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novembre 2006

29/11/2006

一人の少女を不幸から救い出す手助けができるのであれば、過去の言動との整合性などどうでもよいではないか

 音羽さんの件でもそうだし、松永さんの件でもそうなのですが、匿名の陰に隠れないと言いたいことも言えない人たちは、どうも他人の過去にこだわりすぎなのではないかと思えてなりません。「誰が言ったかは重要ではない。内容が重要なのだ」というのならば、それを語った人の過去の発言やら過去の行動などというものを重視するのはおかしいと言うことになります。さらにいうならば、その人が同時並行的に別の場所で語っていることすらその発言を評価する上での要素に加えることはおかしいとすら言えます。

 私たちは、人間らしく生きていこうとすれば、言動の一貫性にそれほど拘ってなどいられません。私たちは、誤りも犯すし、成長もする。抽象的な理念を犠牲にしても実現を目指さなければならない現実だってある。現実社会の中で、現実社会をよりよくしていくために具体的に活動しようと思えば、君子豹変しなければならないのです。

 翻って、ネット上で他人の悪口や揚げ足取りに終始している役立たずさんたちの目から見れば、そりゃ、「ツッコミどころ満載」と見えるかも知れないし、どんな些細なものであれ過去の言動等との矛盾を突きつければ「論破」だというルールの下では「論破」が可能かも知れません。が、彼らがいくら「論破」「論破」と言ってみても言われた方に「論破された」感がないのは、彼らが重視しているほどには私たちは「言動の一貫性」を重視していない、といいますか、そんなことよりも大切なものがあることを知っているからなのではないかとも思ったりします。

28/11/2006

音羽さん、おめでとう

 遅ればせながら、
音羽さん、オーマイニュースの市民記者賞受賞、おめでとう!

 音羽さんの受賞に対してあれこれ文句を付けている人々もいるようですが、コメント欄や2ちゃんねるでの悪口雑言にもめげることなく、信を貫き通したのだから、市民記者として高く評価されて当然です。さすがに、鳥越さんは見るべきところを見ていたというべきでしょう。

 実際、音羽さんの受賞記事と、音羽さんに文句を付けているコメントや外部ブログのエントリー等をプリントアウトして普通の人に見せたら、音羽さんの記事の方を真っ当だという人の方が圧倒的に多いのではないかと思うのです。「匿名でなければ語れない」ような悪意むき出しのコメントなんて、悪意を共有している人以外には醜悪にしか映らないですから、「そんなくだらないコメントのお相手をいちいちしないこと」についてはマイナスに評価されることってそうそうないのです。

高い給料をもらいながら政治活動してよくない?

 先日の朝まで生テレビでもそうでしたが、日教組が反教育基本法改正運動に対して約3億円もの資金を投入したり、国会や議員会館の前で抗議活動をしていることを批判する人が少なくありません。

 例えば、中川自民党政調会長は「高い給料をもらいながら政治活動していいのか」と批判したとのことです。いつから自民党は、高い給料をもらっている人による政治活動を問題視するような政党になったのでしょうか。是非とも、文科省(特に文化庁)から天下りして高い給料をもらいながら会長やら理事長を勤めている公益法人がロビー活動その他の政治活動をしに議員会館や自分党本部にやってきたときにも同じ台詞を言って頂きたいものです。なお、1日約11時間の労働で、平成17年4月1日現在の小中学校教員の月額平均給料が約40万円(43.5歳)ですから、有給休暇を使って反対の意思を表明することをとやかく言われるほどの高給取りではありません。

 また、朝まで生テレビでは、いじめが問題となっているときに教育基本法改正反対運動に時間を費やしていることの是非が問題とされました。もちろん、政府も与党も野党も日教組以外の教員組合もいじめ問題の解決を最優先としているときに一人日教組だけがいじめ問題を無視して教育基本法の問題ばかりを取り上げているのだとすれば日教組が責められても仕方がありません。しかし、実際には、政府・与党が、いじめ問題の解決をそっちのけにして、教育基本法の改正に血道を上げている以上、この教育基本法の改正に反対する人々としては、今反対の声を上げることにある程度の力を注ぐというのはある意味当然のことで、こんなことが日教組に対する批判の理由にあがること自体が不思議です。 

