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02/09/2006

「日本は左に偏りすぎ」てきたのか

 ネット上では、「日本は今まで左に偏りすぎた」という意見をちらほらと見かけるのですが、少なくとも片山内閣を除けば保守政権がずっと続いている(細川、羽田両氏とももともと保守の人だし、村山政権は実質自民党が牛耳っていたわけだし)戦後の日本について「日本は今まで左に偏りすぎた」と考えている人々は、右とか左とかの判断基準をどこに置いているのでしょう。

 経済政策についていえば、日本はアメリカほどではないにせよ、比較的「小さな政府」ですし、主要政党はさらなる小さな政府を目指すことを公約しているわけですから、むしろ「右」が強いということができます。実際、日本社会は、経済的な格差の比較的大きな社会であり、かつ、貧困層で育った若者に極めて冷淡な政策(だいたい国公立大学の授業料なんて実情を欧州人に説明したら呆れられること必定です。)を継続しています。また、労働者保護法制にしても、日本は他の先進国と比べてかなり見劣りがする(特に、非正規雇用に対する扱いはかなり酷いですね。)し、実際労働者がストライキを起こすことについて国民がこれだけ冷淡な社会というのも珍しい(フランスほど寛容な社会も珍しいですが。)のであって、このような社会を「左に偏りすぎ」というのはいかがなものかという気がします。

 人種・少数民族政策という点についていうと、国籍の取得に関して血統主義を採用しており、また、「差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する」とする国際人権規約B規約第20条第2項やら人種差別撤廃条約4条を留保してしまったりしているし、いまだに人種差別撤廃条約に対応した国内法の整備を行っていないわけですから、このような社会を「左に偏りすぎ」というのはいかがなものかという気がします。

 特定の宗教上の理念ないし倫理の国政への反映という点からみると、戦後の日本は比較的これを回避する方向にあったのに対し、近時は特定の宗教上の理念ないし倫理の国政への反映を声高に主張する勢力が力をつけてきたという感じはします。ただ、特定の宗教(とりわけその国で最も支配的な宗教)上の理念ないし倫理の国政への反映させよという政治勢力のことは、一般には宗教右派ないし極右にカテゴライズされますので、そのような人たちが支配的でなかったこれまでの日本社会を「左に偏りすぎ」というのはいかがなものかという気がします。

 歴史教育という点から見ると、日本の検定済み教科書およびセンター試験(共通一次を含む)の歴史の試験問題や都立高校の入試問題を見る限り、とりわけ「日本が全て悪い」的な教育が制度として行われてきたことを示すものはありません。もちろん、日韓併合や日中戦争、第二次世界大戦中の日本についてはこれをある程度ネガティブに捉えることが制度として予定されているわけですが、国際社会の中でネガティブに捉えられている自国の歴史上の汚点をなかったことにしてみたり、それをネガティブに捉えることが間違っていると強弁してみたりすることこそがむしろ右派の所業として考えられているのであって(ドイツにおけるガス室なかった派の扱いやフランスにおけるアルジェリアへの植民地支配は悪くなかった派への扱い等を参照。)、そういうことをせず、悪かったことは素直に悪かったと自省をする見解が支配的であったことをもって日本社会を「左に偏りすぎ」というのはいかがなものかという気がします。

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Commentaires

 少なくとも同一エントリ内では、論理矛盾や論旨混乱は避けた方がいいような気がします。所論は理由が分からないと言われないためにも。

実際粘着ですし。粘着でなければ、単なる揚げ足取りですな

粘着クン乙。
小倉先生の意見が気に入らないなら、もう少しまともな反論をしようね?

 匿名へのレッテル張り攻撃の次は、思想の左右でのラベリング攻撃ですか?
 そういう肩書きやレッテルでの論評は説得力を持たないですよ。個々人は一人一人価値や文化も違いますし、先生が受験時代に勉強したはずの「個人の尊厳」(憲法13条)を軽視した意見だからです。

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