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02/13/2011

ポケモンのセーブデータの売買

 『ポケットモンスターDS』についてのセーブデータがヤフーオークションなどで売買されていることを問題視している人たちがいるそうです

Zakzakの記事によれば、

ポケモンのポータブルゲームとは、プレーヤーが数百種類の「ポケモン」と対戦し、経験値やお小遣いを増やしながらキャラクターを捕獲するのがストーリー。キャラの種類を増やしたり、データ通信で捕獲したキャラの交換もできる

とのこと。これに対して、ポケモン社の「関係者」は、

そもそも、セーブしたデータを何らかの手法で繰り返しコピーし、販売するだけでも著作権法違反にあたります。任天堂が配信してない改造ポケモンを発売したりするのも、オリジナルの楽曲に手を加えてアーティストに無断で販売しているのと変わりません

とのべているのだそうです。

 しかし、「経験値」や「お小遣い」等とパラメータデータは、思想または感情を表現したものではないし、それを創作的に表現したものでもないので、著作物にあたりません。したがって、これをコピーし、販売しても、著作権法違反とはなりません。

 パラメータデータが収録された媒体を販売することがゲームについての同一性保持権侵害を惹起させるとした最高裁判決はありますが(ときめきメモリアル事件)、これは、その「使用によって,本件ゲームソフトにおいて設定されたパラメータによって表現される主人公の人物像が改変されるとともに,その結果,本件ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開され,ストーリーの改変をもたらすことになる」ものであったことが前提です。したがって、上手な人が実際にポケモンをプレーした結果取得したセーブデータをコピーして販売した場合には、そのゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開したわけではありませんから、上記判例の基準で言えば、同一性保持権侵害を生じていないということになります。

 「任天堂が配信してない改造ポケモンを発売」した場合はどうかという問題はあります。「改造ポケモン」というのが、ユーザーの側で独自に制作したオリジナルの「ポケモン」という意味ならば、それをゲーム上に登場させることができるようになることによって、「ストーリーが本来予定された範囲を超えて展開され」ることになると言えるか否かによることになります。ただ、どうなんでしょう。いくつか独自キャラクターが登場するくらいでそこまで言えるものでしょうか。

 もう一つ検討すべきは、セーブデータの中に、任天堂が配信する「ポケモン」についての画像データが含まれている可能性です。この場合、そのようなデータをコピーして販売すると、客観的には複製権侵害、譲渡権侵害が生ずる可能性があります。

 ただし、セーブデータを保有しているユーザーとしては、セーブデータの解析をしない限りそこにどのようなデータが含まれているのかを知り得ないのであり、仮に、「ポケモン」についての画像データが含まれていたとしても、通常そのことを知り得ないということになります。そうすると、故意が必要とされる著作権侵害罪が成立しないことはもちろん、故意または過失が必要な著作権侵害に基づく損害賠償請求権すら成立しないのではないかという気がしなくはありません。

 ユーザーの行動に文句をつけるのであれば、もう少し丁寧に説明をすべきなのではないかと思う次第です。

Posted by 小倉秀夫 at 07:32 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)