27/11/2006

「スルー力」を被害者に要求することの残酷さ

 匿名の卑怯者さんたちの執拗な攻撃を受けている側に「スルー力」を求める人々って、結局残酷ですね。被害者からの相談を実際に受ける立場の人間からすると、とても血の通った人間の言葉とも思えなかったりします。

 といいますか、そんなことが罷り通っているのは、さすがに我が国ではネット関連でしかありません。もちろん、特に保守を通り越して反動になってしまっている方々の中には、学校でのいじめ問題に関していじめられっ子に耐えることを求める向きも無いわけではないのですが、そういう方々というのは、いじめ問題を議論している最中にひたすら「日教組が悪い」と言い続ける方々の次くらいに怪訝そうな目で見られてしまうのが関の山ですし、学校の運営者が「被害者がスルーすればいい話だから、学校としてはいじめの事実を知っても何らの対処をする気もない」なんてことを言ってしまえば大問題になるし、「いじめにあった生徒に向けられた大量の攻撃的な言葉の中には単なる誹謗中傷や人格攻撃や脅迫的な文言が混じっていたかもしれないけれども、中には真摯な忠告も混じっていたはずだから、そういうのだけを選んで誠実に対応すればいじめは収まったはずである。だから、いじめられる奴が悪い」などととしたり顔で述べる人がいれば周囲の人は可哀相な人を見る目でその人を見るのではないかと思われます。

 ところが、ネット上での誹謗中傷やサイバーストーキング問題になると、とたんに、被害者に対して「スルー力が足りない」という訳のわからない被害者攻撃のオンパレードです。加野瀬さんはネット上で攻撃される側の問題を指摘しているようですが、攻撃される側に問題があれば執拗な攻撃を加えても構わないという「私的制裁肯定論」を認めてしまうと、いじめっ子たちはいじめられっ子の非をあれこれあげつらって自分たちのいじめ行為を得意げに正当化し始めることでしょう。ネット上では「私的制裁」を肯定しつつ、学校での「私的制裁」を否定して見せたところで、そんなものは子供たちへの説得力に欠けることは明らかです。

 ネット上での誹謗中傷問題等で被害者側を非難する方々は、その論理が学校でのいじめ問題でいじめる側の自己弁護に使われることを考えて頂きたいところです。  

25/11/2006

2種類の強さ

 記事を投稿した市民記者の揚げ足を取ったり、人格攻撃をしたり、イデオロギー的にレッテル貼りをしたりするだけのオピニオン会員というのは、オーマイニュースのような市民ジャーナリズムにとっては、マイナス要素の大きな存在です。なぜならば、オピニオン会員による揚げ足取りや人格攻撃、レッテル貼り等に市民記者が嫌気がさして新規の記事の投稿を躊躇するようになると、市民ジャーナリズムは成立しなくなるからです。

 もちろん、数少ない新規記事に対して多数のオピニオン会員が従来にもまして執拗に揚げ足を取ったり、人格攻撃をしたり、レッテル貼りを繰り返したりするようになれば、アクセス数は従前の水準を維持できるかも知れませんし、ひょっとしたらアクセス数が向上するかも知れません。しかし、そういう陰湿な言論の場にまともな企業は広告を出そうとは思わないでしょうから、広告収入を基軸とするオーマイニュースとしてはそれは選択しにくいように思います(オーマイニュースは、2ちゃんねるのようにアダルト系の企業からの広告を取ってくるというわけにもいかないのでしょうし。)。

