ネット上での名誉毀損の慰謝料額の相場
和久一彦他「名誉毀損関係訴訟について──非マスメディア型事件を中心として──」判タ1223号49頁以下は、ネット上での名誉毀損事件についての名誉毀損の成立基準や慰謝料額の相場観を知る意味でも参考になります。
例えば、ある人材派遣会社にについて、ウェブサイト上で、「働く人間を食い物にして成長して来たような、そして今衰退の過程をたどる企業」等掲載し、また、同サイト上に設置された掲示板に「この会社はスタートから道徳的に問題のある設立をしていることは『はじめに』のコーナー記載の通りです」等の書き込みをした場合の慰謝料は300万円となっています。
また、自らのホームページに「のこぎりを突きつけられ、振り回されて殺されかけた」「無法者、悪党。犯罪者」などの書き込みがなされた場合の慰謝料は、実際に原告が会社の休憩室で被告に対しのこぎりを振り上げた事実がある、被告は刑事裁判で有罪となっている等の事情が斟酌された結果、20万円とされています。
また、原告が管理運営する電子掲示板上になされた自己の書き込みが削除されたことに立腹して、同掲示板上に原告を非難罵倒する書き込みを繰り返し、また別の電子掲示板において「氏ね」「くたばれ」「デブ」「○○(注:原告の氏名)が欲求不満である」旨の罵倒書込みを多数回繰り返した場合の慰謝料額は100万円とされています。
ネット上での誹謗中傷の場合、未だ信用度はマスメディアほどではないにしても、伝播力についてはマスメディアと引けをとらない場合も少なくないので、マスメディアに対する名誉毀損訴訟の場合の慰謝料相場ほどではないにせよ、それなりの慰謝料額が認められる可能性が高いということが言えそうです。
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