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ココログ最強検索 by 暴想

07/02/2010

「国家に対する忠誠としての愛国心」の有無は選挙権取得の要件ではない

 長尾一紘中央大学教授が、産経新聞社のインタビューに対し、次のように答えています。

理論的反省だ。法律の文献だけで問題を考えたのは失敗だった。政治思想史からすれば、近代国家、民主主義における国民とは国家を守っていく精神、愛国心を持つものだ。選挙で問題になるのは国家に対する忠誠としての愛国心だが、外国人にはこれがない。日本国憲法15条1項は参政権を国民固有の権利としており、この点でも違憲だ

 しかし、近代国家、民主主義国家においては、「愛国心」という特定の思想を持っているか否かによっては選挙権の有無を決定されないのが普通です。民主主義においては、市民こそが「国家」より上位に立つというのに、なぜ「国家に対する忠誠」がないと「選挙権」という市民としての権利を行使できないというのか、誠に本末転倒といわざるをえません。実際にも、民主主義社会においては、国民は、「国家に対する忠誠としての愛国心」に基づいて投票行動をとるのではなく、各人の利害を考慮して、投票行動をとるのが一般的です。

 憲法第15条との関係についていうと、地方参政権については、 第15条第1項

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

と、第93条第2項

地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

との関係をどう捉えるのか、ということに帰着しますから、第15条第1項の文言解釈で「日本国憲法15条1項は参政権を国民固有の権利としており、この点でも違憲だ」との答えが一義的に導き出せるものであるとも思われません(第15条第1項が第93条第2項にも重畳的に適用される結果、第93条第2項の「地方公共団体の住民」は同時に「国民」でなければならないという見解をとらないと、長尾教授のような見解には至りません。)。

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労働なき富

 マハトマ・ガンジーが「社会の大罪」の1つとして掲げた「Wealth without Work (労働なき富)」の解釈が国会でも話題になったようです。

 ガンジーが生きていたころのインドの状況を考えると、相続や世襲等によって働かずして得た富のことを指したのかなあと思わなくはありません。そういう意味では、「中学生か高校生のころ、ブリヂストン株を350万株、おじいちゃんから生前贈与を受けた」ことを「労働なき富」に含まないとする鳩山首相の答弁は苦しいように思われます。素直に、相続税、贈与税の税率を引き上げましょう。

 ただ、鳩山首相が「いわゆる行きすぎたマネーゲームとか、いわゆるカジノ経済と言われるような行きすぎた金融資本主義」を「労働なき富」に含めたのは、Social 「Science without Humanity」たる新古典派経済学の信奉者たちが批判するほどおかしなことでもないようです。

 「Bombay Sarvodaya Mandal/Gandhi Book Centre」のウェブサイトに、Stephen R. Coveyの「Principle Centered Leadership」の一節が引用されており、そこでは

Wealth Without Work
This refers to the practice of getting something for nothing - manipulating markets and assets so you don't have to work or produce added value, just manipulate people and things.

と述べられています。これは、鳩山首相の発想に通ずるものがあるように思われます。

 いずれにせよ、大企業を途中で辞めた人が、辞めずに残って正社員として働き続けた人々に対して、「Non-working Rich」等と罵る発想とは全く異なるところにいるように思われます。

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06/02/2010

「早起きニッポン研究会」

 産経新聞社の報道によると、「早起きニッポン研究会」という組織が、

 移行手順としては、最初に全国の公的施設や学校、企業、交通機関などの始業時刻を1時間早くすることから着手。定着度合いをみて、子午線を変更する計画を立てている。

のだそうです。この計画について、

京都大学経営管理大学院の塩沢由典客員教授(経済学)は「時間に余裕ができると、知的文化活動が活発になる。家庭人も増え、教育環境も向上するのでは」と評価

しているのだそうです。

 経済学者って、京大の大学院でもこのレベルなのだと思うとがっくりです(京都大学経営管理大学院って「寄付講座教員」というカテゴリーがあるのですね。もっとも、「2008年4月より、中央大学商学部教授」に就任している以上、対外的には「中央大学商学部教授」という肩書きを名乗らないと、中央大学商学部に対して失礼ではないかという気もします。)。

 始業時間が1時間早くなろうと、子午線を変更しようと、労働時間が減少しなければ、知的文化活動を行ったり、家庭で家族と過ごしたりという余暇時間は増えないのだということを理解できなくとも、経済学の教員は勤まるということなのでしょう。現代の日本は、日没により余暇活動が規制されている社会ではありません。

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年寄名跡の襲名を日本国籍を有する者に限ることと労働基準法第3条