 したがって、オーマイニュースとしては、執拗かつ陰湿な攻撃に対して毅然としていられる強さを持てない市民記者を切り捨てるか、正々堂々と批判する強さを持てないオピニオン会員を切り捨てるかを選択せざるを得ない状況にあることがわかった段階(まあ、やる前から予想はできていたのですが。)で、合理的な選択を行ったということができるでしょう。佐々木さんは、市民会員に執拗かつ陰湿な攻撃に対して毅然としていられる強さを求めておられますが、むしろオピニオン会員に正々堂々と批判をする強さを持つことを求める方がハードルが低いのではないか(したがって、そのような強さを持たないオピニオン会員にご退場頂いても、いずれそのような強さを持つオピニオン会員が新たに現れてその穴を埋めることが期待できるのではないか)と思うのです。

 オーマイニュースの記事や佐々木さんの記事を読んでも、市民記者の多くは、自分の記事が批判されること自体を許せないと言っているわけではないように見えます。問題は、他人の意見を批判する際に一般に求められる礼節が守られていないことに市民記者の多くが耐えられないことにあるように見えます。そして、それは仕方がないことだと思うのです。卑劣かつ執拗な誹謗中傷に耐えて新規に記事を投稿してくれる優秀な人材を集めてそしてつなぎ止められるほどの原稿料だって支払っていないのですから。

 ウェブ2.0というのが、無責任な誹謗中傷にひたすら耐えてせっせとコンテンツを作成しアップロードする利他的な人々を大量に用意しなければ成立しないものだとしたら、おそらくは実現しないかまたは程なくして終焉を迎えてしまうのではないかと思えてなりません。

【追記】
 essaさんのご意見は抽象的にはわからなくはないのですが、自分たちの思想傾向に合致しない記事ないし合致しない人の書いた記事に対して執拗に足取りや人格攻撃、レッテル貼り等を繰り返してそのような記事を投稿しにくいような雰囲気をオーマイニュースの中に醸成しようとし、そのための必須要素としてオピニオン会員の匿名性の保障を求めていた(一部の)オピニオン会員と、そのようなオピニオン会員が放任されている場所では新規に記事を投稿する気になれないとしてそのような悪質なオピニオン会員への対処を求めていた(一部の)市民記者との間の間で事後的な調整をする余地があったのかという疑問が多分にあります。
 もちろん、市民記者に強くなれと要求するのは簡単ですが、それで終わらしていては、強くなれない市民記者は去っていってしまうだけのことで、オーマイニュースは、一部のオピニオン会員に牛耳られた、死んだメディアになってしまう虞が多分にあります。実際、オーマイニュース編集部が今回とった措置に反対する方々がオーマイニュースの市民記者に突きつける要求は、少なくとも一部のオピニオン会員のお眼鏡には適わない記事を投稿したいと考える市民記者にとっては、相当にハードルの高いものであり、それゆえ、そのような要求を編集部から突きつけられたら、市民記者がほとんど残らない状態になる虞が相当あったのではないかと思うのです。
 私は、オーマイニュース編集部は、真剣に妥協策を模索し、真剣にアイディアを求めたのだとは思うのですが、結果的には、双方とも妥協可能な妥協策が提案されなかったので、対編集部匿名性に拘泥するオピニオン会員の切り捨てという措置を講ずることにしたのではないかと想像しています。「良いアイディアが寄せられたらそれを採用する」程度のポジションで広く意見を求めることというのは十分ありだとは思うのです。

匿名による虚偽の「内部告発」に「言論で対抗する」ことの困難性

 言論には言論で対抗するべきといういわゆる対抗言論の法理というのは、いわゆるニフティ訴訟の前後には一時盛り上がりました。しかし、ネット上での名誉毀損に対しては対抗言論で対応すべきであって訴訟等で対処するのは間違っているとする考え方は下火になっています。実際、我が国では、企業等の不祥事についての内部告発方法としての、「ネットへの匿名での企業についてのネガティブ情報の流布」を法的な保護に値するものとしては認めませんでした(cf.公益通報者保護法)。

