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10/02/2013

ゼミ選抜用のレポート課題

 中央大学法学部での著作権法ゼミでは、入ゼミ希望者の選別を「レポート&面接」で行うということをずっと続けているのですが、どうもレポートの課題が難しくて躊躇してしまったという声を3年生から聞いたので、今年、志願者が少ないようだったら、難易度を相当引き下げないといけないかなと反省しています。

 なお、今年の課題は下記の通りです。

下記のいずれかを選んでください。

課題1:政府の「クールジャパン戦略」が成功しない理由を説明するとともに、具体的なアーティスト又はコンテンツを例にとって、これを世界市場に売り込むための戦略について論じてください。

課題2:SNSにおいて18歳未満の利用者に特定のサービスを受けさせないために現在とられている手段について説明するとともに、年齢ゾーニングをより確実にするための方策について論じてください。

Posted by 小倉秀夫 at 03:26 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)

「自炊代行」事件第1審判決を見ての雑感

 自炊代行の適法性に関して、東京地方裁判所の判断が下されたようです。

 近々某所での勉強会でこの判決がテーマとされ、かつ、私はそのチューターを務めなければならないので、私自身のこの判決についての評釈は、それまで公表を差し控えることにします。ここでは、この判決のもたらすであろう影響について簡単に述べることにします。

 自炊代行業者の主たる顧客は、たくさんの蔵書を抱える人たちです。すなわち、それは、出版社や作家にとっては、たくさんの書籍や雑誌を購入してくれる良き顧客たちです。そういう良き顧客たちの「収蔵スペースを節約したい」という思いが、彼らを「自炊」という行為に走らせたわけです。自炊代行業を潰しにかかった作家たちの今回の行動は、間接的に、自分たちの良き顧客を敵に回したものと言えます。

 もちろん、書籍等の所有者が、自分だけで使用する目的で自ら自炊すること自体はなお適法です。NHKのNewswebの解説でも、その点は強調されていました。まあ、1冊、2冊を自炊するのであれば、「代行業者に頼まずに、自分で自炊すればいいだけですよ」で済むかもしれません。しかし、たくさんの書籍や雑誌を購入してくれた「良き顧客たち」に対し、「収蔵スペースのためにその蔵書を自炊したければ、代行業者など頼まずに、自分自身で自炊作業をおやりなさい」と言ってみたところで、「そのために、何時間、何十時間を費やせというのか!」という話にしかならないのではないでしょうか。

 この判決がきっかけとなって自炊代行業者が次々と廃業に追い込まれるとすると、今後はどうなっていくでしょうか。本好きの人はあきらめて自宅とは別の場所に書籍を収蔵するための部屋を借りるようになるでしょうか。

 むしろ、非破壊型の書籍スキャナーの需要が高まり、OA機器メーカーの技術開発がこの分野に集中していく可能性があるように思います。とりわけ、自動ページめくり機能付きの非破壊型書籍スキャナーは、自炊代行業に代わって、自炊作業に要する手間と時間を節約してくれますので、それなりの価格をつけても、「自室が蔵書でいっぱいになる」程度の購買力のある層に受け入れられる可能性が高まっていきます。そういている間に、メーカー同士の激しい技術開発競争と大量生産効果とが相まって、自動ページめくり機能付きの非破壊型スキャナーの価格が著しく下落することになるのではないかとの予測が成り立ちます。この場合、そんなには書籍等を購入しない人々もその種の機能を有するスキャナーに手が届くようになる可能性があります。そこでは、エンドユーザーは、「自炊」をするために書籍を購入する必要すらなく、誰かから/どこかから借りてくれば足りると言うことになります。それは、却って、作家や出版社のためになっていないようにも思います。

 エンドユーザーの立場から見れば、海賊版を購入するあるいは違法にアップロードされているコンテンツをダウンロードするということについてある種のやましさを感ずることがあるにしても、「Time Shift」「Space Shift」「Media Shift」による利便性の確保については、ITの進歩の成果として当然我々が享受できるものと捉えています。したがって、今回の判決のように、そのような我々の当然の利益が「著作権法」を盾に阻まれると、著作権法自体が、そして、著作権法をそのように反動的に運用する権利者や裁判所自体が怨嗟ないし嘲笑の対象となっていきます。とりわけ、ロクラクⅡ法理が「著作権者を勝たせるために恣意的に利用主体を認定するためのツール」として裁判所により運用される実態が広く知れ渡ると、裁判所の中立性に対する信頼自体が損なわれていきます。

 裁判所の知財部も、権利者団体も、そろそろそういうことに配慮して良いところまで来たのではないかという気がしないでもありません。

Posted by 小倉秀夫 at 02:47 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle | | Commentaires (0) | TrackBack (0)