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02/18/2013

著作物として保護する

 著作権法2条1項1号は、「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義し、さらに10条1項で、「この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。」とした上で、言語の著作物、音楽の著作物、舞踊又は無言劇の著作物、美術の著作物、建築の著作物、図形の著作物、映画の著作物、写真の著作物、プログラムの著作物の9種類を著作物の例として示します。その上で、12条では、「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。」と定め、12条の2では、「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。」と定めます。この「著作物として保護する」とはどういう意味でしょうか。

 加戸守行「著作権法逐条講義(五訂新版)では、「編集著作物は、第10条第1項各号の著作物の例示の中には入っておりません。というのは、著作物の例示は表現形態別のものであって、編集著作物は材料の集合体という特異なもので分類になじまないということです」(130頁)と説明されています。果たしてそうでしょうか。データベースの著作物は、「材料の集合体」という表現形態なのだと考えれば、10条1項の例示に含まない合理性を欠いているように思います。

 むしろ、編集物やデータベースについては、文化的な所産と言うより産業的な所産としての色合いが強く、2条1項1号で定義した本来の「著作物」とは必ずしも合致しない(それ自体、独自に「思想又は感情」を表現しているとは言い難い場合が多いし、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」といえない場合も少なくない。)から、「著作物として例示するのは不適切だから例示に含めなかったと考えてみた方が素直ではないかという気がします。そう考えれば、編集著作物及びデータベース著作物について、「著作物として保護する」という文言が用いられた理由が明確になります。編集物にせよデータベースにせよ、素材の選択と配列(または体系的な構成)に創作性が認められたからといって、「思想又は感情」を表現していない、あるいは、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ではないとの理由で、2条1項1号の著作物の定義を満たさない場合が多々あり得るが、そういうものであっても、12条ないし12条の2の要件を満たすのであれば、政策的観点から、著作権法上「著作物」として取り扱うことにする。それこそが、「著作物として保護する」という文言の趣旨だと解するわけです。

 そうだとすると、編集物及びデータベースについては、「思想又は感情」を表現したものとはいえない、あるいは、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とはいえないとの主張は、その著作物性を否認する際の理由とはなり得ないということになります(逆に、編集著作物もデータベース著作物も2条1項1号の「著作物」の態様であるとした場合には、「思想又は感情」を表現したものとはいえない、あるいは、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とはいえないとの主張が、著作物性の主張に対する否認理由となり得ることになります。)。

Posted by 小倉秀夫 at 03:39 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)