 実際、「言論には言論で対抗」できる領域というのはせいぜい「オピニオン」に関する部分に限られるのであって、「内部告発」されるべきものとして予定されている「事実」の存否については、その「事実」が存在すると主張する側から情報源を含む証拠が提示されないネット上の言論に言論で対抗することは大抵の場合困難です(例えば、「私は、N大学の教員ですが、同僚のM教授は、こういったら何ですが頭のできが良くない子供をお持ちの地元の弁護士にこっそり働きかけて、N大学法科大学院に裏口入学させてあげるといって、1人あたり1000万円ものお金をもらっています。しかも、裏口入学させるなんて言うのは全くの嘘っぱちで、1000万円もらえるだけもらってあとは知らんぷりです。騙された弁護士も、『私は息子の裏口入学を画策しました』なんてとても恥ずかしくて言えないから泣き寝入りです。」なんてネット上で匿名で流布された場合には、M教授もN大学も、この種の「内部告発」の外形を有するネット上の匿名「言論」に「言論で対抗せよ」といわれたって、どうしようもありません。この種のネガティブ情報の流布に対抗するには、情報の発信源を特定して訴訟を提起するなどしたが、その者はしかるべき根拠を提示できなかったという事実をもってする以外にはないのが通常です。)。「ネットへの匿名での企業についてのネガティブ情報の流布」を法的な保護に値するものとしては認めるとすると、企業としては、「ネットへの匿名での企業についてのネガティブ情報の流布」に対しては、一種の天災として、自社にとって致命傷とならずに通り過ぎていくことをひたすら祈るより他なくなっていくことでしょう。したがって、内部告発者の保護制度を導入するにあたって、「ネットへの匿名での企業についてのネガティブ情報の流布」を法的な保護に値する内部告発手法として位置づけなかったのは当然のことだったのです。

 虚偽の「内部告発」が流布されても対抗手段が事実上存在しない環境のもとでは、虚偽の「内部告発」により社会的評価が低下した企業等に本来向かうべき人材なり顧客なりが当該企業を回避してしまうという意味で市場を歪めますし、これが政党や政治家に向けられたときは本来その政党や政治家に投票していたであろう有権者が当該政党や政治家への投票を回避してしまうという意味で民主主義を歪めることになります。したがって、企業や公人等は虚偽の「内部告発」等を甘受すべきと言う見解は、市場経済や民主主義が、一部の市民によるストレスの発散や、対抗勢力による陰謀工作のために歪められても構わないということを意味することにも繋がります。

18/11/2006

議論の主体

 参加者全員が「非核三原則を堅持する」ことを志向している場合、「日本の核保有を議論する」ことにはなりにくいので、政権与党の幹部において「日本の核保有を議論する」ということは、少なくともそのなかに「日本は核保有すべきである」という見解をもっていて、その見解を少なくともその議論の場で開陳するということを意味します。そして、「日本は核保有すべきである」という見解を採用する場合、「核の抑止力による国家防衛のために主権国家が個々的に核保有をすることは当然に許される」という前提に立つことになります。

 しかし、この前提に立った場合には、北朝鮮による核保有を批判できなくなります。北朝鮮も国連に加盟する主権国家であり、「核の抑止力による国家防衛のために個々的に核保有をすることは当然に許される」ことになってしまうからです(中川政調会長のように、「(日本の)憲法でも核保有は禁止されていない。核があることによって(他国に)攻められる可能性が低くなる。あるいは、やれば、やりかえす、という論理は当然あり得る」なんて言ってしまったら、おそらく北朝鮮の憲法でも核保有は禁止されていないわけですし。)。。しかも、米軍の核の傘に一応守られている日本よりは、米国大統領から「悪の枢軸」の一員として非難されているし、ブッシュ大統領は先制攻撃論を否定していないので、「核の抑止力による国家防衛」の必要性は北朝鮮の方が高いと見られるでしょう(中川政調会長は「どう見ても頭の回路が我々には理解できないような国が(核兵器を)持ったと発表した。これは何としても撲滅しないといけない」と言ってしまっていますが、ブッシュ大統領のことを「どう見ても頭の回路が我々には理解できない」と思っている人々は少なからずいるわけですし。)。

