« 演奏の「指導そのもの」から得た利益の一部をJASRACに支払うのは不自然 | Accueil

05/14/2017

インターネット放送の合法化

 今日の著作権法学会の午後のシンポジウムは、CD等に収録されている音源をインターネット放送で送信する際の権利処理コストを引き下げるための制度設計に関する話でした。

 この点に関する私の意見を述べてみたいと思います。

 私は、当該コンテンツの視聴を選択したユーザーが同時に同じ音声を聴くように設計されているものについては著作権法上の放送または有線放送にあたるとする見解に立ちます。しかし、この見解は現状少数説に留まるので、この見解に立脚したビジネスを立ち上げるのは勇気が要ることでしょう。したがって、日本国内にベースをおいたインターネット放送事業を支援しようと思ったら、法改正が必要です。では、どんな法改正が必要なのでしょうか。

 要するに、特定の音源について「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において利用が可能となる」と、それはその音源をCD等に収録して販売するというレコード製作者の通常のビジネスとバッティングするので、レコード製作者に排他権を付与すべきというのが実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約14条の趣旨であります。逆に言えば、特定の音源について「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において利用が可能となる」もの以外については、レコード製作者に排他権を付与する必要はないと言うことになります。

 では、具体的にどのようにするのがベストでしょうか。シンポジウムでは、強制許諾制度を導入するべきとする見解や、権利制限規定を設けた上でレコード製作者等に報酬請求権を付与するべきという見解が示されていました。利益状況としては放送におけるCD音源の使用と同様なので、法的な取扱いとしても放送におけるCD音源の使用と同様とするのが理想です。すなわち、特定の音源について「公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において利用が可能となる」公衆送信以外の公衆送信以外をレコード製作者及び実演家の排他権の対象から除外しつつ、レコード製作者及び実演家に対する二次的使用料の支払い義務を負わせるというものです。

 では、具体的にはどうしたら良いでしょうか。

 まずは、2条1項各号の定義規定の中に、排他権の対象から除外するインターネット放送の定義規定を入れてみましょう。

インターネット放送 レコードの送信可能化であって、公衆のそれぞれが選択する場所及び時期において当該レコードの利用が可能となるような状態に置くものでないもの(政令で定める除外条件を具備するものを除く。)

 シンポジウムでは、放送事業者は放送法により放送事業主体の名称、所在地等が明らかになっているのに対し、インターネット放送の場合必ずしもそうではないので、後者について報酬請求権化してしまうと取りっぱぐれてしまうリスクが高まることが問題視されました。そうであるならば、放送法上の放送事業者と同程度に名称、所在地等を登録してある事業者に限定して、排他権の対象から除外すればよいだけのように思います。

 例えば、2条1項各号の定義規定の中に次のような条項を加えてみましょう。

インターネット放送事業者 業としてインターネット放送を行う者であって、政令で定めるもの

 放送事業者、有線放送事業者がそのコンテンツをサイマル送信したりすることも有り得ますから、放送法上の認定基幹放送事業者及び登録一般放送事業者は、上記インターネット放送事業者に含めるべきでしょう。さらに、文化庁長官の登録を受けた事業者をインターネット放送事業者とすれば足りるでしょう(登録申請にあたって、氏名又は名称及び住所(並びに法人にあつてはその代表者の氏名)とインターネット放送に用いるURLを申請書の必須記載事項とし、さらに、破産等を認定資格喪失事由とすれば、二次的使用料等をいつまでも支払わずにインターネット放送だけ続けることは難しくなります。)。

 その上で、現行の著作権法第96条の2

レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。

レコード製作者は、そのレコードを送信可能化(インターネット放送事業者によるインターネット放送に該当するものを除く。)する権利を専有する。

としてしまえば、済むように思います。

 その上で、例えば、95条1項を

放送事業者、有線放送事業者及びインターネット放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送、有線放送又はインターネット放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。

としたり、97条1項を、

放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送、有線放送又はインターネット放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、レコードに係る音の提示につき受ける対価をいう。)を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第八条第一号から第四号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。

としたり、44条3項として、

2  インターネット放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなくインターネット放送することができる著作物を、自己のインターネット放送(放送を受信して行うものを除く。)のために、自己の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。
との規定を新設した上で、従前の第3項を第4項とし、「前二項」とあるのを「前三項」とするなどの調整をしたらいいように思います。

Posted by 小倉秀夫 at 04:09 AM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

TrackBack

URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13499/65276324

Voici les sites qui parlent de インターネット放送の合法化:

Commentaires

Poster un commentaire