 財団法人日本相撲協会寄附行為施行細則第48条第3号は、

年寄名跡の襲名は、日本国籍を有する者に限ることとする。

との規定があります。

 年寄は、「理事長の指示に従い、協会事業の実施にあたる」(第40条)とされており、給与が支給されている(第74条)ことを考えると、年寄は、日本相撲協会との関係では「労働者」であるといえそうです。すると。年寄名跡の襲名を日本国籍を有する者に限定した第48条第3号は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」と規定する労働基準法第3条または日本国憲法第14条に反しないかが問題となります(なお、労働基準法第3条の「労働条件」に「昇進・昇格等」が含まれることについては、大阪地判平成17年3月28日判タ1189号98頁等の裁判例があり、最判平成17年1月26日民集59巻1号128頁もそのことを前提としているというべきでしょう。)。

 もちろん、上記最判平成17年1月26日においては、「公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。それゆえ,国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし,原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきであ」り、「普通地方公共団体が,公務員制度を構築するに当たって,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも,その判断により行うことができるものというべきである」として、「普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではない」と解したわけですが、日本相撲協会の「年寄」は、公権力を行使するような存在ではありませんので、国民主権の原理とはとりあえず何の関係もありません。すると、年寄名跡の襲名を日本国籍保有者に限定する合理的な理由はなさそうに見えます。

 朝青龍の場合、「その引退に際し、力士名のまま五年間年寄としての資格を与えることができる」横綱という地位にあったので、上記細則第48条第3号の違法性を争いやすい立場にいるので、是非とも法廷闘争をしていただきたいものだと思います(他の外国人横綱・大関は、早々に日本人女性を妻としており、引退前に帰化することでこの規定をクリアするつもりでいそうなので、堂々とモンゴル人を妻とした朝青龍には大いに期待しています。そのあたりが、協会から嫌われた理由なのかもしれませんが。)。

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05/02/2010

「他人に暴行を加えた」という理由で行う懲戒解雇の相当性

 大阪地裁昭和49年5月28日労働判例205号35頁は、次のように判示しています。

右の申請人の暴行に至る動機、態様、労務委員会当時における会社側の結果の認識および前認定の申請人の酩酊の状況等から考えると、申請人の所為は、会社創立記念日の祝宴における所為としては全く相応しくない非常な行為であるとの非難を免れないが、しかし酒に酔ったうえでの行為であり、意図的に暴行を加えようとしたものとは認めがたく、かつその傷害の結果も偶発的なものと認められるから、申請人に対し、会社就業規則第七四条二号にいう「他人に暴行を加えた」という理由で懲戒解雇に至ることは、その処分に至る事実の評価が苛酷に過ぎ、その情状の判定、処分の量定等の判断を誤ったものというべきであり、結局その処分が客観的妥当性を欠くが故に、就業規則適用の誤りとして、懲戒解雇は無効と解するのが相当である。

 まあ、脚本家だの漫画家だのという通常であれば多様な人格の存在を肯定しそうな人たちが特定の他人に対してやたら特定の品位だの品格だのを求めてそれを欠くことを理由にその他人が解雇され又は自主退職に追い込まれるべきことを叫ぶ組織においてその特定の他人が起こした不祥事であるが故にこれ幸いと「懲戒解雇か、自主退職か」を迫られたことは想像に難くない気はしますが(以前にも、格闘技を真剣に行うには十分でない健康状態において、チャリティということで請われてさほど真剣でないサッカーゲームに参加しただけで、長期間の休職処分が科せられた前科がありますし。まあ、チャリティで子どもたちとサッカーに興じられるくらいなら、トッププロとして真剣勝負をすることができたはずだとその競技団体が断言できてしまうほど、その格闘技がお気楽なものだというのなら、そのような処分が下されるのもわからなく有りませんが。)、文科省傘下の財団法人がそんなことでよいのかという気がしなくはありません。

 少なくとも、その脚本家や漫画家は、自らが委員を務める組織に属する特定の労働者に対し、解雇権を振りかざして執拗に特定の「品位」を押しつけようとしたことによって、不要なストレスをその労働者に与え続けたことを反省し、二度とそのようなある種のパワハラをしないようにして貰いたいものです。単独でではないにせよ、解雇権を行使できる立場の人が、特定の労働者との関係で「天敵」と呼ばれることの異常さに気付いていただきたいものです。

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03/02/2010

労働者の年齢層を入れ替えるための解雇

 一部の新自由主義者系のブログのコメント欄に生息している人々の中には、解雇規制が撤廃されれば、中高年層が解雇されて、就職氷河期層がこれに置き換わることができると信じてやまないようです。