 したがって、北朝鮮に核保有を断念させようということで国際社会が団結して頑張ろうとしている矢先に、北朝鮮に核保有を断念させることについて最も重大な利害を有している日本の、政権与党の幹部が、「核の抑止力による国家防衛のために主権国家が個々的に核保有をすることは当然に許される」という前提にたった議論を行うというのは、いかにも間が抜けているわけです。

 しかも、議論したところで、日本は、NPT条約を脱退して核武装をする現実的な可能性はない(ウラン燃料等の日本への輸出禁止が実施されただけでも、日本経済はがたがたになります。)のだから、まさに議論するだけに終わることが目に見えています。

 そのような無意味な議論を行うために、北朝鮮による核保有にいささかでも正当性を与えてあげるというのはいかがなものかという、単純な話なのです。

 なお、JSFさんのブログで引用されている日本テレビのアンケート調査ですが、これは「あなたは、核について具体的な議論をすることについてどう考えますか?」という質問であって、「核について具体的な議論をする」主体を限定していません。私も、「日本は核武装をすべき」という持論をお持ちの国会議員が国会で首相や防衛庁長官に日本の核保有に関する質問をすることまでけしからんという気はないのですが、でも、安倍首相や中川政調会長はそういうお立場ではないのです。

 なお、こちらも参照。

16/11/2006

GMは32歳

 松坂大輔選手のポスティングに関するニュースを見ていて驚いたのは、落札金額ではなく、エプスタインGMの32歳という若さです。こういう若い人に、これだけの大金の動く、責任のある仕事を任せてしまう米国社会のすごさです。

 この記事なんかを見ていると、セオ・エプステインは28歳の若さでレッドソックスのGMに就任したとのことです。名門(エール大学)のロースクールを出ているとこういうチャンスにも恵まれるという社会では、なるほど学部を出てから短くない年月と安くない学費を費やしてまでロースクールに通うインセンティブが湧いてくるのだろうなあとの感慨に耽ってしまいます。

 さて、鳴り物入りで始まった日本の法科大学院の卒業生に対して、日本の企業社会は、こういう「超特急」にのる機会を与えてくれるのかと振り返ってみると、なかなかに一寸先は闇状態だなあ。

15/11/2006

情報ネットワーク法学会2006

 12月2日(土)に筑波大学で開催される予定の情報ネットワーク法学会で、「Anonymity Providerの法的責任」について研究発表をする予定です。

14/11/2006

クリリンのことかーっ!

 今日、お客さんから頂いた、栗を使った焼き菓子の商品名が、

栗凛

でした。

ハンブルグのAnonymity Provider

 Softicから送られてきた資料を見ていたら、無線LANルータにパスワードを設定せずに不特定人からのアクセスを許していた個人は身元不明の第三者が当該ルータを介して行った著作権侵害行為に関して刑事責任を負う旨の判決が今年の9月にハンブルグ地裁で下されていたとの記事が目に入りました。

 私はドイツ語が読めないので原典に当たれないのが残念ですが、Anonymity Providerの法的責任を探る上では重要な判決なのではないかという気してなりません。

Boys and Girls, be ambitious!

