被告人に有利な証拠を握りつぶす権限
日本の刑事裁判において有罪率が極めて高い原因の1つに、「検察には、被告人に有利な証拠を握りつぶす権限が事実上認められており、検察はしばしばこれを行使する」ということがあります。
検察側と被告人側とでは、証拠収集能力に明らかに差があるので、「当事者主義」を形式的に適用して「被告人に有利な証拠は被告人側で独自に収集すべきであって、検察側の手持ちの証拠を見てそこから被告人に有利な証拠をピックアップしようというのは怪しからん」なんてことをいってみたって始まらないのです。
例えば、この事件では、「指紋の鑑定結果」の開示が問題となっていますが、「犯行現場にどんな指紋が残っていたか」ということに関する証拠を被告人側が独自に収集するなどというのは実際問題として不可能です(仮に「犯行現場に被告人の指紋はなく、むしろ被告人の指紋とは異なる指紋が重要な箇所に残っていた」場合に、これを秘匿しきってその被告人を有罪にしたところで、それが「社会正義の実現」に繋がるとは思いにくいのですが、それでも被告人に有利な証拠は開示せずに握りつぶしを図るのが今の日本の検察です。)
ですから、諸外国では、検察に手持ち証拠の全面開示義務を負わせた立法例も少なからずあるわけですが、日本の司法改革というのは、こういうところには及ばないのです。
さらに、供述証拠の同意・不同意制度も「被告人に有利な証拠を握りつぶす」ために活用されています。
検察側が提出した供述証拠に弁護側が「不同意」という意見を付す場合、その供述者が証人として採用されることを覚悟しています。つまり、弁護側は、反対尋問をしたいが故に、「不同意」という意見を付すのです。しかし、弁護側が提出した証拠に検察側が「不同意」という意見を付す場合は違います。その供述者について弁護側が証人申請をし、「どうぞ、反対尋問して下さい」といっても、検察官はその供述者を証人として採用しないように裁判所に意見をします。裁判所が検察官の意見を受け入れてその供述者を証人として採用しない場合はどうなるのかというと、その供述者の知見ないし認識というのは、その裁判の中では、なかったことになります(例えば、痴漢事件などで、「以前、この『被害者』から痴漢をされたと言いがかりを付けられ、『黙ってほしかったら有り金一切よこしな』といわれた」という人を弁護側が捜し当てたとしても、検察はそのような事実をなかったことにできます。)。つまり、検察は、供述証拠の同意・不同意制度を、「被告人に有利な証拠を握りつぶす」手段として活用できるということになります。
日本の司法改革では、この点も改まりませんでした。
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Commentaires
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・ 開示請求をすべき証拠を特定する義務を弁護側に負わせているが、どのような証拠を収集しているか弁護側に知る機会を与えていない。
・ 開示請求された証拠の存否等につき検察が適切な回答をしたかを第三者が監査する仕組みがない。
・ 開示請求された証拠の存否等につき検察が適切な回答をしなかったことが後に発覚したとしても、上告理由にも再審事由にもなっていないこと
・ 開示請求された証拠の存否等につき検察が適切な回答をしなかったことが後に発覚したとしても、検察官は何等の制裁も受けないこと
等でも根拠としては足りませんか?
Rédigé par: 小倉秀夫 | 01/02/2007 17:38