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23/01/2007

ドメイン名執行の際の管轄裁判所(訂正)

 壇先生から反論を頂きました。

小倉先生の説をとると、登記・登録が対抗要件に過ぎないはずの登記された賃貸借や、特許の通常実施権、著作権などについては民事執行法167条2項の登記等を要するものとして扱われている実務をどう理解するのであろうか。

といわれてしまうと、著作権について強制執行をかけたことがないので不安になってしまいます。

 それに、せっかく法律実務家同士が議論をしているので、きちんと文献を引用しないのもどうかと思いましたので、民事執行法の注釈書をきちんと読んでみることとしました。

 すると、香川保一監修「注釈民事執行法7」44頁(三村量一執筆担当)には、民事執行法167条に関して、

本条2項は、法144条2項の規定する債権所在地について、その特則となるものである。したがって、権利の移転について登記等を要するその他の財産権であっても、法144条1項の例により、第一次的には、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄執行裁判所となり、債務者の普通裁判籍がないときにはじめて、差し押さえるべき財産権の所在地を管轄する地方裁判所として、登記等の地を管轄する地方裁判所が管轄執行裁判所となる。

とあります。

 また、東京地裁債権執行等手続研究会編著「債権執行の諸問題」5頁(小山田治郎執筆担当)には、

権利の移転について、登記・登録を要するその他の財産権に対する強制執行の管轄は、登記・登録の地であるとの規定(民執167条2項)されているが、民事執行法167条1項がその他の財産権に対する執行手続きには特別の定めがあるものの他債権執行の例によると規定していること、執行債務者の権利防御の便宜を図ると共に債務者の普通裁判籍所在地の近くに利害関係人が多いことについては、金銭の支払いを目的とする債権に対する執行と同様であること等から、民事執行法167条2項は、直接に管轄裁判所を定めたものではなく、第二次的管轄についての補充規定であって、差し押さえるべきその他の財産権の所在地のみなし規定であると解されている。

とあり、最高裁判所事務総局編「民事書記官実務の手引き(執行手続──債権編)」84頁が参照されています。

 したがって、ドメイン名が「権利の移転について登記等を要するもの」にあたるかどうかにかかわらず、債務者の住所地を管轄する地方裁判所が執行裁判所というのが正しいようです(前掲「債権執行の諸問題」が平成5年9月発行ですので、その後実務が変更していれば別ですが。)。蓋を開けてみれば、至極単純な話ですね。

 ということで、ドメイン名を差押える場合の執行裁判所を債務者の住所地を管轄する地方裁判所とすることを原則とする理由について、従前の説明を訂正させて頂きたく存じます。

追記

 壇先生から、

もっとも、私の心配する問題はその先である。つまり、その説で裁判所を説得できるかである。昔の民事執行法逐条解説(商事法務)では二次的管轄の規定とはしていない。裁判所の決定等は見たことがない。条文操作としてはちょっと無理がある。というわけで、私には、裁判所から難色を示されたときに、上記文献だけで裁判所を説得する自信はない。実際に受任しないが、もし差押えの申立をするとしたら裁判所が難色を示さないことを願うのみである。
との追記をいただきました。私は、東京地裁債権執行等手続研究会編著「債権執行の諸問題」と最高裁判所事務総局編「民事書記官実務の手引き(執行手続──債権編)」で示されている見解について裁判所が難色を示す可能性は、全くないとはいわないまでも、大きいとは思っていなかったりします。

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