 しかし、人件費削減のために労働者を「置き換える」ための解雇というのは、米国でも、労働組合が組織されている企業では認められていなかったりします。多くの労働協約において、"Last in, first out."の原則が採用されているし、「仕事量が週32時間未満に減り、その状態が4週間以上続くとき、はじめて経営は解雇できる」ことが労働協約によって労使の合意事項となっている場合が多いとのことですし(だから、リストラした後、残った従業員にさらなるサービス残業を強いるなどという日本的運用をしたら、弁護士が労働者の側ににこにこしながらすり寄ってきそうですし、中高年層を大量解雇した後でより若い労働者を大量に雇用した場合も弁護士が労働者の側ににこにこしながらすり寄ってきそうです。)。そもそも年齢を理由に解雇したら、雇用における年齢差別法に抵触しそうです。

 米国法においても、解雇規制に関する制定法や判例法理はそれなりにあり(しかも州ごとに違う。)、かつ、判例法理については、日本の解雇権濫用法理と同等かそれ以上にその適否の境界は曖昧なのですが、日米で1つ大きな違いは、米国では「違法な解雇」をしてしまった場合、企業は巨額の賠償金(平均で約6000万円)の支払いを余儀なくされる点です。ですから、多くの米国企業は、経営不振等により事業を縮小する必要がある場合には、希望退職を募ったり、先任原則に則ったレイオフを行っているわけです。

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どこかに就職しなければならないという考え方は古くはない

 堀江貴文氏が次のように述べています。

そもそもどこかの会社に就職せねばならないという考え方そのものがナンセンスだし、せいぜい100年も歴史がない考え方なんだ。この時代自分で事業を興すのが一番安全で確実だ。君が乗っているタイタニック号は今の時代だとかなりの確率で氷山にぶつかって半分が溺死する。でも数人しかのれない君がこいでいるボートなら、タイタニック号のように快適な客室はないかもしれないが、氷山にはぶつかりにくい。自分で制御できるからだ。そして常に回りに目を配っているかだら。

 とりあえずどこかに就職しなければならないという考え方は、少なくとも農地を離れた都市住民が存在するようになってからは存在している考え方であって、その歴史は100年なんてものではききません。元手も経験・知識もない中でいきなり事業を興すというのは、成功の確率が更に低いからです。

 そして、他人に雇われるという生き方が市民権を得るということは、資本主義が発達する上で必然的な要素です。なぜなら多くの事業において、相当数の人数が継続的にこれに従事するということが必要不可欠だからです。他人に雇われて生きるという選択をする人々が相当数いないと、せっかく事業を興しても、事業主が自分自身でこなせる範囲内でしか事業規模を拡大できないということになるからです。

 だからこそ、資本主義を健全に発展させるためには、他人に雇われるという生き方をすることが特別不利に働かないような仕組みづくりをしていくことが必要となります。自分で事業を興さなければろくな生活ができないという社会制度の元では、質の高い人材が人に雇われるという生き方を選択しなくなり、質の高い従業員を大量に必要とする高度に組織化された事業が成立しなくなってしまうからです。

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30/01/2010

公共心のあるテレビ局の人が金輪際使うべきでない人

 城繁幸さんが、OECDの雇用統計について、次のように述べています。

だが、この「雇用保護の厳格性」(Strictness of employment protection)を文字通りに 受け取ってはならない。
以前も述べたとおり、この数値は以下の3つの指標を総合したものだ。
1. 手続きの不便さ
2. 会社都合解雇の場合の告知期間と補償額
3. 解雇の難しさ

 OECDによれば、この指標は、

  1. Individual dismissal of workers with regular contracts
  2. Additional costs for collective dismissals
  3. Regulation of temporary contracts

の3つのサブ指標を総合したものとされています。あれ、既に城さんの解説は、OECDのものと異なっているようです。

 なお、「Individual dismissal of workers with regular contracts」に関して雇用保護が緩やかな順に並べると、

United States0.56
Canada 1.17
United Kingdom 1.17
Switzerland 1.19
Australia 1.37
Denmark 1.53
New Zealand 1.54
Ireland 1.67
Italy 1.69
Hungary 1.82
Belgium 1.94
Poland 2.01
Japan 2.05
Iceland 2.12
Austria 2.19
Norway 2.20
Mexico 2.25
Greece 2.28
Korea 2.29
Finland 2.38
Spain 2.38
Slovak Republic 2.45
Turkey 2.48
France 2.60
Luxembourg 2.68
Sweden 2.72
Netherlands 2.73
Germany 2.85
Czech Republic 3.00
Portugal 3.51

 OECDの統計を見る限り、日本は正規雇用労働者の保護も、世界水準で見るとさほど手厚くないようです。

 さらに、OECDの報告書を見ていくと、「Individual dismissal of workers with regular contracts」はさらに、

  1. procedural inconveniences that employers face when starting the dismissal process, such as notification and consultation requirements
  2. notice periods and severance pay, which typically vary by tenure of the employee
  3. difficulty of dismissal, as determined by the circumstances in which it is possible to dismiss workers, as well as the repercussions for the employer if a dismissal is found to be unfair (such as compensation and reinstatement).

