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09/04/2017

CM出演契約における結婚禁止特約と公序良俗

 武井咲さんが、いわゆるデキ婚をしたことを発表したことに伴い、スポーツ紙などでは、所属プロダクションが巨額の違約金を支払わされるのではないかということが話題となっています。これに対して、そもそも結婚や妊娠をしたら違約金を支払わせる旨の条項は公序良俗に反し無効なのではないかとの見解も発表されています。

 もっとも、民法90条自体が「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」という抽象的な条文であり、何をもって「公の秩序」とし、何をもって「善良の風俗」に反するとするのかは不明です。このため、民法学では、公序良俗違反となる行為を類型化することで、無効となる行為の予測可能性を高めようとしています。

 公序良俗違反の類型論として著名なのは我妻栄先生のものなのですが、さすがに初出が大正12年ということで古いので、ここでは山本敬三先生の類型論を参考にしてみましょう(ただし、新版注釈民法からの孫引きです。)。  山本先生は、公序良俗を、A:秩序の維持、B:権利・自由の保障、C:暴利行為の規制とに区分しています。ここでは、とりあえずBが問題になりそうです。憲法第24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と定めているからです。

 もっとも、憲法上保障された権利や自由を制限する条項だから直ちに公序良俗に違反するとは言えません。憲法は、個人に保障された権利等を行使することを特定の個人に強いるものではなく、一定の反対給付と引き替えに、自己の有する憲法上の権利の行使を制限する義務を負うこともまた、契約自由の原則の一環として認められるべきだからです(最高裁は、雇用契約中に政治活動をしないことを条件とする特約の有効性を認めています(最判昭和27年2月22日民集6巻2号258頁))。

 当該商品・役務等を広告するのに相応しいイメージに合致すること、並びに、その氏名・肖像等が高い顧客吸引力を有しているが故に、広告主から広告代理店経由で所属プロダクションに広告のオファーが来ます。広告主としては、一定期間その肖像等を広告として使用する対価として相当の広告出演料をプロダクションに支払う以上、そのタレントに広告をオファーする際に重視した「イメージ」が広告契約期間中維持されることを求めるのは合理的です。したがって、上記イメージを損なうような行為を当該所属タレントに行わせないようにする義務を課す条項を広告出演契約の中の特約として含めるのは、広告主としては経済的に合理的であり、通常、反対給付(広告出演料)とバランスがとれています。  プロダクションとしては、そのような特約を含むオファーを受け入れた以上は、所属タレントがこれに反する行為をし、広告主が求めていたイメージを損なうことをしてしまった以上は、債務不履行責任を負うのはやむを得ないように思います。広告出演契約においては、そのタレントが有するイメージを含めて対価が支払われているのであり、かつ、そのタレントが有する「イメージ」は必ずしも「役柄」によって形成されるものに限らず、そのタレントについて公的に知られている私的な事項も含まれているからです(おしどり夫婦として知られているタレントに、仲の良い夫婦をターゲットとした商品等に関するオファーが来ることを想像してください。)。したがって、「清純」というイメージを売りにしているタレントについて広告出演契約をオファーするに当たって、「清純」というイメージを損なう行為の禁止する特約を織り込むことも対価性のバランスがとれており、公序良俗に反するものとまでは言えないように思います。

 したがって、所属タレントが特約に反する行為を行ったために当該CMを放送しないことにしたり、急遽別のタレントを使用したCMを作成するなどして被った損害について、広告主が所属プロダクションに賠償請求することは問題が無いように思われます。その特約に反する行為が、妊娠、結婚など、憲法上自由に行うことが可能な行為であったとしてもです。

 その結果、プロダクションが弁済を余儀なくされた賠償額を当該タレントに求償しうるかというのは、また別の問題です。ただし、そのような損害を求償できる旨の条項が専属実演家契約に含まれており、かつ、当該タレント自身、当該特約が含まれていることを知りつつ、当該CMのオファーを受けることを社内的に承諾している場合には、プロダクションによる求償権の行使を制約する理由がないように思います。

 もっとも、その場合であっても、所属プロダクションは、CM出演契約に特約として定められている違約金全額を支払わなければいけないかは別問題です。損害賠償額の予定ないし違約金条項が、想定される損害に比して過大である場合には、超過部分について公序良俗に反し無効とされる可能性があるからです。所属タレントが特約に反した行為を行い、その広告に利用しようとしていたイメージが損なわれたとして、通常は、そのCMを継続して使用しなければ良いだけの話ですから、特段の事情がない限り、新たなCMを急遽作成するのに要する費用を大きく上回る額を違約金として定めていたとすれば、超過分は無効となるのではないかと思います。

Posted by 小倉秀夫 at 10:22 PM dans au sujet de la propriété intellectuelle |

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