 一戸先生のブログのエントリーに関連して、授業の一環として学生にブログを開設させる場合、あるいは、学生からブログを開設したいのですがと相談されたときに、実名を用いることを勧めるか、実名を用いないことを勧めるかという問題があるのですが、私は、実名を用いることを勧めたいと思います。

 自分の知らない人に対して実名を晒すことはリスクが大きいと言われることがネット上では多いようです。しかし、自分の知らない人からも自分のことが知られているようにならないと大したことはできません。だから、社会に出て大きく羽ばたくためには、「自分の知らない人からも自分のことが知られている」ということを当然の前提として生きていくことを覚悟しなければいけません。私としては、社会に出て大きく羽ばたいてもらいたいし、少なくとも学生にはそういう人物になることを目指してもらいたい、そのためには、「自分の知らない人からも自分のことが知られている」という状態を避けてほしくないということが第1にあります。

 また、自分の発言に対する評価は自分自身に対する評価に繋がるのだという緊張感の中で表現活動を行ってもらいたい、ということが第2にあります。そういう緊張感の中で表現行為を行った方が、文章も思考も引き締まってくるものです。

 さらに、ブログを綴り続けたことによって得た肯定的な評価を自分のキャリアアップに活かしていってほしい、ということが第3にあります。折角優れたエントリーをいくつもアップロードしたとしても、それが現実社会での自分とひも付きにならなければ、自分のキャリアアップに活かされないし、それは非常にもったいないことです。

 

 いくら頑張っても、またいくら失敗しても、現実社会での自分の評価にはプラスにもマイナスにもならないという「匿名社会」というのは、現実社会で築きあげたものが未だ少なく、これから築き上げる余地が広大にある若者にとっては、有意義な環境ではありません。そんなものは、輝かしい未来がもはや望めない、鬱屈した人々のためのものでしかありません。

12/11/2006

議論すること自体の問題

 「議論すること自体を封鎖するのは言論弾圧だ」みたいな声が昨今右の方からわき上がっているようです。  

 確かに、原則としてはそうです。一般市民のレベルでは、名誉毀損や侮辱等にならない範囲内で何を議論してもよいでしょう。また、民主主義の発達した国々では、変わったことを仰る議員がいることはある程度織り込み済みですから、「仕方ないなあ」というくらいには思ってもらえなくもないのでしょう。

 ただし、政権政党の幹部がある提案を議論の土台に載せるということは、その国ではその提案は選択可能なものであると認識されているということのメッセージになりますから、そのメッセージがネガティブな影響を各方面に与えることが予想される場合には、「政権政党の幹部はその議論をすべきではない」ということになります。だから、米国の大統領やそのスタッフは黒人奴隷制度の復活制度の是非を議論するようなことはしませんし、ドイツの政権政党はユダヤ人をガス室送りすることの是非を議論するようなことはしません。政権政党の幹部がそのような議論をしたとしたら、おそらくブーイングの荒らしでしょうし、おそらく「議論すること自体を封鎖するのは言論弾圧だ」といってかばってくれる人はほとんど現れないでしょう。そういう意味で、政権政党の幹部等高い地位についた人々についていえば「議論すること自体がけしからん」という話題は確かにあるのです。

 「独自の核武装論」についていえば、政権政党の幹部がこれを議論するということは、国土防衛の手段として核兵器を独自に保有することは政策として選択可能であるとその国では認識されているとのメッセージを国内外に発することになりますが、そのことは、「国土防衛の手段として核兵器を独自に保有」しようとしている北朝鮮政府に対してそれは「選択が許されない政策」だとしてこれを止めさせようとしている国際社会を裏切るような話なので、非難囂々となることは仕方がないことです。

11/11/2006

声の大きな「悪」に寛大さを示し「人気者」でいたい人たち

 一般に、学校ではいじめる側の方がいじめられる側よりも声が大きいですから、「クラスで人気者」になりたい教師は、いじめに対して寛大な態度を示そう、あるいは、自分もいじめに荷担しようという欲求に駆り立てられるのでしょう。もちろん、それは教師の取るべき態度としては間違っているのであって、たとえクラス内でノイジーな生徒からブーイングを浴びようとも、いじめる側に対して毅然とした態度をとるべきです。