に分類されるとされています(6頁)。城さんは、「Individual dismissal of workers with regular contracts」を構成する要素のことを、「Strictness of employment protection」を構成する要素と勘違いされたのかもしれません。

 ただ、城さんは、 よって、議論すべきは3番となる。

ちなみに、この指標での日本の順位は、最新データである2008年度版ではOECD加盟30カ国中第一位。 栄えある「先進国で一番正社員が解雇しにくい国」となっている。
「日本の解雇規制は厳しくない」どころの話ではないのだ。※

と述べており、

※リンク先の「Individual dismissal of workers with regular contracts」項参照のこと。
  生データについては同じリンク先にあるExcelシート参照。

と述べているのですが、「difficulty of dismissal」について、「日本の順位は、最新データである2008年度版ではOECD加盟30カ国中第一位。」とする情報は、「リンク先にあるExcelシート」には掲載されていないよう見えます。

 「OECD Indicators of Employment Protection」からリンクされているxlsファイルは2つ。うち、「Employment protection annual time series data 1985-2008」をみると、正規雇用労働者の解雇の難しさを示す指標として、「REGULAR3_v1」と「REGULAR3_v3」の2つを用意しており、それぞれ「Difficulty of dismissal - calculated as unweighted average of items REG5, REG6, REG7, REG8」、「Difficulty of dismissal - calculated as unweighted average of items REG5, REG6, REG7, REG8, REG9」と定義されています。

 REG5〜REG9については、

REG5Definition of justified or unfair dismissal
REG6Length of trial period
REG7Compensation following unfair dismissal
REG8Possibility of reinstatement following unfair dismissal
REG9Maximum time to make a claim of unfair dismissal

と説明されています。

 で、「REGULAR3_v1」については、

United States0.50
United Kingdom 1.25
Israel 1.25
Iceland 1.33
Switzerland 1.50
Denmark 1.50
Australia 1.75
Belgium 1.75
Poland 1.75
Canada 2.00
Ireland 2.00
South Africa 2.00
Spain 2.25
New Zealand 2.25
Turkey 2.25
Hungary 2.50
Czech Republic 2.75
Finland 2.75
Greece 2.75
Netherlands 2.75
Slovak Republic 2.75
France 2.75
France 3.00
Korea 3.00
Luxembourg 3.00
Germany 3.25
Italy 3.25
Japan 3.25
Brazil 3.25
Chile 3.25
Slovenia 3.50
Mexico 3.67
Austria 3.75
Norway 3.75
Estonia 3.75
Russian Federation 3.75
Portugal 3.75
Portugal 4.00
Sweden 4.00
India 4.25
Indonesia 4.25
China 4.75

ということなので、やや厳しめと言うことは言えそうですが、「日本の順位は、最新データである2008年度版ではOECD加盟30カ国中第一位。」ということはなさそうです。

 さらにいうと、「REG5:Definition of justified or unfair dismissal」についていえば、

Australia0
Belgium 0
Canada 0
Switzerland 0
Czech Republic 0
Denmark 0
United Kingdom 0
Hungary 0
Ireland 0
Italy 0
New Zealand 0
Poland 0
Slovak Republic 0
Turkey 0
United States 0
South Africa 0
Israel 0
Iceland 0
Greece 1
Austria 2
Spain 2
Japan 2
Korea 2
India 2
Luxembourg 2
Netherlands 3
Germany 4
Finland 4
France 4
Portugal 4
Sweden 4
China 4
Slovenia 4
Estonia 4
Russian Federation 4
France 4
Portugal 4
Norway 5
Mexico 6
Brazil 6
Indonesia 6
Chile 6

ということですから、どのような解雇を「不公正」なものとするかについての基準が、日本において特に厳しいと言うことはないように思えてなりません。

 城さんは、次のように述べています。

もしここを見ているテレビ局の人がいるなら、お願いしたいことがある。
あなた方に公共心があるのなら、もうこの男は金輪際使わないで欲しい。

 公共心のあるテレビ局の人が金輪際使うべきでないのはいったい誰なのでしょうか。

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28/01/2010

石川議員の供述内容を知りうる立場の「小沢氏側の関係者」?

