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20/01/2007

「一部の人」物語

 Aさんは、生徒の自由を最大限尊重することを校是とする学校「甲」を、交通量の多い大通り沿いに設立しました。学校「甲」は、入学も自由、退学も自由。授業料も不要。運営費用は、企業から広告を集めることで賄うことにしました。

 学校「甲」では、生徒の自由が最大限尊重された結果、レベルの高い研究やクラブ活動をする生徒も出てきましたが、他方、生徒の言葉遣いが粗野になりがちになったり、社会常識を逸脱した非常識な発言も目指すようになりました。

 学校「甲」では、学校の前を通りかかる人に、教室の窓から、牛乳やらペンキやらをぶっかけて遊ぶ人が出てきました。しかし、生徒の自由を最大限尊重するという学校「甲」の校是のもと、先生たちもこれをたしなめませんでした。牛乳やらペンキやらをぶっかけられた近隣住民らがAさんに抗議しても、Aさんは「それは生徒たちが勝手にやったことだ。教員の人数も足りないので全ての窓をずっと監視しているわけにはいかないので生徒が窓から牛乳やらペンキやらをぶっかけることを止めさせることはできない」といって抗議を無視しました。「それならば、牛乳やらペンキやらをぶっかけた生徒に責任を取らせるから、牛乳やらペンキやらをぶっかけたのは誰かを教えてくれ」と近隣住民がAさんに求めると、「うちでは監視カメラをおいているわけではないから、誰が牛乳やらペンキやらをぶっかけたのか自分も把握していないので教えられない」といってAさんはこれを断りました。

 学校「甲」では学校の窓から通行人にめがけて牛乳やらペンキやらをぶっかけても何の責任も取らされないという評判は次第に広がり、ストレスをため込んだ生徒さんたちがいろんなところから学校「甲」に集まるようになりました。生徒さんたちの悪戯行動は次第にエスカレートしていき、とうとうボーガンで通行人を射るという事件が起こってしまいました。

 事ここに至ると警察も座視しているわけに行かなくなりました。そこで地元の警察署長BはAさんを呼び出し、学校「甲」の各窓に監視カメラを設置し、生徒が通行人に危害を加える事件が起こった場合はその生徒の名前を警察に教えるように求めました。この要求に応じないとAさん自身が逮捕されかねない雰囲気だったので、この要求には渋々応じました。この結果、窓からボーガンで通行人を射て遊んだ生徒さんについては逮捕者がでるようになりました。

 しかし、生徒から牛乳やらペンキやらをぶっかけられた近隣住民が「警察署長さんからの要請に応じて監視カメラを入れたのだから、牛乳やらペンキやらをぶっかけてきた時間と窓が特定されれば、牛乳等をぶっかけてきた生徒が誰なのかわかるはずだ」とAさんに詰め寄りましたが、Aさんはがんとして悪戯をした生徒さんの名前を教えませんでした。このようなAさんの姿勢がストレスをため込んだ生徒さんたちの評判を呼び、通行人にペンキやらをぶっかけて嫌がらせをしてストレスを発散させたい生徒さんたちが学校「甲」にどんどん集まるようになりました。

 もちろん、学校「甲」の生徒全員が通行人に牛乳やらペンキやらをぶっかけて遊んでいたわけではありません。自分はそういうことはしないが、他の生徒が通行人に牛乳やらペンキやらをぶっかけ、それで通行人が困る姿を見て楽しむ生徒さんもいましたし、そういうことには関心を持たず、レベルの高い研究やクラブ活動に明け暮れる生徒さんもいました。しかし、彼らにしても、他の生徒さんが牛乳やらペンキやらをぶっかけたりするのを抑止するような措置を講ずることをAさんに求めることはありませんでした。却って、牛乳等をぶっかけられる通行人にはこういう特徴がある云々といって、むしろ被害者のことを責め出す始末です。

 そうこうしている間に、学校「甲」の近隣住民の間での評判は地に落ち、学校「甲」の生徒だというだけで後ろ指指されるようになりました。学校「甲」に広告を出す企業も、風俗産業やらなんやらの怪しい企業ばかりになっていきました。「通行人に牛乳やらペンキやらをぶっかけて遊んでいるのは生徒の一部であって、レベルの高い研究やクラブ活動も行われている」と言ってみても、学校「甲」の生徒というだけで白眼視される状況は続きました。

 他方、ストレス発散のために通行人に牛乳やらペンキやらをぶっかけて遊ぶ楽しさを覚えてしまった一部生徒さんたちは、学校「甲」の校舎から牛乳やらペンキやらをぶっかけることに飽きたらず、よその建物に行って監視の不十分な窓を見つけるやそこから通行人に牛乳やらペンキやらをぶっかけるという遊びを繰り返しました。このことにより、学校「甲」の評判はなおいっそう落ちていきました。

 学校「甲」で、文科省検定教科書に囚われずレベルの高い世界史の議論を続けているCさんは、「なんだ僕たちまで白い目で見るのですか」と、町会長さんに尋ねました。町会長さんは言いました。「なんで君は、君の学校の生徒さんを真剣にたしなめないんだい。何で君は、Aさんに、学校「甲」の生徒さんによる悪戯を止めさせるように強く求めないんだい。何で君は、生徒の悪戯を放置し続ける学校「甲」に居続けるのだい。悪さをしているのはそりゃ『一部の人』だろうよ。でも、その『一部の人』の悪さを容認し、擁護している場に君はなおも居続けているんだろう。それで、白眼視するなっていうのは虫が良すぎるのではないかね。」

 (以上はフィクションであり現実の人物・団体とは全く関係がありません。)

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