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10/01/2007

匿名ならばネットで内部告発をしても安全なのか

 内部告発と実名・匿名の関係ですが、匿名の方が必ずしも告発者が保護されるとは言い難いのが難しいところです。

 というのも、匿名の方が実名よりも有利に働くのは、匿名だと告発者が被告発者に特定されない場合に限られるからです。匿名であっても告発者が特定されてしまう場合には、実名で告発をした上で告発者として手出しをされにくい状態(手出しをされても対抗しうる状態)に自らをおいてしまう方が安全性が高まります(例えば、告発者が匿名でいる間は、実際は報復人事としての左遷であっても、通常の業務命令として転勤・配置転換を告発者に命ずることが行いやすく、この場合に匿名の告発者は当該転勤・配置転換命令は報復人事であるとの抗議がしにくくなります。これに対し、実名で告発を行った場合には、告発者に転勤・配置転換を命じた場合には、内部告発に対する報復人事であるとの評価を甘んじて受けなければいけませんし、訴訟等で争われた場合にはそのことが弱みになります。)。

 では、匿名で内部告発した場合に告発者が被告発者に特定される可能性というのはどの程度あるのかといえば、告発の対象となる事実を実際に告発されている程度に把握している人がどの程度いるのかということによります。警察や検察等の捜査機関の捜査の端緒となればいい程度の情報であれば告発者が特定される蓋然性は低くなるのに対し、メディアが責任をもってそれを掲載しうる程度に真実性が証明できるほどに詳細な事実が提供されている場合には、被告発者に特定される可能性がより高まります。

 すると、内部告発がなさた後、内部告発を受け取った人らが裏付け捜査(調査)を行った上でその結果得た資料を付け加えて公表がなされるタイプの場合は、内部告発者自身が最低限どの程度の事実を掴んでいたのかが被告発者にわからないので告発者が特定される蓋然性が低くなります。これに対してるのに対し、内部告発を受け取った人らによる裏付け調査の結果が付加されることなく告発者の認識している事実がストレートに提示されるタイプの場合は、内部告発者自身が最低限どの程度の事実を掴んでいたのかが被告発者にわかってしまうので、告発者が特定される蓋然性が高くなります。とはいえ、後者のタイプの場合、内部告発者が把握している事実をできるだけ具体的に、沢山提示しないと、メディアサイドとしては、真実性の証明ができないので、内部告発者から受け取った情報を掲載しにくくなります。

 そういう意味では、ネット上での表現の匿名性を尊重することは、真摯な内部告発者の安全を守り、真摯な内部告発を奨励する役には今ひとつ立たないように思います。実際、原則実名のオーマイニュースのみならず、匿名可であるブログや、2ちゃんねる等の電子掲示板でも、真摯な内部告発なんてほぼないのです。

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Commentaires

個人が特定される情報を出さないとなると、メディアが訴えられたときに、真実性の証明ができなくなりますから、大変です。オーマイニュースは、真摯な匿名告発を守るために、がんがん賠償金を支払えという話がしたいのでしょうか?

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