 元の文章が消えているので、finalventさんのところから孫引き

  ⇒NHKニュース “銀行の融資 小沢氏に報告”
民主党の小沢幹事長の資金管理団体をめぐる事件で、逮捕された石川衆議院議員が大久保秘書も資金調達にかかわっていたことを認める供述をしていることが、小沢氏側の関係者への取材でわかりました。

 これをみて考えるべきことは、まずは、「小沢氏側の関係者って何?」ということであり、次に、石川議員の供述内容を知りうる立場の「小沢氏側の関係者」なんているのだろうか、ということです。

 これを見る限り、石川議員には接見禁止処分が下されているので、石川議員の口から取り調べに対する供述内容を知ることができるのは石川議員の弁護人に限られているし、すると、石川議員の弁護人って安田先生だから「小沢氏側の関係者」と表現するにあたらないことは明らかです。で、安田先生は、1月27日の時点で、このような書面を提出しているくらいなので、「小沢氏側の関係者」に対し「石川衆議院議員が大久保秘書も資金調達にかかわっていたことを認める供述をしている」云々と伝えることはなさそうな気がします。

 ということで、本当に「小沢氏側の関係者への取材」の結果しか論拠がないのだとすると、ずいぶんと薄弱な根拠で断定的な報道をするものだと驚かざるを得ないし、そもそも石川議員が取調べに対してどのような供述をしているのかを「小沢氏側の関係者」に聞きに行くものかいなということを疑問に思わざるを得ません。

 まさか、小沢氏への捜査を担当している検察官を「小沢氏側の関係者」と表現している、というオチではないですよね。

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27/01/2010

検察からのリークがあるかをもっともよく分かっている新聞社がこの点について沈黙していることについて

 朝日新聞の報道によれば、

 鳩山内閣は26日、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地取引事件をめぐり、「(報道機関への)情報漏洩(ろうえい)があったとは考えていない」「(検察当局が)捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことはない」とする答弁書を閣議決定した。鈴木宗男衆院議員の質問主意書に答えた。

とのことです。

 このことからは、逮捕された後の石川議員の言動に関する情報は、弁護人が述べたことが分かっているもの以外は、報道機関による想像の産物だということが言えそうです。報道機関も、上記閣議決定に対して異議を述べていないことからすると、これまで、「見てきたような嘘を付」いてきたことを自認しているとみて良いでしょう。

 以前私が担当していた事件でも、全国紙系の週刊誌が全くのでっち上げ証言をもとに特定の事業者を糾弾する記事を書いていたことがありますので、そういうことが全くあり得ないわけではありません。

 ただ、実際には検察官からリークを受けて記者が書いた記事を掲載した新聞社は、検察から報道機関への情報漏洩はなかったとする閣議決定の内容が事実と反していることを今明らかにしないと、その記事が検察からのリークに基づいて作成されたことが後に明らかになった場合、その新聞社は読者を平然と騙す会社であると認識されることは必定です。

 「赤信号、みんなで渡れば」的に気楽にお考えなのだとは思いますが、新聞社ギルド自体が崩壊しかねない昨今、新聞自体の信頼性を失わせる行動をとって大丈夫なのだろうかと人ごとながら思ってしまいます。

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26/01/2010

大学そのもののインフレ?

 上武大学の池田教授が次のように述べています。

企業の人事担当者もこうした実態を知っているので、大学の偏差値を信用しなくなった。特に偏差値の低い大学の扱いは専門学校以下で、大学を卒業してから(大学院ではなく)専門学校へ行く学生が増えている。講義の内容も専門学校化し、特定の資格を取るための学科が増えている。一部の難関校を除いて大学そのものがインフレになっており、今や専門学校より役に立たない一般教養を教える機関にすぎない。

 私のような法学系の人間には、池田教授のような経済学系の人の論理は理解できません。

 「偏差値の低い大学の扱いは専門学校以下」という扱いを企業の人事担当者がしているのであれば、企業の人事担当者は未だ「大学の偏差値を信用」しているように私には思えます。「講義の内容も専門学校化し、特定の資格を取るための学科が増えている」のであれば、既に「役に立たない一般教養を教える機関」ではないように思えます。

 「大学そのものがインフレになって」いるという言い回しに至っては何を言いたいかのか皆目見当がつきません。「インフレ」って価格高騰ってことではなかったのでしょうか。そうだとすると、「大学そのものがインフレになって」いるという言い回しは、「大学の価値がうなぎ登りに上がっている」ということを意味するように思われますが、それは全体の論旨には合致していないように見えます

 さらにいうと、私のアルバイト先(中央大学法学部)では大学中に専門学校に通うダブルスクール族はそこそこいるようですが、大学卒業してから専門学校に行く学生の話は今のところ聞いたことがありません。もちろん、中央大学法学部はそこそこ偏差値の高い大学なので、ここで兼任講師をしているだけでは「偏差値の低い大学」の学生がどうなっているのかわからないのですが。

 大学入試時に偏差値が低かった学生が、大学入学後も、論理的な思考が不得手な教員に教わっていたのでは、卒業後に専門学校に通わないとどうにも使えないということになる可能性はあるのですが、どうにも私には感覚的に理解できない世界です。

注:この点については、「学歴インフレ」という用法は一部でなされているようですが。でも、経済学者が用いるべき言葉ではないように思います。

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憲法の番人としての内閣法制局に代わるシステム

 提出された法案に憲法違反の疑いがある場合、主に判事や検事の出向組からなる内閣法制局に憲法判断をさせるのではなく、各会派が推薦する憲法学者からなる審議会に諮るようなシステムにした方がよいのではないかと思ったりします。

