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29/01/2007

インドの衝撃

 NHKの「インドの衝撃 第1回 わき上がる頭脳パワー」を見ていて、我が国の「愛国心」論議がなんて抽象的、観念的、道徳的な話に止まっているのだろうということを感じました。

 例えば、貧しい家庭の子供たちに非常に低廉な価格で数学等を教える(特に家庭が貧しくて特に優秀な若者30人に対しては、授業料を取らず、却って無償で寮まで提供して、最難関の理数系大学であるIIT大学への合格を支援する)予備校教師の「愛国心」は、「伝統や文化に対する愛着ないし誇り」なんて生やさしいものではありません。むしろ、出身階層により教育の機会が制限される伝統や社会システムに対する「怒り」すら、そこにはあるのでしょう。そして、その「怒り」こそが、彼を利他的な行動に駆り立てているわけです。

 そこには、他国やマイノリティを見下すことで或いは自国の伝統や文化を誇ってみせることで自尊心を満足させようという自己愛型の愛国心や、伝統や国益の名の下になされる上からの理不尽な要求を喜んで受け入れるマゾヒズム型の愛国心とは全く異なる「愛国心」があります。

 あるいは、そこにあるのは愛「国」心ではないようにも思えてきます。彼が愛しているのは、才能に溢れた若者たちであり、彼らにその才能を発揮させない「伝統」や「社会システム」の統合である「国」は、「愛」の対象ではなく、「怒り」の対象であるかもしれません。

 教育基本法が改正された今、学校教育の現場では、このような義侠心を「愛国心」またはそれ以外の呼称で、ポジティブなものとして教えることができるのでしょうか。私は、戦後民主主義の下で教育を受けているので、田中正造や佐倉惣五郎のような義侠心の持ち主をポジティブなものとして教えられてきたのですが、「伝統や文化に対する愛着ないし誇り」なんていう生ぬるい精神を植え付けたい文科省は、そんなことを今後も許すのでしょうか。

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