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01/14/2014

音楽コンテンツにおける創意工夫

 今年書きたい論文のテーマの一つが、音楽コンテンツにおける創意工夫の配分問題です。

 メンバーの1人が作詞・作曲した楽曲を自分たちで演奏するバンドを想定してみてください。バンドのメンバーは各々、自分のパートを具体的にどう演奏するのか創意工夫するわけです。もちろん、他のメンバーやプロデューサー等がいろいろ意見してくることもあり、その場合にはそれを参考にして演奏方法を変えたり、変えなかったりするわけです。ライブの場合、具体的にどう演奏するのかはそのたびごとに微妙にまたは大胆に変わっていきます。また、レコード(CD)にその楽曲についての実演を収録する場合、様々な方法で行われた実演のうち特定のものをピックアップして(ときにはデジタル的に加工を加えた上で)一体のものとして組み上げる作業は、多くの場合プロデューサーが行います。

 このように、実際に公衆の耳に届く特定の音の連なりを作りあげる過程では様々な人々の様々な創意工夫が介在しています。それらのうち、作曲または編曲として「著作権」をもって保護するもの、実演あるいはレコード製作における創意工夫として「著作隣接権」をもって保護するにとどまるもの、あるいは、著作権法による保護の対象外とするものは、どのような根拠をもって、どのように区分されるのか。それが今年のテーマの一つです。

 そこには、音楽上のアレンジをもって即著作権法上の「編曲」としてしまうと実務的な不都合が大きすぎるという問題意識があります。例えば、著作権管理事業者は編曲件についての信託譲渡を受けていないため、ある楽曲を実演する上で通常なされる程度のアレンジまで著作権法上の「編曲」に含めてしまうと、「著作権管理事業者から著作物の利用許諾を受ければ、合法的に、他人が作詞・作曲した楽曲の演奏ができる」というスキームが成り立たなくなってしまいかねません。また、著作権法第43条を文理解釈する場合、編曲した上で行う演奏については、無償かつ非営利目的で行ったとしても、著作権法第38条第1項による権利制限の対象外となってしまいます。

 「実演」を媒介にして情報が公衆に提示・提供されることが予定されている著作物類型において、「実演」における創意工夫の結果生ずる、伝達される情報の変更が全て著作物それ自体の変更として評価されるのはおかしいのではないか。それが議論の出発点です。同じ現象は、演劇についても、あるいは舞踊についても生ずるわけですが、音楽の場合、元の著作物の演奏またはその録音という範囲にとどまるのか、あるいは、二次的著作物を創作した上での演奏または録音と評価されるのかで権利処理コストが大幅に異なってしまいますので、より先鋭な利害対立が生じうるのです。

 まだ今年は始まったばかりですので、今日はここまで。

Posted by 小倉秀夫 at 07:05 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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