 その場合、結論が一つにまとまるとは限らないですが、両論併記されれば、それでもその法案を成立させるべきか否かを各議員が判断することができますし、合憲論が少数(例えば、N大学のM先生以外みんな意見説とか。)に留まりかつその論理に問題があるにもかかわらず議員の多数が当該法案の可決に踏み切った場合には、立法過程における過失を認定しやすくなりそうな気がします。

 その場合でも、条文間の整合性とか、条文の言い回しの統一だとか、議員さんの手に余る事項はたくさんありますから、内閣法制局が不要になるとは思いませんが。

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24/01/2010

ビデオ録画がなされている状況でもなお、被疑者は、殴打もなく、心理的な圧力もない状態で任意に自白するものだ

 産経新聞社は、民主党が「取り調べの全過程を録音・録画する刑事訴訟法改正案(可視化法案)を今国会に提出する準備に入った」ことについて、

民主党がこの時期に突如として今国会提出を持ち出したのは、東京地検特捜部の捜査を牽制(けんせい)し、圧力をかけるのが狙いだと受け止められる。しかし、問題の多い可視化法案を、こうした政治的な思惑で提出することは筋違いだ。

述べています。しかし、民主党は野党時代から議員立法により可視化法案を提出し、参議院で社民党らとともに多数派となった後は参議院ではこれを可決してきたわけですし、可視化法案を提出することについてはマニュフェストでも謳ってあります。可視化法案の提出を先送りすることは、可視化法案が成立していれば防げたはずの虚偽自白→冤罪を生み出すことに繋がりますから、一刻も早く提出するに越したことはないのであって、これを今通常国会で提出することを「東京地検特捜部の捜査を牽制(けんせい)し、圧力をかけるのが狙いだ」と捉えるのは、物の見方がゆがんでいる故なのではないかと危惧してしまいます。

 また、産経新聞社は、

 しかし、検察・警察の現場からは、「すべてにカメラが回っているとなるとプライバシーを含め容疑者の口は重くなり、真実の解明に大きな支障をきたす」という反対意見が大勢だ。冤罪を許してならないのはもちろんだが、未解決事件も増えることになっては治安が守れない。

とも述べています。しかし、いやしくも報道機関の一角を担う以上、検察・警察の現場からそのように言われたからといって、それを鵜呑みにするのはいかがなものかという気がします。報道機関ならば、「既に取調べが全面的にビデオ録画されているところでは、実際のところどうなっているのだろうか」と言うことに思い至り、調べてみるのが常道ではないかと思います。

 日弁連の調査団に対して、オーストラリアのニューサウスウェールズ州のニコライ・カウデリー検事総長は、

わが州での実務的な経験や、取調べがビデオ録画されている他の州等における実務的な経験では、ビデオ録画がなされている状況でもなお、警察は被疑者と適切な信頼関係を築くことが可能である。そして、被疑者はそれでも多くの事件において、殴打もなく、心理的な圧力もない状態で任意に自白するものだ

述べています

 産経新聞のことですから、産経新聞社を中心とすれば左の側に位置づけられる日弁連の報告など信用できないと仰るのかもしれません。それならば、産経新聞が独自取材によって、取り調べの全面録画義務づけが施行された国や地域において治安が悪化したか否かを取材したらよいことです。全国紙である以上、オーストラリアに特派員を派遣していないということはさすがにないでしょう。それをせずに、検察・警察の声を鵜呑みにして、検察・警察の実務運用の改革を押しつぶそうとする。それでは、ジャーナリスト失格との烙印を押されてもやむを得ないとさえ思ったりします。

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23/01/2010

報道機関に専門家のいる米国、専門家を排除する日本

 AFPBBの報道によれば、

米CNNテレビで医療ニュースを担当する人気記者で、現役の神経外科医でもあるサンジェイ・グプタ(Sanjay Gupta)氏が18日、ハイチ沖の米空母船内で、負傷した12歳の少女の脳外科手術を行った。

とのことです。

 ここで注目すべきは、CNNでは、現役の医師が医療ニュースを担当していることです。専門知識が必要な分野に関する報道は、その道の専門家が担当する。その当たり前のことを米国の一流の報道機関は当然のように行っているということです。

 翻って、日本はどうでしょう。司法関連のニュースを現役の弁護士である記者が担当している報道機関があるでしょうか。テレビ局や朝日・日経新聞の記者の給料は非常に高いので、現役の弁護士を記者として雇用することは容易なはずですが。法律の素人のみで裁判報道がなされる結果、検察のリークに簡単に踊らされてしまっているということはないでしょうか。

