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03/26/2013

2013年著作権法ゼミ用のテキスト

 著作権法ゼミのゼミ生の皆さまは、以下を参考にして教材を各自調達して下さい。

 著作権法ゼミも、基本的にはやることは制定法の解釈論ですから、「六法」「基本書」「判例集」が必要です。

 ただ、著作権法というのは法学系では依然としてマイナーな領域でありますので、通常の六法では適切な処遇を受けていません。なので、知的財産権法用の六法を別途用意して下さい。

のどちらかにしておけばいいと思います。著作権法は平成24年に大分改正がありましたので、六法は平成25年度版にしておいた方が無難です。

 なお、大渕編の場合、著作権法関連条文の掲載が少ないですので、著作権情報センターのサイトで著作権関連条文をダウンロードして印刷して補充しておくといいと思います。

 基本書としては、薄くて全体を読み通しやすいものから、学説や判例をふんだんに盛り込んであるものまで、色々あります。ロースクールを受験するような人たちは後者の方が読みやすいかも知れませんが、政治学科や国際企業関係法学科の皆さんのように法律書を読み慣れていない人たちは、そういうボリュームのある本だと消化不良を起こしてしまうかもしれません。

 基本書として使える本を軽量→重厚順に並べていくと、

  1. 島並良=上野達弘=横山久芳「著作権法入門
  2. 三山裕三「著作権法詳説:判例で読む15章
  3. 中山信弘「著作権法
  4. 岡村久道「著作権法
  5. 作花文雄「詳解著作権法

といったところになろうかと思います。

 もっとも、平成24年に大分法律が変わったので、年内に改訂版が出るものがあるかもしれません。それ以外にも新しい基本書等は大分出たのですが、私が読んだ感想としては、学生向きではなかったように思いました。

 判例集については、別冊ジュリストの「著作権法判例百選」が無難だと思います。とはいえ、これが2009年の刊行なので、それ以降の判例については別途補っていく必要があります。

 日本ユニ著作権センターのサイト駒沢公園行政書士事務所日記等を使っておくといいのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 11:33 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

03/21/2013

「知的財産推進計画2013」、「知的財産政策ビジョン」についてのパブコメ

「知的財産推進計画2013」、「知的財産政策ビジョン」についてのパブコメを下記のとおり作成し、送りました。


(全文)

  1. ファンがコンテンツを購入しまたはスポンサー企業が広告費として支払ったお金が実際にクリエイターたちに届くまでの間に、誰がどのような名目でいくら抜き取るのかを調査した上で、不当な中抜きが行われないようなビジネスモデルを提示する。「創作のサイクル」を維持するためには、そのサイクルの頂点にいるべきクリエイターにお金が行き渡るようにすることは必要である。現在の、「流通」を押さえているテレビ局、レコード会社、出版社に富が集中するシステムは、創作のサイクルを先細りさせるものである。
  2. テレビ局や出版社等が製作会社にコンテンツの制作を委託する場合、製作会社が下請会社やフリーのクリエイターたちにコンテンツの制作を委託する場合の、委託料の下限を法律で定め、クリエイターたちが創作活動のみで生計を立てることができるシステム作りを目指す。末端のクリエイターたちが実質的に最低賃金以下の労働条件を強いられている現状は異常であり、この点の改善なしに、国際的な競争力を有するコンテンツを今後も日本で生み出し続けること自体がおぼつかなくなることは必定である。
  3. 米国の俳優組合等を調査し、クリエイターたちが組織化し、その待遇の改善を図るためにテレビ局や映画製作会社、出版社等に対して要求を突きつけ、飲ませる方法についての実践的な研究を行う。
  4. テレビ局やレコード会社や出版社等、クリエイターではない著作権者、隣接権者等が、コンテンツのインターネットを介した流通を阻害する権利行使を制限する。強制許諾制度を導入するなり、報酬請求権にランクダウンするなりすることにより、テレビ局等がコンテンツの流通を阻害し、クリエイターがそのコンテンツからより多くの報酬を得る機会の妨げとなる事態を回避する。
  5. 米国法でいうところの「transformative」な利用については、小説や漫画の映画化・ドラマ化・舞台化等伝統的に投下資本の回収手段として活用されてきたものを除き、著作権者等は著作権等を行使できないものとする(報酬請求権が付与されることは妨げない。)。現代のクリエイターが新たな作品を制作しやすくするためには、既存の作品の使用に係る権利処理のコストが過大にならないようにすることが必要である。
  6. 商用コンテンツとして公表されたコンテンツであって著作権登録(著作権法76条ないし77条に係るもの)がなされていないもの(特定承継または一般承継により著作権の帰属が変動するも、登録原簿の記載にそれが反映されていないものを含む。)については、著作権者からの差し止め請求があるまでの間、通常の使用料相当額を供託することを条件として、当該コンテンツの再利用を行えるようにする。商用コンテンツとして一度公表されたものが死蔵されるリスクを低下させるためには、著作権者にアクセスするコストを低下させることが必要であるが、そのためには、著作権原簿という仕組みを利用するのが便宜である。
  7. 各ジャンルについて、デビュー前の、デビューしたての、そして、ようやく安定し始めた若い世代のクリエイターたちからの事情聴取をしっかり行い、知財戦略に活かす。知財戦略本部には、クリエイターの立場から意見を述べる者も少なからずいるが、その多くはいわゆる大御所であって、どうしても、これから新たな作品を作っていくことよりも、既に作った作品から更に利益を得ることに重きを置きがちであり、若い世代のクリエイターたちとは利害が対立しがちである。しかし、「クール・ジャパン」の主な担い手は、大御所ではなく、若い世代のクリエイターたちなのであるから、彼らから事情を聴取して彼らの利害を政策に反映させることこそが肝要である。
  8. これまでの政府の知財戦略に欠けていたのは、テレビ局やレコード会社、出版社、あるいは製作会社等から、クリエイターを守る仕組み作りという視点である。知的財産権による規制強化によってテレビ局等の収益が向上したとしても、現行制度のままでは、それがクリエイターの処遇改善に繋がる保証はなく、その場合、才能のあるクリエイターも制作という現場から短期のうちに離れなければならなくなることが想定される。政府は、まだ引き返せるうちに、クリエイター自体を保護する施策をとるべきである。


《要旨》


 クリエイターに利益が正当に行き渡るようにするために、不当な「中抜き」を排除したり、最低報酬制度の定めたり、クリエイターの組織化の促進したりすべきだ。また、コンテンツの死蔵を避けるために、クリエイター以外の著作権の行使を制限したり、「transformative」な利用について著作権の行使を制限したり、著作権登録がなされていない著作物について利用料相当金を供託して利用できるようにしたりするべきだ。


Posted by 小倉秀夫 at 05:01 PM | | Commentaires (0)