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03/08/2006

顧客によるハラスメントと企業の対応

 積水ハウス事件は、案の定ネット右翼さんたちを大いに刺激したらしく、ネット上では話題のようです。

 もっとも、この事件は、企業法務実務の観点からも目が離せない問題を提起しています。つまり、従業員が顧客から不当なハラスメントを受けた場合に企業としては如何に対処すべきかという問題がそこには横たわっているのです。

 目先の業績だけを考えれば、顧客からのハラスメントに対してはこれをじっと甘受することを従業員に求めるのが簡単です。しかし、顧客から一定の種類ないし程度のハラスメントを受けること(そして、そのことが顧客から受ける対価に含まれていること)が予定されている業務において従業員もそのことを承知した上でその業務に従事することを承諾した場合はともかくとして、通常は、顧客からのハラスメントが社会的な許容範囲を超えるものであった場合にそれを甘受することを強いることは許されないというべきでしょう(したがって、顧客からのハラスメントを甘受せず、当該顧客に対し裁判上または裁判外で対抗措置をとった従業員に対し、そのことを直接または間接の理由とする懲戒処分を下すことは、実際に営業収入の低下に繋がったとしても、許されないというべきでしょう。)。また、顧客から一定の種類ないし程度のハラスメントを受けることが予定されている業務に従業員がそのことを承知した上で従事することとなったとしても、それは受忍限度のレベルが高くなるだけの話であって、高くなった受忍限度のレベルを超えてハラスメントが行われた場合になおじっと我慢することを企業が従業員に求めることはやはり許されないというべきでしょう(例えば、幼稚園の保母さんは、児童からスカートめくりをされることは受忍すべきといえるかもしれませんが、その父兄からスカートめくりをされることまでは受忍すべきとはいえないでしょう。)。

 では、企業の業務に従事している際にその業務に関連して従業員が顧客からハラスメントを受けた場合に、従業員が当該顧客に対して法的な権利救済を受けることを支援する義務までも企業は負うのかというのは難しい問題です。企業の業務に関連して従業員がハラスメントを受けることになった以上、権利救済を受けるために必要な限度で当該従業員が休暇を取ることを認めたり、証人を含めた証拠の収集に企業が協力すべき義務を負うという議論はあり得ると思います。

 それを超えて、さらに弁護士費用を出してあげる義務まで認めるのは難しいかなと何となく思います。もっとも、優秀な従業員を確保しまたはつなぎ止めるために、一種の福利厚生として、弁護士費用の会社負担を含めた支援政策を採用するというのは十分ありだと思います。

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