 それは、ネット上での誹謗中傷についても同様です。ネット上では匿名で執拗に個人攻撃している側の方が執拗に個人攻撃されている側よりも声が大きいですから、「ネットで人気者」になりたいインテリたちは、この巣の個人攻撃に対し寛大な態度を示そう、あるいは、自分も個人攻撃に荷担しようという欲求に駆り立てられる傾向があるように思います。もちろん、それは間違っているのであって、たとえネット上でのノイジーな人々からブーイングを浴びようと、このような執拗な個人攻撃に対しては毅然とした態度をとるべきなのです。

オーマイニュースの改革

 オーマイニュース日本版の編集部は、以前より批判のあったコメント欄の運用を変更することにしたようです。といっても、一般読者との関係では匿名性(ID制)を維持しつつ、編集部がID保有者の氏名等を把握した場合に限りコメント欄への投稿ができるということにしただけなのですが、これまでコメント欄への投稿は編集部に対しても匿名でなしえたことを良いことに、「匿名でなければ恥ずかしくて言えないような内容and/or文体」でコメントを投稿してきた一部のオピニオン会員等が大騒ぎをしているようです。

 「自分のネット上での発言に現実社会の自分が責任を負わなければならないとするならば何も発言できないが、自分のネット上での発言に現実社会の自分が責任を負わなくともよいということになれば自制心が保てなくなる人々」を「数を確保する」目的で取り入れるかどうかというのはこの種のサービスを運営する上では常に悩みの種なのですが、この種の人々に居着かれると、現実社会での常識をわきまえた人々が寄りつきにくくなるので、さっさとこの種の人々を排除するのが正解でしょう。

07/11/2006

一生懸命稼がないと

 ニュース報道によれば、ケリー上院議員の「一生懸命に勉強しなければ、イラクで身動きが取れなくなる」(注1)との発言が、「イラクにかり出されている米兵は無学だ」という意味に取られて、共和党から攻撃材料に使われているとのことです。

 しかし、考えてみれば、ケリー議員がそういう意味で発言したのではないことはわかりそうなものです。なぜなら、ケリー議員の「売り」の一つはベトナム戦争で従軍経験であり、他方、ブッシュ大統領の弱点の一つがベトナム戦争のときにテキサス州兵という安全なところに収まっていたことなのですから。まさか、「自分は一生懸命に勉強しなかったからベトナム戦争にかり出されたが、ブッシュ大統領は一生懸命に勉強したからベトナム戦争にはかり出されなかった」みたいになりかねない話をするとは思えません。

 実際、イラク行きを余儀なくされている若者の中には、一生懸命勉強したいけれども学資がないから、奨学金目当てで州兵に志願した人も多いわけで、イラク行きと学習意欲との間には特段の関連性はないように思います。

 「一生懸命に働いてたくさん稼がないと、君たちの息子が、イラクのような泥沼の戦地に送られ身動きがとれなくなる虞がある」という格差社会的な話ならば、そうはずれてはいないとは思うのですが。

注1

原文は、"You know, education, if you make the most of it, you study hard, you do your homework and you make an effort to be smart, you can do well. If you don't, you get stuck in Iraq."とのこと。

06/11/2006

VOX

 せっかくVoxのアカウントをとったので、音楽ネタ用のブログとして活用することにしました。一応、six apart社に確認したところ、ジャケットの画像データの権利処理はAmazonの方でちゃんとやってくれているはずだとのことでしたので、それなら音楽ネタ向きだと思いましたので。

 ということで、これからコンテンツを充実させていきますので、洋楽ファンの皆様はVoxの方のブログもたまに覗きに来て下さい。

04/11/2006

システムが悪用されていることを知ったときには

 公務員の病欠制度が悪用された事案がマスメディア等で話題になっています。

 公務員とてある程度長期の病欠をすることはありますし、その間も生活費やローンの支払い等がありますから、病欠期間中にも一定の給料を支払うという制度自体は、労働者保護という観点から望ましいものではあります。もちろん、この制度は、実際には仕事をしない人に給料を支払うという意味で公的資金の有効活用という意味では問題を内包しています(そういう問題点があることは承知しながら、労働者保護、ひいては有能な人材の確保という要請を優先するのが、この制度の趣旨です。)。

