ドメイン名の差押え〜「ラ」か「リ」か
「ゴルフ会員権の差押えとドメイン名の差押え」に対して、壇先生より言及して頂きました。そこで、若干の補足をしたいと思います。
まず、
確かに、実体的権利と登録の相対効的な考えというのはそうだろうが、日本では多くの登録・登記が実体的な権利の効力発生要件ではない。問題は日本ではその立場を徹底すると不動産ですら本来的には(実際には明文があるので登記を要するのだが)執行に登録等を要しない物になりかねないことである。執行裁判所を説得できるのだろうか。むしろ、ICANNの統一ドメイン名紛争処理方針では登録と明記されているので、登録を要するというほうが素直だと思うが。
とのことです。ただ、ドメイン名の「登録」が の「登録」にあたるとすると、譲渡命令や売却命令に基づき買受人が代金を納付したときは裁判所書記官が職権で移転登録手続きを取ることになる(民事執行法167条5項にて準用する82条1項1号)のですが、それも何か違うかなという感じはします(「jp」ドメインの執行の場合、登録手続きは書記官が職権でやってくれるのですか?)。また、電話加入権やゴルフ会員権などが「権利の移転について登記等を要するもの」とされていない(これらの差押えの管轄裁判所は、債務者の住所地の地方裁判所であって、NTTやゴルフ倶楽部の所在地の地方裁判所ではない。)ですし、「権利の移転について登記等を要するもの」との文言を敢えて広く解する理由が裁判所にはないのではないか(債権者の住所地とも債務者の住所地とも隔離した場所を執行の管轄裁判所とすることは通常デメリットが大きいです。)と思います。特に最近話題になっている某サイトについていうと、損害賠償を命ずる判決が確定しているにもかかわらずこれに従う意思がないことが公然と表明されているわけですから、そのような者に対する強制執行の範囲をあえて抑え気味にする方向で法解釈を行う気に裁判所がなるのかなあという疑問を持ったりもします。
また、
第三債務者というからには、どのような権利かを明らかして差押債権目録に記載しなくては裁判所の受付ではねられる。
とのことですが、JPRSの「ドメイン名とは」によれば、
ドメイン名の登録者は、当該ドメイン名を所有するのではなく、一定期間使用する権利を持っているとする考え方が、一般的となっています。
とのことです。差押債権目録には、差押えの対象範囲がわかる程度にその法的な性質を書けばよいので、そこは難しくないように思います。ゴルフ会員権の差押えのときだって、会員のゴルフ倶楽部に対する具体的な権利の内容を差押債権目録にぐだぐだ書いたりしないしないわけですし。
さらに、
小倉先生は、レジストラをレジストラは「第三債務者又はこれに準ずる者」にあたるとされている。裁判所には「第三債務者又はこれに準ずるもの」は誰か、それはなぜかを説明しなくてはならない。
誰かという点ではレジストリか?レジストラか、ICANNか。ICANNの統一ドメイン名紛争処理方針を見る限りでは、レジストラの可能性が高いが、私には分からない。
とのことですが、確かにこの点は難しいですね。ドメイン名登録者の権利として一番重要なのが、自己が使用するサーバのIPアドレスを表象するものとして特定のドメイン名を独占的に使用する権利であることを考えると、ドメイン名データベースを管理しているレジストリの線も捨てがたいです。
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