 私は以前、脱税の疑いをかけられた企業の代理人として、リークに基づく報道を行った新聞社を訴えたことがあります。そのとき驚いたのは、税務報道を担当するセクションに税理士・公認会計士がいないだけでなく、それが脱税にあたるのか否かを税理士・公認会計士に照会する体制すらなかったということです。その結果、従前セーフとされてきた処理を事前通達無しに突然アウトにしてしまう「特定の税務署職員の勇み足ケース」であっても、そのことに気がつかず、さもその企業が悪質な所得隠しを行ったというストーリーで記事を作り上げてしまうことになってしまうのです。

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20/01/2010

弁護士過疎解消のために大学等ができること

弁護士過疎問題が解消されない最大の要因は、もっぱら弁護士にのみ負担を押し付けることにより対処しようとしている点です。

その地域に弁護士が開業していることが必要であるとその自治体が考えているのであれば、高額の顧問料を継続的に支払い続けることを前提に法律事務所を誘致したって良いはずですが、そのようなことはなされていません。「公設」事務所に赴任した弁護士の売上が想定に満たなかった場合にこれを補填するのは、何故か弁護士会です。そこに弁護士がいることを望んでいる自治体は何もしてくれません。

あるいは、法科大学院だって、過疎地に赴任する弁護士を教授職に任命することにより、財政的な負担を分かち合うことができます(夏休み時期等に学生を研修させれば、教員としての実態を満たすことができます。)。また、サテライト授業を行うという名目で、大学の費用負担で過疎地赴任弁護士のためにIT設備の設置•提供を行なうことだってできます。)。それに、法科大学院が持っているリーガルクリニックが都心部にある必然性はないので、これを弁護士過疎地に置くことだってできます。

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19/01/2010

需要が増えていないのに、拡大期の企業以上に大量の新人を採用し教育せよと言われても。

 前回のエントリーについて、企業法務戦士さんから、「3000人」という数字を引き出したのは、……「(当時)弁護士の」中坊公平委員であるとのご批判をいただきました。

 ただ、当時財界人が「司法試験合格者数の増員幅は、既存の弁護士だけでOJTの場を提供できる範囲内の人数でよいですよ」と言っていた状況の中で中坊先生が「3000人」という数字を出したのであればともかく、当時の財界人は、根拠なく「司法試験合格者の数は多ければ多いほどよい」と無責任に曰っていたのであり、「3000人」という数字は妥協的なものに過ぎなかったというのが実態です(そのころのNBL等を読むと、いい加減な議論がなされていたことが分かります。)。

 それでも「3000人」という数字を出したのは弁護士の側なのだから、新人弁護士を教育する為のコストは専ら弁護士のみが負担せよと言われてしまうと、何だかなあと思ってしまいます。

 まあ、日弁連選挙で宇都宮先生が当選した場合には弁護士会として司法試験合格者数の大幅削減を要求することが予想されるわけですが、そのときに財界人が「『3000人』という数字は中坊先生が勝手にお出しになった数字ですから、我々はそれにこだわりません。1000人でも、2000人でも、既存の弁護士がOJTを施せる範囲内で結構です。」と口々に言ってくれて削減案に反対しないでいただけるのならそれでもよいのですが、おそらくそうはならないでしょうね。司法試験合格者数の大幅削減には反対した上で、では新規法曹資格取得者を雇ってくださいというと「何で俺たちが教育コストを払わなければいけないのだ」と怒り出すのでしょう。

 なお、企業法務戦士さんは、

だが、少なくとも傍で見ている限り、新規採用を中止ないし大幅縮小せざるを得ないような企業と同じくらい、今「弁護士の新規募集をしていない」法律事務所の経営が追いつめられているようには見えないのであって、法律事務所が「人を雇わない」のには、もっと違う理由があるんじゃないの?と思いたくなるような状況があるのも確かなのだ。

と仰っているのですが、過払金返還請求訴訟を除く新規係属訴訟件数が増えていない現在、客観的に言えば、大幅に人員を増やす環境にないことは明らかです。もちろん、弁護士が経済合理性を追求することは許されないとの立場に立てば、自宅を売り払い、家族を捨てて、ネットカフェで寝泊まりするようになってでも、既存の弁護士たちは、財界人が納得するだけの数の新人の育成にあたるべきだということになるのでしょうが、弁護士もまた普通のサービス業者であると位置づけようとした司法改革推進論はどこに行ってしまったのだろうという気になってしまいます。

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17/01/2010

後進育成の役割を既存の法律事務所にのみ押しつけるのなら、その上限人数について財界は口を挟まないで!