 しかし、そのような望ましい制度でも、悪用されるとそもそも内包している弊害が見過ごせなくなってしまいます。したがって、制度を運用する側としては、これが悪用されていないかを適宜チェックするとともに、悪用されていることを知ったときには悪用を防ぐような補助ルールを設けるなどの措置を早急に講ずることが必要となります。

 

 私は匿名性というのはインターネットというシステムの本質とは何の関係のないものだと思っていますが、仮に匿名性ということに大きな意味を見出す立場に立ったとしても、現在これが悪用され多大なる弊害をもたらしているのですから、この悪用を防ぐような措置を講ずることが必要となります。匿名性を悪用している人やその支持者たちからの猛抗議を怖れて悪用を防ぐ措置を講ずることを躊躇するのは間違っていると言わざるを得ません。

ポジティブ思考と実名・匿名問題

 ネット上での表現が自分のアイデンティティと結びついたときに自己の外部的評価が上昇することを期待するか、下落することを怖れるかというのは、多分に思考のポジティブ度が影響しているのでしょう。だから、ポジティブ思考する人が多い米国のブロガーは実名ブロガーが多く、ネガティブ思考する人が多い日本のブロガーは匿名ブロガーが多いってことなのではないかという気がします。

 もちろん、英語圏のブログを見ていても、意図的に特定の他人や人種・民族等を不穏当な表現で批判したりデマを流布したりする人々は匿名を用いている例が多いようですが、そういう表現は、さしものポジティブ思考な米国人ですら、自分のアイデンティティと結びついたときに自分の外部的評価が下落すると思うのでしょう。しかし、他者を貶めることを目的とした表現以外の表現活動についていえば、それが自分のアイデンティティと結びついたときに起こる自分の外部的評価の変動については総じて彼らは楽観的であるように見えます。

 日本では、「実名を晒すことは危険である」ということを口実に実名を出さない自分を正当化しようという向きが少なくないようですが、しかし、そういう人の発言内容から推測する限り、「自分の実名を不特定の人に晒すと物理的に攻撃を受ける危険がある」という感じはあまりしなかったりします(といいますか、自分の知らない人には自分の実名を知られない人生なんて、今の日本ではそもそも不可能なのですから。)。むしろ、「ネット上での表現が自分のアイデンティティと結びついたときには自己の外部的な評価が下落するだろう」ということを怯えているのだろうなあという感じがします。

 そして、発言内容は一見勇ましい右派の方がその怯えの傾向が強いというのはある意味面白い現象です。もちろん、「個としての自分」に自信が持てないからこそ「国家」なり「民族」なり「歴史と伝統」なりに自分を重ね合わせて誇りを維持しようという欲求を強く持つようになったと考えると、「個としての自分」に対する自己評価が低い彼らにとって、ネット上での表現が自分のアイデンティティと結びつくということは、到底耐えることのできない恐怖なのだろうなとは推測できるのですが、それにしても発言内容が勇ましかったり文体が居丈高だったりすればするほど、匿名の陰に隠れることでしかそれができない「個としての弱さ」が際だってしまうというのはお気の毒としかいいようがありません。

01/11/2006

理想と予想

 落合先生のブログのエントリーと、そのコメント欄における奥村先生のコメントより。

 現実に起こっていることを現行法に当てはめてこれを示す場合、私たち法律の専門家は、時と場所に応じて、2つの手法を使い分けています。

 あるときは「こう解釈されるべき」という理想を示し、またあるときは「こう解釈されるのではないか」という予想を示すのです。

 理想としての解釈論がポジティブで輝かしいものとなりやすいのに対し、予想としての解釈論がネガティブで陰鬱としたものとなりやすいのは仕方がないことですが、しかし、リスク回避の要請は大きいので、予想としての解釈論が重要なこともまた否定できない事実です。

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