセットしてこれを実行してもらっているというのが実情です。

 これまで我が国では、ある機器等で稼働するコンテンツを制作し、販売等をするにあたって、当該機器の開発・製造会社の許諾を要しないものとされてきました。その考え方が今後も維持されるのであれば、自主制作ソフトは「非正規のゲーム」にはあたらないのではないかと思います。法制問題小委員会は、この考え方自体を改めたのでしょうか?

 それはともかく、この保護技術が社会的にどのように「機能」しているかといえば、次のとおりです。

 エンドユーザーとの関係でいえば、メーカーを通じて、任天堂が供給する記憶媒体を1コンテンツに付き1枚購入することを義務づけるものとして機能しています。そのコンテンツが「違法に複製され、さらに違法にアップロードされたゲームソフトを単にダウンロードしただけ」のものか、著作権者の許諾を得て複製され、アップロードされ、ダウンロードされたものであるか否かは、ここでは全く関係がありません。

 コンテンツ提供者との関係でいえば、この保護技術は、適法に複製され、適法にアップロードされた自社コンテンツを、単にダウンロードするだけでは、これをエンドユーザーが記録した記録媒体にはゲーム機本体にあるセキュリティに適合する信号が記録されていないため、結果としてゲーム機で使用することのできない、意味のない不完全な複製とすることにより、アップロードの際に行われる適法な自社コンテンツの複製を抑止する技術だということになります。すなわち、これは、コンテンツの流通を妨げる技術だということです。

 したがって、仮にこのような技術を技術的保護手段の対象として位置づけるのであれば、コンテンツ提供者が自らまたはその許諾を得て自社コンテンツをアップロードすることを抑止しないものであることを要件に含めるべきだと思います。具体的には、任天堂が供給する記憶媒体の複製不可能領域に記録されている信号が記録されていない場合にはコンテンツの稼働が中断するような仕組みをゲーム機本体ではなくコンテンツの中に組み入れるなどすれば、その実現は容易です。

 コンテンツは表現物であり、その創作、頒布等は表現行為として、憲法第21条により手厚く保障されるべきものです。そのような表現行為が、現在、ゲーム機器本体の開発・製造者によって踏みにじられています。本来であれば、文化審議会は、そのような表現行為に対する妨害行為をやめるように任天堂に対し行政指導等をする立場にいるとすらいえます。しかるに、今回の中間まとめでは、むしろ、表現行為に対する妨害行為を側面から支援するような法改正が提言されています。多様な作品を世に送り出し公衆に享受させることにより文化の発展を図ろうとする著作権法の究極目的からすれば、本末転倒とすらいうべきものです。

 文化審議会におかれましては、巨大な資本に迎合したいという誘惑に打ち勝ち、コンテンツの多様性を確保するための施策を打ち出して行かれますよう期待しております。

第2章 10頁

中間まとめは、概ね次のように提言しています。

現行のように保護技術の「技術」のみに着目して、コピーコントロール「技術」か否かを評価するのではなく、後述するように、ライセンス契約等の実態も含めて、当該技術が社会的にどのような機能を果たしているのかとの観点から保護技術を改めて評価し、複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する「機能」を有する保護技術については、著作権法の規制対象とすることが適当であると考える。

 しかし、「当該技術が社会的にどのような機能を果たしているのかとの観点から保護技術を改めて評価し」た結果「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する「機能」を有する保護技術」とされることになる技術とは、結局のところ、「複製等の支分権の対象となる行為が行われた結果利用者の手元に届いたデータからは著作物等を再生できないこととする技術」を指している過ぎないようにも見えます。そうであるならば、不正競争防止法上の技術的制限手段の回避装置の流通規制とは別個に、著作権法でこれを保護する必然性を見いだすことができません。

 また、中間まとめでは、技術的保護手段の対象として位置づけることが適当であるとされている「エラー惹起型」技術の例として、「コピーコントロールCD」が挙げられています(13頁)。しかし、これは、PCでの音楽データの読み取りを妨害する技術であり、支分権の対象ではない「公衆に直接聞かせる目的なき音楽の演奏」をも妨害するものであり、有り体に言えば、著作物の再生に用いる機器の種類をコントロールしようとする技術です。このようなものまで「中間まとめ」が「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する『機能』を有する保護技術」と位置づけていたとなると、今後開発されるである新技術のうちどのようなものが「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する『機能』を有する保護技術」に含まれるとされるのか、皆目見当がつかなくなります。

 さらにいえば、「コピーコントロールCD」は、機器メーカーの団体等と協議して定めた規格に則って異常動作を引き起こすような信号をコンテンツに混在させるのではなく、コンテンツ提供者の側で一方的にエラー惹起情報をコンテンツに混在させてエラーを惹起させるものです。このようなものまで「複製等の支分権の対象となる行為を技術的に制限する『機能』を有する保護技術」に含まれるとなると、機器メーカーとしては、特定の種類のエラー情報によって機器が正常に動作しないというクレームが寄せられたときに、これを是正して機器が正常に動作する仕組みを講じてよいものかどうか、コンテンツ提供者に確認しなければいけないということになります。これは、エラーに強い高機能な機器を開発して世界的な競争に打ち勝とうという機器メーカーにとって大きな足かせとなるおそれがあります。

 したがって、「中間まとめ」にて提言されているような法改正は、見送るべきだと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 08:35 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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