 「企業法務戦士の雑感」というブログにおいて、次のような発言がなされています。

なお、蛇足ではあるが、「修習直後に企業に入るのが有意義である」からといって、「既存の法律事務所(特に首都圏の法律事務所)が本来果たすべき後進育成の役割を放棄して、企業に対して安易に雇用の“受け皿”としての役割を求めること」が正当化されることにはならない*10。
この点については、先日のエントリーで述べたとおりだから、今ここであらためて繰り返すことはしないが、「法曹人口が過剰で既存の法律事務所では吸収しきれない」という認識をお持ちの業界の方が、もしこのブログを読まれているのであれば、ご自身の事務所の仕事量と人員のバランスや、運営経費(ご自身の報酬も含め)に過剰なところがないかを良く見直された上で、本当に「吸収しきれない」のかを、まず足元からご検討いただきたいものだと思う。

 そこまで仰るのであれば、司法試験の合格者数を今後どうするかについて、企業人は今後一切口を挟まないでいただきたいところです。

 現在の司法試験合格者数自体、企業が企業内弁護士を多数雇用することを前提としています。2009年2月9日段階で日本の弁護士の人数は26,976名、その後の新規登録者を含めても、3万人弱といったところでしょう。しかも、うち約1万人は登録5年以下であって、未だOJTを施す立場ではありません。そのような人数構成の団体に「年2千人、3千人の新人を受け入れてOJTを施す」なんてことができようはずがありません(まだ「売り手市場」といわれていた2009年新卒採用ですら、年間2000人以上の採用を計画していたのは、三井住友銀行(従業員数約2万2000人、みずほFG(従業員数約5万人)、トヨタ自動車(従業員数約7万3000人)のみです。2010年新卒採用については2000人以上の採用を予定している企業はありません。1位のみずほFGで1750人、2位の三菱重工(従業員約3万4000人)で1500人です。「日弁連」より大きな企業は数有れど、安定して2000人以上の新人を採用している企業など、日本にはありません。)。

 もちろん、「ご自身の事務所の仕事量と人員のバランスや、運営経費(ご自身の報酬も含め)に過剰なところがないかを良く見直された上で」と仰っていることからすると、「法律事務所なんて規模的には中小零細企業に過ぎないのだから、中小零細企業の人間としての『分』をわきまえた所得レベルを甘受すれば、もっともっと新人を受け入れられるはずだ」ということを仰りたいのだと思います。ただ、大企業系の方々は、企業のみが経済合理性に基づいて行動する存在であることを前提とし、それ以外の人々は企業のために自己犠牲を図って然るべきだと考えがちなのですが、自分の収入を減らし、例えば自分の子どもが高校・大学に進学することを断念させてまで、必要もない新人を雇いOJTを施してやろうと既存の弁護士どもは考えるべきといわれても、そうそうなんでも大企業の思い通りには行かないのではないかと思います。

 企業が新人弁護士を雇う気がないのであれば、既存の法曹三者が無理なく吸収できるのはせいぜい年間800〜1000人前後です(この数年、弁護士のみが、無理して吸収していました。)。すると、新司法試験合格者数を1000人前後に戻すのが合理的だということになります(「路頭に迷う弁護士が大量に現れるのを見て溜飲を下げたい」というのであれば、既存の法曹三者の吸収能力を無視して、司法試験合格者数を3千人だ、1万人だと闇雲に増やすのが合理的だということになろうかと思いますが、その場合、「もはや優秀な人材は法曹にはならない」社会となることを覚悟していただく必要があります。)。1000人前後であれば、法科大学院制度をやめて法科大学院につぎ込まれていた補助金を司法研修所に振り向けることによって、2年間・給費制の司法修習制度を復活させることが可能です。

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16/01/2010

The Spirit Level

Newsweek日本版の2010年1月20日号の19頁のウィリアム・アンダーヒルの「イギリス労働党の不都合な真実」という記事によれば、

保守党のデービッド・キャメロン党首は最近、2人のイギリス人学者が書いた『気力のレベル──なぜ平等社会の方が勝っているのか』に言及することが多い。不平等と社会悪の関連性を指摘した著書に触れることで、より平等な社会派より幸福だというメッセージを発信している。

とのことです。

 『気力のレベル──なぜ平等社会の方が勝っているのか』の原題は、「< a href = “http://www.equalitytrust.org.uk/resource/the-spirit-level”>The Spirit Level: Why More Equal Societies Almost Always Do Better」。著者は、Richard WilkinsonKate Pickett

 日本では、経済学者を中心に、格差を拡大することを希求する声が囂しい昨今ですが、サッチャー時代に広がった不平等のひずみをブレア時代になっても修正しきれなかった英国で、むしろ保守党が格差社会の是正を口にするというあたりがおもしろいところです。

 それこそ、谷垣さんも、次の総選挙で政権を奪回できると目されている英国保守党にあやかって、「The Spirit Level」路線を採用していった方が、古くさい復古的会見路線に進むよりも、よくよく政権奪取の可能性が高まるように思えます。

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