印税の支払いと債権者取消権
【設例】
XはYを被告として損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴判決を得た(この判決は確定した。)。
Yは同種の損害賠償請求訴訟を抱えており、その大部分で敗訴していたが、Yの債権者らは、Yの個人資産を把握していなかったため、Yに対する強制執行は功を奏さなかった。
その後、Yは、Zから依頼を受けて書籍を執筆した。Zは、当該書籍の印税を、XらYの債権者らから差し押さえられる前に、Yに現金で支払った。その後、Yがその印税をどうしたかについてXらYの債権者は把握できていない。
Xは、Zに対し、ZのYに対する印税の支払いについて、債権者取消権を行使しうるか。
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Voici les sites qui parlent de: 印税の支払いと債権者取消権:
» Q:無資力者への弁済は詐害行為か? [Matimulog]
弁護士の小倉秀夫先生が面白い設例を出している。 印税の支払いと債権者取消権 [Lire la suite]
う~ん。まずは固い頭モードでいくと,詐害行為取消というのは,債務者からの財産流出行為を巻き戻すものだから,「YのZへの支払」(債務者による一部の債権者への偏頗弁済)であればともかく,Zの債務者Yへの支払(とりもなおさず,債務者Yの手元の財産を増加させる行為)を取り消すというのは,詐害行為取消の対象外と思えます。
しかし,Yが弁済を受けてしまうということは「金銭債権」が消費されやすい金銭に姿を変えるということであって,例の不動産の時価売却が詐害行為になる(消費されやすい金銭に姿を変えるから)という論理を使って,債権者を害する行為であることを認められないだろうかということを,おそるおそる言ってみたりする。
もし,この考え方が使えるとして,Zの主観的要件はどの程度のものであることを要するか?Yが沢山の敗訴判決を受けていることについて悪意であれば足りるのか?
Rédigé par: 回想 | 21/09/2006 13:47